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声を出して
らら
柘榴の粒の転がり落ちては
踏みつけて滲む
乾いた地面に照るくだり陽
そして腕を取ろうと伸ばす先の空白
フレア、緑のスカート
輪舞を踊る
遅れてきた風と ....
裂礫を繰り返して
果て、
新しい暮れに出会う
カワラヒワの子供は
膨らみすぎたその羽根を
もどかしげに絡げ
留める
望まれる正しさを経て
邂逅する
みなそこの白骨
藍色の雲をひいて
女は降下してゆく
ひうひうとした
耳元の音を拾えば
落下であり墜落だが
彼女には
降下と認識される
微笑む猶予すら私にはある
空想のスカートから
プ ....
括られた紐は
私を食べて
箱型の実をつける
月光から逃げる為
風が吹いたら
ざあん ざあんと
ちぎれて旅立つ
泡立つ床の波の中
落ちた箱は
或いは開き波を染めて
固く閉じた ....
裂いたスカートの行方は
右の親指だけが知っている
布を食卓に磔刑して
右手に
左手に絡めて引き裂く
これが誰かの髪であったら
どんなにかいいだろう
ちりぢりになった悲鳴の
....
オミドレイヒヤ 奈落の底の
聖母にまつわる 五月の記録
亀だの兎だの湖に集めて
鳥葬してまわる
オミドレイヒヤ 祈りの言葉
ハチがつぶやく 巣のひみつ
シダ植物の五 ....
ライト浴び無言劇するダルタニャン お前は子馬 若い冬の木
虫を食べるのが好きで
押入れの奥に潜っては
身体を縮めて待つのです
新しく手に入れた螺旋は
それはそれはいい声で鳴って
第二楽章の三段目、斜めの五秒のところ、
うあぁあ、うぁあんと歪ん ....
「海をください」
衝動を燃やす手立てを海に聞く 冬の最中に血潮は熱く
「スピリタス」
屠殺の日 金が欲しいと振り下ろす きっと今日、今、君に会いたい
「光来る朝」
そのゆびが ....
アルドレイドは星を見る
オルドランを探して、もう幾日たった
南のほうから音がして
彼女には
それが予兆だと分かる
オルドランは橋を架けて
ひとり、地平を目指す
ただの涙に急き立て ....
よくにたるめら
たぶん むかし
いっついの けものだった
ほら おぼえている
とぐちのうえの どうのそれ
あるひ てのなか
ぽきりとおれた
ふれてみたかった ....
魚群
天から降る
花のよう
鳥の群れ
爪先が赤い
あれは鳩だ
針金を巻かれるよう
その声は細い
薄い影、首筋に射す
そこには初めてのしるし
階下から聞こえるコーラス
....
「冬へ」
波の立つ浜で声を待っている 強くなる匂い 「わたしはここよ」
「神話 ?」
母眠る 零る血吸いし地下茎に 乙女は実りてそのときを待つ
「花を宿す」
管の中 ....
5と6の歌の隙間に空の青 震える指でこじ開ける朝
メリメン区啄ばむ鳥が跡残す 緑雨降る夜波ひたひたと
目覚め行く身体は冬を思い出す 凍れる雲の流れを待つ頬
化石サ ....
精霊が来て、持ち去った
取りこぼすのは私
廊下に生温い王冠が落ちている
寒い、
寒いこの手をご覧
肺が裂けてしたたるよクリクーシカ
嘘つき女
私をご覧
私の肌は今、色を変える
....
*
蜂男は全部が蜂でできている。
顔も、身体も、腕も足も
ぜんぶぜんぶが蜂でできている。
黄色がかったオレンジと、黒の縞の蜂でできている。
だから
側を歩くとブンブンブンブ ....
「マーブル」
盗む手の平の中に赤溶ける机に隠した白い罪たち
「ラム」
砂浜に焼け跡残して乙女去る贄の羊が丘の上で鳴く
「頭痛」
病む棘は所詮誰にも分からない晴れた日曜泣きたい独り ....
こいをしらないかたつむりのおんなは
あいすることをしっていたかのじょを
ただひとつわからないとおもう
おまえのすべてをしっていると
だからおまえはわたしをあいすのだと
おんなはかのじょの ....
「お前は泣き方を忘れたね。」
幼い私が言う。
「いらっしゃいませ」
笑う私。
「こちらへお願いします」
客に背を向ける。
途端、
ガラスの中に目が映る。
「悲しい理由は見つ ....
花が口々に言う
さざめくはわたしの耳
波のよう揺れ広がる青
かがみ込んで
口付ける
いとしいお前は半ば骨
花が言うのはわたしの秘密
手折ってやろうよ
煩くしたら
....
そらのはじっこを
ちくちくしたおれんじがながれていった