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冬の匂いがする
滴るような
透き通っていくような
人が声を聴きあうときに
吐く息によって動かされて
人の神経に届くような
さびしく遠い匂いだ

冬が降っている
根源的な和 ....
温泉に入ると
深く広々と湛えられたお湯が
私を首まで飲み込んだ
温泉の広さと深まりを前に
これが私の水位
これが私の容量
これが私の精神
これが私の闇
これが私の歴史
こ ....
                ――D.K.へ

君は静かに「消えていった」。君は「消えていった」という言葉を望むだろう。だが私はこう思うのだ――君は「殺された」と。そして君を殺したものに、僕 ....
鉄砲玉は小さく固められた
他人の罪によって表面を鍍金され
もはや己の言葉を発せない
鉄砲玉は撃ち出された
望まない相手に向かって
望まない高速で
引き金を引いたのは誰だ
引き ....
道は風景を展示する
風の通る広大な美術展だ
道行く者は風景に巻き込まれ風景に生きる
道には別のひとすじの生が息づいている
移動のためでなく散策のため道を行くとき
人は別の生を生きてい ....
地上からほかのどこかに通じる
風通しの良い扉が一斉に閉じると
秋の始まりだ
秋は閉ざされながら熟していく
密度の高まった空気と光と音楽
みな緩やかに撹拌され混ざり合いながら
ひ ....
この静まった秋の日に
一枚の紙を机の上に広げれば
過ぎ去った春と夏
来るべき冬とが集まって
一年間の物語が告白され
あなたに宛てられた
自然界からの手紙が
書き落とされるだろう
 ....
母校へと続く道を
十数年ぶりに歩いていると
風景に込められた無量の意味が
過ぎ去った感覚を再び過ぎ去らせて
私の身は引き裂かれ
その間隙を過去の雨だれが舐めていく

緑地公園をさまよう私 ....
吹く風に涼しさが混じり、蝉の死骸は夥しく落ちた。夏はまさに終わろうとしていた。だが今年の夏はただの夏ではなかった。私は勤めている会社を辞めるかどうかの瀬戸際に立たされ、自らあれこれ相談や交 .... 論理に頼っているので詩人失格
物語を好むので詩人失格
ほんとうのことばかり言うので詩人失格
人生にこだわり過ぎるので詩人失格
現実が見えすぎるので詩人失格
働いているので詩人失格 ....
初めは意地悪されただけ
仕返ししたら
少しだけ体が膨らんだ

今度はひどい目にあった
怒りにまかせて復讐したら
みるみるうちに体は大きくなった

大きくなった体は
他人の ....
硬い殻の中に無理やり閉じ込められ
手も足も出せず
約束も果たせない

知らないうちに
他者の無関心による距離に埋もれ
書籍から著者の血液を大量に浴びた

俄かに近い人のまな ....
人の輪郭ばかりがまばゆく降り積もり
忘却される往還は歌として刻み込まれて
歌は正確に人のさざ波を導く
正しさに先立つ正しさは愛欲に似て
幾つもの河を集めては飛び立たせる
人生がすべて ....
 詩もまたコミュニケーションの一種である。確かに作者の意図が読者に正確に伝わらないこともあるだろうし、そもそも作者は伝達を意図していないかもしれない。だが、詩を書く者がいて、読む者がいる。 .... どんなに醜い人でも
人を愛することができる
愛することに資格は要らない
愛は誰をも美しくする

どんなに迫害を受けている人でも
人を愛することができる
傷だらけの愛には
傷 ....
大切なことよりもっと大切なことをゴミのように廃棄しながら
僕らは国道を突き抜けては風景を浪費しました
行動に対しては成果が次々と返され労働に対しては報酬が返され
今人生の一つの舞台が ....
雨が降るようには
言葉は降ってこない
言葉は辺りを水浸しにしないし
視界を霞ませたりはしない

日が降るようには
言葉は降ってこない
言葉は全てを明らかにしないし
辺りを温 ....
何もかも
原則的に敵だから
僕は今日も肩で風を切って歩く
すると思いもかけない温かい風が吹いてきて
僕にあいさつするものだから
戸惑いながらもあいさつを返すと
風は微笑みながら ....
 詩は自由に書かれて一向に差し支えないと思う。想像力の赴くままに飛躍している詩行もまたよいだろうし、現実の人生をなぞった詩行もまたよいだろう。だが、私はかつてひたすらフィクションの完成度を追求 .... 優れているということ
それは一つの棘であるということ
鋭く探し当てどんどん前進していき
多くの人の自尊心を刺してしまう危険な棘であるということ

