秋の夕暮れ
床に漂う冷気に足を漬け
おとこひとりタマネギを剥く
まな板に乗せ 包丁を持ち
玉ねぎの白い肌が
病床の妻に重なって
ためらったおとこから
逃げたタマネギ
床から拾 ....
遠いところまで行って
棄ててきたなにかを
遠くから思う
耳鳴りのように
くりかえし
くりかえし
人は
信じうるものを
信じるのではなく
信じたいと願うものを
信じるのだろう ....
背中に杭がささる
子どものころはそのまま
小学校に行った
人には見えないので
痛みをこらえている表情を見せなければ
だれにもわからない
休み時間に追いかけられて
プロレスのヘッド ....
私はずっと犬が飼いたかったのだけれど
今でも犬の散歩などをみると
羨望の眼差しで見てしまうのだけれど
いつも家には猫が居た
だいたい野良猫がそのまま居ついて
或る日ふといなくなったり
....
あの一朝一夕を
あの病院で過ごしたこと
一年に365回やってくる内の
一回づつを無駄にしただけだった
バカタレな自業自得で
取るに足らない
無駄な時間を過ごしただけだった
そうであっ ....
ショッピングモールの雑踏にきみの面影ほのかにうかぶ
ラヴェルのボレロを聴きながらこの日常の主題をおもう
奥田民生の描く自由とさすらいそれを模範に生きてみたい
彼女にみたててもらった ....
ムスクの香りに頼りすぎている男でした
心を見た人はいません。
心に手をふれた人もいません。
それでもみんな
心の場所を知っています。
もしも心がなかったら
今日のあなたは、笑わない。
昨日の私は、涙を流さな ....
福の種をききながら、ビールをぐびぐび
柿の種を、一粒、二粒、
あれあれ、福の種未満に見えてきたよ
*YouTube 福の種 (チャクラ)
http://www. ....
素足で夏を渡るよ
片足立ちの小石の上で足を擦る
渡り切れない小川の真ん中
一匹
木漏れ日をぬけて
羽根を濡らして 染めて
谷を越える
うなり始めた風
光に濡れながら
....
父は修行中らしい
はじめての経験だから
父も大変なのだ
だから みんなで助けて
供養して下さいと
和尚様が言う
およばずながら
いちの子分 長女 私
そのに 長男 次男
そのつれ ....
乾いてる軒下暮らし梅雨の日もそれが定めとうな垂れて
ほんとうに美しい玉葱の芯どうしてもほら泣いてしまいます
玉葱の玉を採ったら葱だらけでもそれは夢{ルビ二兎=にと}を追うひと
玉葱の ....
夏草に息をつまらせながら
とぎれとぎれのたよりない光跡を追いかける
光跡は小さな流れに出会う
同じ場所で僕たちも出会った
滝のしぶきがかかる地下道を通り抜ける時
すれちがう幸せな記憶をた ....
気がつけば雨は雪。
創造の世界では初夏でも雪は降る。
なんて自由な空間。ぽーんと抜ける空間。
木曜日の午後の喫茶店。
一年中飾られているクリスマスツリーに暖色が宿る。
....
進め、進め、力強く。
進め、進め、誰が何と言おうとも。
進んで進み尽くして疲れたら休めばいい。
そしてまた、どこまでも突っ走れ!
偉大な先人達の後に続け。
先人達が創り上げた光の道を ....
夢の扉の向こう側に
絹の衣装を纏ったあの時の
嬉しそうに君
幻になった
君の
優しかった歌
ユリの花束も抱え切れないほど
飾って置いた無傷な部屋
/海底に沈んでいった記憶の ....
遅い帰り道は
雨に濡れててらてら光る
路側の白線に沿って歩くと
導かれているようで
なんだか安心する
怖いものは何もない
たとえば気づかずに
かたつむりを踏みつぶしていた
なんてこ ....
血潮、とノートに書いて貝殻のなかにたしかに海があったと
隣席のヘッドフォンから砂の音が聴き分けられる夏の江ノ電
ふたりで海を見たのは一度 いつまで、と互いに決められないままいた ....
私は言葉を知らない
豊富な知識も 深い洞察力もない
柔らかな感性も持ってはいない
比喩や隠喩も使いこなせないし
哲学的なことはチンプンカン
コメント書いてもトンチンカン
こんな私に ....
{引用= 目が覚めるほど愉快だった国で
いつか帰る予定の町へ向かう、片道切符を捨てたあの日
ぼくは
お母さんを、お袋と呼ぶようになって
いつか恋する ....
街を歩きながら
スナック菓子の箱を開けて
袋を破いて口に放り込むように
雑踏に落ちていくことばを拾い上げ
軽くて浮いていることばをつまんで
ひょいっとむしゃりことばを噛む ....
きょうたまたま昔のともだちに会った
まえ会ってから何ヶ月か後に
家で暴れて四ヶ月ほど病院にはいっていたそうだ
それから四年くらい外に出れず
最近また外に出はじめた
ぼくはなんでか謙虚な気持ち ....
痛いか痛いか
一緒だった
痛いか痛いか
自分に聞いた
痛いか痛いか
おまえに聞いた
こころの周りは悲しみばかり
指先までが悲しくしびれた
逃げられな ....
雪が
ふってはつもり
ふってはつもり
別になにかを隠したいわけじゃなかろうに
そこまで想ってまわりをみまわした
自分の心のひもを
きゅっと結びなおす
こぼしていいはずない ....
日が長く レンズに艶が昇り そのように見える オレンジのマント
その海を揺らす 人間業のようにも見える オレンジのマント
王子様ですか 顎の筋肉の坂道に 憧れを乞う
そのマントは感じるに ....
一生いっしょとはいかないかもしれない
だけどおまえが乗り越えようとするときは
いつもいっしょに乗り越えているんだよ
さよならとはこういうものなんだ
次行く場所は、
毒 ....
銀色の矢が空から墜ちて来るそんな夜
僕は系統樹のほとりに佇んで生命の音を聴いていた
風がちいさく闇を巻き込んで通り過ぎていった
ときはすでに多くを語らず寄り添っているような気がした
....
畑違いだけど 鞭打って
馬を 走らせるから イケナイ
耕すのは 稲 のみならず
麦でも 大麦でも 若葉でも
何でも 良いのだけれど
欲張っちゃあ イケナイ
それを 忘れたから
....
優しいひととの明るい朝に
逢いたくて
電話をきって
優しいひととの明るい朝に
会いに行こう
たくさんの心
嘘つきたくない
離れたくない
やわらかな心 ....
知らないうちに
ヒトを傷つけることがある
それを知ってから臆病になって
すごく慎重に歩いているのに
そのせいでだれかの邪魔になっている
なにもしたくない
そう思ってとぼとぼ歩く
....
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