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言いたかったんだけど
きっかけが見つからなくて
その日は言わずに残した
次なんて
無いかもしれないのに
眩しさで何も見えないから
何度か右眼をこすった
駆け足で橋を渡る ....
真昼の夜の中
並べられている標本
椅子に縛り付けられている私には名前が無い
視界は隠されてネジを巻く音がする
12時の鳩時計
暗さとは無縁のはずなのに
繰り返し繰り返し
....
君の親指と僕の親指が身を寄せ合う
床をスレスレに蝶が飛ぶ
窓に張りつけた五本の指が解かれるまでは
外の世界はその手の中に
薄い壁に挟まれた僕らはヒソヒソ話す
水槽の中の金魚が誰か ....
三時過ぎに受付で待っている
あのソファーの柔らかさ
嫌になるぐらい沈ませる
甘い事象は溶けていく
日々は虚ろに
鳴っては止んでいく
表と裏の違いにさえ気付かずに
僕の踵 ....
聞かせてよ
その声で
彗星がぶつかってきても
身を寄せあって
兎が月に埋めてくれたのは
僕が渡した雨の素
ゆっくりと溶けて
月を覆っていくんだよ
薬指に ....