優れているということ
それは自 ....
輝くものと輝かないものが出会って
互いに氷として融け合った一年だった

ほんとうのことはすべて
偉大な虚構から滑り落ちた一年だった

どこまで伸びていくか分からない
指先を丁 ....
一面のガラス張りの外では
人々が雪のように紅葉のように
はらはらと歩き去っていく
老いも若きも男も女も
それぞれの足取りとそれぞれの心持で
ただ美しい自然の移ろいのように
はら ....
 実在論とは、世界に物質などが実際に存在し、それに触発されて意識などが生じるとする考え方である。観念論とは、存在するものは意識に与えられたもののみとして、それを超えた実在を要求しない。
 ....
一人一人が
一人一人であることを超えて
一つの波打つ連合となり
一人であることを忘れる
言葉は言葉を呼び
笑いは笑いを呼び
そこに何の抵抗もなく
めまぐるしく連鎖する
四人 ....
 中村梨々の詩集『たくさんの窓から手を振る』(ふらんす堂)を読んでいると、奇妙な点に気付く。この詩集には「青春」が存在しないのではないか、と。子どもと大人の視点では書かれているが、若者の視点が不思議と .... 私が人を殺めて逃げてきたこの町では、もう長い間新年が訪れない。新年は何か巨大なトラウマのように忌避されていて、人々は年が変わる頃決まって不機嫌になる。大きな街道から海へ向かい、山と山に挟ま .... 処刑はなされなければならない。結論だけが先にやって来て、権力の発動はすぐさまそれに続いた。だが、誰がどのような理由で処刑されなければならないのか、それは国家権力の組織的事務処理の途中で失われて .... 昇進の日に丸いものを食べてはいけない。あるいは、昇進の日には誰にも挨拶してはいけない。私が通勤していると、電車の中で誰かが「昇進」と呟いた。するとその呟きはたちまちに感染していき、通勤電車 ....            ――K.F.へ

理由も目的もなく、理由や目的を作るためにあなたは生まれた。あなたはこれから生きるという不思議なめまいの中に巻き込まれていくが、全ては既に古く、同時にまったく ....
 私は別に「人生を愛することが必要である」とか「人生を愛せ」と言いたいのではない。様々なことに開眼していくタイプの人間であるならば、自然と「人生への愛」に目覚めるはずであるし、そのようなところにも大き ....
こひもともひこさんの葉leafさんおすすめリスト(62)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
冬のはじまり- 葉leaf自由詩415-12-12
温泉- 葉leaf自由詩415-11-30
未来- 葉leaf自由詩415-11-12
鉄砲玉の唄- 葉leaf自由詩415-11-6
- 葉leaf自由詩115-10-25
愁思- 葉leaf自由詩615-10-1
秋の手紙- 葉leaf自由詩415-9-13
母校- 葉leaf自由詩415-9-1
夏の終わり- 葉leaf自由詩315-8-15
詩人失格- 葉leaf自由詩415-8-8
台風- 葉leaf自由詩215-8-5
億劫- 葉leaf自由詩315-7-23
労働- 葉leaf自由詩615-7-22
白鳥央堂詩集『晴れる空よりもうつくしいもの』について- 葉leaf散文(批評 ...215-7-19
- 葉leaf自由詩315-6-20
速度のある風景- 葉leaf自由詩215-4-26
降る言葉- 葉leaf自由詩1015-4-18
- 葉leaf自由詩515-4-16
なぜ生活を詩にするのか- 葉leaf散文(批評 ...215-4-5
優れている- 葉leaf自由詩415-3-21
一年- 葉leaf自由詩615-3-20
駅前の喫茶店- 葉leaf自由詩115-3-15
詩における実在論と観念論- 葉leaf散文(批評 ...215-2-27
宴会- 葉leaf自由詩2+15-1-17
中村梨々詩集『たくさんの窓から手を振る』について- 葉leaf散文(批評 ...215-1-3
新年- 葉leaf自由詩115-1-1
処刑- 葉leaf自由詩214-12-22
昇進- 葉leaf自由詩514-12-16
誕生- 葉leaf自由詩314-9-21
人生への愛- 葉leaf散文(批評 ...2+14-9-20

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