窓を開ける
雲が見える
昨日のことのように
上り坂を下る人がいる
解熱剤でも飲んだのか
郵便局の職員が
自転車に乗っている
 
 
23じ33ふん うえのえき16ばんせん
こどもはねるじかんだけど
きょうはとくべつっていってくれた
おとなはしごとでつかれてねちゃったから
のとはぼくだけのでんしゃ
ぼくだけの489けい
 ....
跛(びっこ)をひいた男が独り
本屋の軒先を横切る
そこが本屋の軒先であることなど
全く意にも介さず

杖をついた老人が本屋の中から出てくる。
一冊の本を購入するでもなく
じっくりと日課の ....
いきていることが
つみなのだと
ちちはいった

おまえさえ
いきのこればよいのだと
ぶきような
ちちがははにいった

わたしもちちににて
ぶきようだった
にもかかわら ....
肌を剥き
熱を忍ばせたら
恋になるとでも思っているのか

あの人なら
触れずとも
私を炙る
腐るぐらいに
あなたの轍を見つめながら歩いていた

自転車に乗ったあなたのこころを感じていた

すべてがあなたを守るためだけに

存在している、ぼくは邪魔なの?

帰りの電車でとなりのひとが

 ....
 .... 浅葱色の風 信念(まこと)を抱き
今 時代(とき)に抗う 刃となる

強き眼差しは 鬼の如く
ただ 前を行くのみ
決意の背中は 恐れも捨て
ただ 直(ひた)走るのみ

三日月(つき)に ....
夏だから腐らないよう注意しよ 好きなあのひと結婚したって 八月
隙間のない日差しが街を埋めつくして息をとめた地上
の生きものたちは白い化石になるだろうか

昼下がりの昆虫のように日差しを避けて地下に逃れた
人びとの背にうっすら
あの日の地核の影が ....
あなたはわたしを綺麗だと言ってくれました

だけどあなたの目指すものが美しすぎて

わたしは後ずさりをしてしまいました


あなたのためにクリスマスは

好きな色のマフラーを編みまし ....
進歩ないってつぶやいたら

進歩ってなに と雲がきいた

同じ白で

私のよく知る姿で

きいた

進歩ってなに と
これじゃいままでの恋とおんなじじゃないか

あたしだって必死だったんだ

必死であればわかってくれるはずじゃないのか

生命が、あたしのことわかってくれているように


朝起きるとあ ....
{画像=110726012953.jpg}

はるか大昔に天子が山頂にのぼり
おお我が美味し国よと祝詞を上げた山は
小さいころの遊び場だった

山の中腹には幾つか洞穴のようなものもあって
 ....
そのひとが
どんな人生を歩んできたのか
二秒のすれ違いでは
理解できないかもしれないが
考え始めることが
何かのはじめ

漠然としすぎているから
ためしに
どういう風に髪を洗っている ....
笑ってごらん
地球が回っている
笑ってごらん
笑い返してくれるから

気負わず
素直に
自然体で
正直に

きっと涙になって
叶えてくれるから
きっと力になって
助けてくれる ....
「リサイシャです。」 
突然の呼びかけにハッと顔を上げる
カウンター越しにその女性は佇んでいた 
小さな女の子を二人連れている 
一瞬 何と声をかけようか戸惑う


胸の底に沈殿している ....
こころよ、からだよ、がんばってくれ

俺はいま

疲れること

めんどくさいこと

そんなことを一生懸命やりぬいて

たましいを高みに運んでいるのだから
思ったより砕けませんね。
だから時間もかかりますし
これは結構な消耗ですよ。

(その横の粉で固めた塊)
ここは暑いということで
時々、氷を頂いています。
そうすると私も
なんだかとて ....
犬猫とは違うことぐらい
判っているよ




でもね
薄汚れた服でサンダル引き摺ってた女の子

大切にしてもらっているのかな
パートのお母さんと
いつも家でタバコ吸っている男の ....
夏の

薄明と

薄暮とが

震わす弦

此の世と

彼の世との

あわいに張られた
君の透き通る眼差しで
僕を照らしている間
淋しい夢にうなされて
一人ぼっちで泣いている事がある

僕が起きるのは
決まって暗い部屋
今日も
君はどこにいるの

見回し続ける

君がいるはずの部屋か ....
金魚鉢に金魚
上から覗き込むと金魚
胸鰭を動かし
尾鰭を動かし
背鰭を動かし
何となく静止する金魚よ。

夏だけ生きている金魚
ほんの数リットルの水に漂う金魚
横から観ると大きく見え ....
ただ無性に好き勝手に綴ってみたくなった

ただペンが握りたかったんだ
金属質特有の冷たさが欲望を更に煽って

宿題のワークを放り捨てて
原稿用紙をばらまいた
宙に舞ったレポート用紙


いるのは紙
な ....
月と星、かれらは

ぼくがひとくくりにして

いま見つめていることを知らない

それをどうのこうの

ぼくは言いに行こうとしている

それでいいじゃないか

そのままでいいじゃないか

それでいいじゃ ....
{画像=080713215510.jpg}



*


街角に子供が一人


地に染みる影を従え


かくれんぼする



*



吾をまね


地 ....
仮面の奥に秘めた
笑い声は
人を嘲るように
胸をえぐる

楽になりたいか?
苦しむのだ!
桃源郷は
地上のどこにもない

はく製の目玉のように
ギラギラ光り
隙を見つけている。 ....
飾り部に出入りされている木の
皮をはがせば しらじらと 
預けられていた夜中が
てっぺんから ひるがえり
白い髪を吐き まるまり落ちる

梳いていた指達
歩いていた足達
口づたいに行く ....
お母さん お母さん
あなたは半眼の仏陀のように横たわり
黄金の仏陀のように何も見てはいない
何も聞いてはいない

{ルビΜητέρ=メーテール} {ルビμητέρ=メーテ ....
さようならは
言うのもするのも簡単で
儀式の魔力にとりつかれた

きみがどこにいて
わたしがどこにいて
そういう二人の居場所の
重なりあいで
やっと
世界の輪郭がぼんやりできあがる
 ....
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