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かつて二人は湖を持っていた

水は濃い翠で穏やかに波を立て

畔には湖を取り囲むように

世界から隔絶されるための勇気が植えられていた

その白さが危ういほど 純潔を保った花が咲き誇り ....
太陽の皮をむこうとして

両手がどろどろになった

汁が飛び散って 星と命 すべて熔け落ちた

甘酸っぱい香り 広がっていく

種は どこに蒔けばいいのだろう

見渡してみたけど
 ....
遮らないで きっと今夜は

一番しあわせな夜

枕の下に隠しておいた物語を ゆっくり数えはじめる



硝子に爪を立てる夜露

姿見の中に立つ架空

天窓に踊る フクロウの毛繕 ....
くるくる踊る たんぽぽを踏まないように 最後の季節の

幼子の髪の

ように甘い香りの

ぴんと露を弾く若葉に覆われた丘で

怪人は身体をあたためる

とてもおいしい 熟れた潮風  ....
それはなにもない

深い溝の底に ひとり

夜の国の兵士が闇色の

滾々と注がれてゆく若さの中で

ぽつんと座っていました

小さく切り取られた夜空を見上げると

この夜の三日 ....
森をゆく陰

陽の雨 うたたね 岩棚をすべる水

老樹のうろ 葉に棲む音 午後の胞子

塞がれた兎の穴 雪割草をすすぐ沢
 
ほとりの鴫 消えない木霊

わけのない過去 はずのない ....
彼女に名前を与えられる

機械仕掛けの椅子に坐って



一刻ごとに鐘の音が

歯車に乗せられた私の幸福を砕く

踊り出たステージに

広場の石畳を鳴らす靴音のリズム

眼 ....
こがねに濡れた葉を踏みながら

いつしか夕餉の音も消えて

百年を灯している

弱く深深と佇む街灯を数えるように

ぽろぽろと

灰色の雨粒がレインコートを滑り落ちる

街外れ ....
地球の反対側まで透き通っている湖の

まるく晴れて しんと停まった水の中

ゆっくり沈んでいく 花火の残光のように

暗いビロウドの湖壁

極彩色の秒針がくるくる回って 螺旋を降りてい ....
空には穴が開いている

誰かがこっそり覗いてる

交差点の真ん中に

するりと垂れた縄梯子

かばんを置いて昇ってく

初夏正午の花時計

白い帽子のカフェテラス

モノレ ....
ただ夜が訪れたというだけで

たまらなく悲しくなって

涙がこぼれることもある

出窓に置かれたサボテンが

月の光に絞められて

かぼそい声で私を呼んでも

ごめんね今夜は
 ....
公園の中で季節を売る老人が

樫の木のベンチにぽつんと座って

売れ残った夏を鳩に投げつけていた

ぼくは池を一周 口笛吹きながら

薄く晴れた十月のパノラマに

若く散った楓を敷 ....
時代と針金に固められた空から

唄と火薬に燃やされる海へ

魚群 この二文字の内側で

そうか もう僕には翼がない そうか

潮に退屈した鯨が暴れて

街を乗せた船が揺れて

 ....
空にうかぶ声を追いかけていた

道はきれいな家やお店を抜けて

街路樹はどれも枝葉を停めて

バスの車窓に老婆の抜け殻を見た

石筆を握って走りながら

屋敷の塀に直線を引いてゆく ....
石瀬琳々さんの相馬四弦さんおすすめリスト(14)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
秘鑰- 相馬四弦自由詩1*11-4-16
シトラス- 相馬四弦自由詩2*07-11-5
鍵穴から差し込む秘密- 相馬四弦自由詩3*07-7-8
怪人は最果ての岬に- 相馬四弦自由詩1*07-5-1
三日月の詩- 相馬四弦自由詩2*07-1-12
巡礼者- 相馬四弦自由詩2*06-12-16
時計塔のラッパ吹き- 相馬四弦自由詩2*06-11-17
夜と夕陰を別つ道- 相馬四弦自由詩3*06-10-15
沈む傍石- 相馬四弦自由詩1*06-7-16
地球儀- 相馬四弦自由詩3*05-11-12
サボテンの啾く夜- 相馬四弦自由詩2*05-10-24
色相環- 相馬四弦自由詩2*05-10-18
深海魚になったツバメ- 相馬四弦自由詩2*05-10-16
午後三時の少年- 相馬四弦自由詩1*05-9-4

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