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菱形の額縁に入れておいた
つぶらな瞳をもつ心臓が
ある日 部屋からいなくなっていた
少しばかりそのあたりを探したけれど
見つからないので
仕方なくいったん部屋に戻って
お茶を飲んでいると
 ....
君という雨に打たれて
私のあらゆる界面で
透明な細胞たちが
つぎつぎと覚醒してゆく

 夏の朝
 影に縁取られた街路
 やわらかな緑の丘
 乾いたプラットフォーム
 きらめきに溢れた ....
そしてオレは
其処から脱け出すために
時間をかけて 翼を造ったのだ
羽毛のかわりに 小さなナイフをたくさん繋ぎ合わせ
銀色に鋭く{ルビ煌=きらめ}く翼を造ったのだ

それを造っ ....
旅をつづけるほどに
私たちの旗は透明になり
時折見いだす標にしるされた言葉も
少なく 暗示的になっていった
夜の傾斜をくだってゆく
くだるたびに傾きがちがうような
いつもおなじような気がする

夜だから傾斜は暗い
ところどころに湿った火がともっている
そのそばにその火を嘗める獣が
いたり
い ....
浅い午睡に
思いがけず野蛮な夢をみる
それを誰かのせいにしてみたところで仕方ない
けれど

ああ
夏が甘く爛れる匂いがする
それは私の倦怠と
なまぬるく混ざりあってゆく

何もかも ....
また夏がめぐり来て
空も緑も色深まり
光と影が幻のようにあざやかに世界を象っています

夏の花々も色が強く
私には似合わないのです
降りそそぐ{ルビ眩=まばゆ}さと熱にも
ただただ圧倒さ ....
夜明けの窓は孔雀色
今年もまたうたうように
アガパンサスが咲いている

七月はわたしの中で
いちばん甘く実る果実
君はいつかそれを 別の名前で
呼んだかもしれない

少しずつ風がうご ....
夏は容易く永遠を擬態するので

僕らの意識の最も敏感な部位は

いつでも眩暈に侵されたままだ
怠惰な月に{ルビ塗=まみ}れて
果実のような遊星たちと
悪戯に耽ろう
どうせ軌道からはとうの昔に逸れて
だから輪郭も幾重にもぶれてぶれてぶれて
いるから

薔薇星雲を千切ってばら撒いて
 ....
水在らあらあさんの塔野夏子さんおすすめリスト(10)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
春の額縁- 塔野夏子自由詩6*07-3-25
約_束- 塔野夏子自由詩30*07-2-25
Monologue_in_the_Shadow- 塔野夏子自由詩4*06-10-7
世界の核_あるいは果てへ- 塔野夏子自由詩8*06-9-29
夜の傾斜- 塔野夏子自由詩14*06-9-3
懶_惰- 塔野夏子自由詩7*06-8-11
夏に還る- 塔野夏子自由詩14*06-8-5
果実の名前- 塔野夏子自由詩18*06-7-23
- 塔野夏子自由詩14*06-7-15
天体乱遊- 塔野夏子自由詩10*06-6-27

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