赤い糸があるなら
断ち切りたい
だって、自ら紡ぎたいじゃないか
まるで舞台セットのよう
蛍光灯の光が融け込んで
透き通った 小さな庭園で
水草ゆれて
ふわりと
紅金色の着物も褪せた
年増女が二人
よもやま話 ....
秋の山肌は
あかときいろにゆれている
思ったより悲しくないらしい
少し風だけが
さみしがりやで
いつのまにか心の中にまで
ふいていた
長袖の人と
半袖の人の同居で
季節のあい ....
星と飛行機がすれ違う
星も飛行機もそれを知らない
星も飛行機も
勝手に切実に在るだけなのだ
見つめていたのは
遥か地上でだった
寂しかっただけだ
丁度よか ....
いつもそれは突然だった
その日のために まるで気配を消し去る魔法を操っているかのように
トルソーには腕も足も頭もない
それはきっと造形の芯
トルソーは不完全であることを堂々と嘆いている ....
{引用=ただ
青いだけじゃなかった
あの頃の空に心は
どこまでも焦がれていて
その日差しよりもはるかに
まぶしく映っていた
誰だって一日空を見上げない日はあるって
あなたはやっぱ ....
私が純粋なので
得する事が多い
いつも特別扱い
笑顔の歓迎され
自分を犠牲にする事で
好感を持たれ
愛される。
身分不相応である。
やましい思いがない。
悪い事は考えない。
....
浅い秋の山麓にはまだ夏が僅かに匂いを留めている
霊園のなか
木漏れ日に似て
かすかな静謐の羽音を伝えるもの
誰かの魂の代償としてここにやすむメタモルフォーゼの
しるし
霊園の空は高く
夏をとむら ....
雨が降るたび遠ざかった
憎らしくて愛しいあなたの
後ろ姿はもう見えない
季節は容赦なく巡って
人は戸惑いながら巡って
届かない想いだけが残される
さらさらとした喪失感と
ひん ....
まいにち、テレパシーをとばしている
とどいたのかなぁ
今日は雨だけど ・・・
れんちゃんにとって
六月はもう、真夏とおなじだった
朝から暑くてたまらないみたい
ひんやりつめたい ....
出かけるのなら
帽子を被ってお行きなさい
いざという時には
バケツになるから
出かけるのなら
傘を持ってお行きなさい
空から降ってくるのは
優しい雨だけと限らないにしても
出か ....
願うよりも 探してしまうアルタイル
ハクチョウはキレイに羽をみせている
スター・ダストなんてダストは
ないのですよ
どれ一つに目を凝らしても
ただ、またたくばかりで
....
特別養護老人ホームで
夜勤のアルバイトをしている
夜勤明けに施設の門を潜ると
男子高校生が
度胸試しに
施設から出たゴミ袋
すなわち
うんこ山盛り袋にタッチしていた
元気な俺な ....
碇星社会福祉に入れるメス
やたらめったら起こる奇跡を奇跡と呼びたくない
生臭いゴミの匂いがした
いい匂いのふりをしていた
季節の夕暮れのひかりに
ぼくは金木犀じゃないかと見回した
歩きだせずにいた
ひかりは姿を
ゴミの匂いは形を
....
気がつくと窓から射し込む
光の色が朱から濃い藍に
変わっていこうとしていた
ああ、もう陽が落ちる時間が早くなった
ぼくは窓に眼を遣るだけで
ソファから立ち上がらなかった
此処に移っ ....
旅立ちの原点そっと触れる爪先
手のひらに残ったものをかぞえる秋
虹のこびと遠く笑ってさかだちしてる
年月の更けゆく日々に聴くラフマニノフ
宇宙翔けるもの星座のしずく夜に流れ
....
人を
ただしい場面で
ただしい順序で
ただしい角度に
揺すると
泣く
そのただしさを
習得することを
愛とか技とか
呼ぶ人びとを
軽蔑し
憎んでいるわたしも
ただしい角 ....
秋とは肩を寄せ合い歩きたい
約束なしで出会っては
流れの渦に留まり続ける
紅葉とイチョウの落ち葉のように
ゆっくりと語り合いたいものだ
何一つ声に出すこともなく
....
自分のすべき事が
見つかった。
できるかできないか
分らないが私のできる事。
私にしかできない事
反対も多いと思う。
でも私は負けない。
皆と戦う。
勉強は人間関係を
悪くす ....
秋が始まる頃
ようやく
旅人が帰ってきた
ちょいと
長い散歩だったかな
と
悪びれもなく
おかえりというのも
待ち焦がれていたようで
まったくもって
しゃくなので
おみや ....
たりたりたりと
私の何か少し足りていない
ミリデシリットル分の
たりたりたりが
足早に私のうしろをついてきて
影に交じりながら
陽をよけて
たりたりたりと
....
ありあわせのもので生きてゆく
冷蔵庫のなかにはあるいはいえのなかには
備蓄したもののない
こってりとした愛とか
ささくれだった笑いとか
スパイスをきかしたつもりの人造サラダ
気 ....
真昼の青空にいて
お日様はいつもと同じように
まっすぐに向き合ってくれている
それなのに痩せ尖った姿を
心溶かす丸い雲の横で
薄ぼんやり見せてしまい
ごめんなさ ....
ぞろぞろと
つながって
生まれくる
かまきりの赤ちゃん
泡を固めたような
麩菓子に似た卵から
孵化してしまったら
もう戻れない
生まれた瞬間から
君たちは みなしご
風 ....
西瓜の種をどこに飛ばそうが、自由だった。
あの頃は、どうでもよいことなど一つもなかった。
電信柱が眩しく そそり立っていた。
*
下水処理場を通り過 ....
河田町のランチ時
ショートカットの急坂を
曙橋へと下りる時
おとこ社員を従えて
登って来たのはお地味なあの顔
あべちよ
羽織ったカーデのあいだから
堂々お山の五合目見せて
やっぱ露出度 ....
あなたの言葉が わかんない つまんない
そんなんもわからへんのかとか
もっと、つまんない
「趣味は何ですか?」と訊かれて、「詩を書くこと」と答えるのは難しい。なんだかものすごく恥ずかしいし、そもそもたぶん、詩を書くことは趣味なんかじゃないと思っているからだと思う、心のどこかで。
....
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