すべてのおすすめ
信じるひとの上にも
信じないひとの上にも
雪はつもっているのです
きらきらと
反射しているのはこの雪が
またかえろうとするからです
せかいへ
わたしのまわりで
せかいは生きるめ ....
濁った窓から
冬の垂直な日が部屋の壁まで届く
真空管のなか
あの日のこころの蠢きを泳がす
それはあまりに遠い日なので
曲げた腕の面積では
足りない計算式のように
触れることのできない感情 ....
骨を押しつぶす音が聞こえた
あれは傷つける音だ
あれは私を悲しませて、悼ませる音だ
あんな音は聞いてはいけない と
耳を塞いだ
自分か 娘か 迷って、娘の耳を塞いだ
嗚咽 ....
海の森は林道からはじまっている
その入り口にはフクロウがいて
たまに人間に預言めいた案内をする
うえからひかりが射し込んでいる
月のひかりがちぎれ雲みたいになって
道には ....
海にゆく
そいえばふたりでいったことない
ふたりでゆけば
どんなオモシロ見つけるんだろ
そこで焚火したい
おなじ火みつめて
ぬれ新聞紙にくるんだサツマイモ
ア ....
びょうびょうと犬が鳴くのでここいらはもう一帯冬である。
山も空も野も白いので、逆さになって落ちる童が後を絶たない。
びょうびょうと犬が鳴くのでここいらはもう一帯冬である。
雪の上に落ちた南天 ....
.
胸にはきみの大きさの空
心に果てしない岩石の荒野
手に一把のドライフラワー
携{ルビ=たずさ}え埃だらけで歩いている
.
古びてカーキ色に日焼けした風景画の人物
天地玄黄そら ....
吹きすさぶ風に
みがかれて
凍てつく水に
すすがれて
透き通ってしまった
哀しみは真冬の
背骨に宿った
遠ざかる空に
みはなされて
優しすぎる光は
とどかなくて
行先すら ....
懸命に生きる
あなたの
手入れを忘れられた脛の毛に
日々の疲れを
無意識の諦めを
そして
少しの哀しみを
想う
駅のホームで
電車を待つ
毛 ....
味わう
苦味潰した味を味わう。そんな顔を持った者は知っているが、味があったとは。
例えば、食卓のテーブルの隅にこぼれ落ちて死臭がするほどに放置されていた味とか、三日も口を聞かないで酸っぱく凍り ....
私の手は大きい方なのか
指が長いのは
誰かの忠告通り
手袋で隠した方がいいのか
手相をみてもらった
50歳すぎてから開運されますね
ああ、
そのころ母親はどうしているだろう
....
半月が霜で白くくもった今夜
あんまり寒いので布団が凍ってしまった
冬は反省するべきです
わたし今夜は性欲があるのに
眠らせてくれないなんて
だって夜は長いし
(これも冬のせい)
マス ....
うずくまって眠って、起き出してきたら窓越しにもう夕日が見える
窓を開けて見てみたらきっと綺麗だろう、そう思うだろう
煙草があと半分しか残っていない 吸いかけを吸う
鼻先で燃えてい ....
しぜんを
かんさつしたいけど
このしろいたてもののなかで
はたらいてばかりいるから
しぜんをかんさつすることは
できないとおもっていた
なのに
このしろいたてものの
な ....
岩に囲まれた
岩が叫ぶ
陽は圧され
少し 撓む
塔よりわずかに高いところに
見えないものの軌跡が残り
何処よりも早く暮れてゆく
音けす音を撒きながら
....
この三角地点の定義を持ち合わせていないから、光がクロスする辺りから眩暈が飛んで来る。この位置に私がいることを誰も望んではいないのだ。灯台への坂道は紛れもなく点だ。高さを手渡されても、私は硬直するこ ....
どうせ とか
思うのやめよう
何の解決にもならない
誤魔化しも改めて行こう
宙は人工衛生のゴミだらけ
いつも誰かが後片付け
噛んだガムも吸殻もシーツも
イチバンや二番を ....
道端に人が横たわっている
居眠り運転の自動車がやってきて
定刻通りに轢き逃げしようとしている
その間にも私には守るべき家族がある
見なければ見ないことに出来たその人にも
同じくら ....
ゆたかな歓声のあと 出てくるのは出汁
悪魔でも華の色でもない 千切られた湯
手にした誰かがそれを青といい
自分にみせたから
変えられると思った
透明というまま
すばらしいちからで
....
空が黄色いよ
と彼女が言う
見上げると
私たちが信じている
「いつもの青い空」が広がっている
けれど
わかる気がするのだ
今 確かに彼女の空には
黄色いカーテンが覆いかぶさっていて ....
{引用=
満月の夜には
外にでてはいけないと老婆はいう
ふらふらと外にでて
川を遡上
青い山に囲まれた
いちばん星空に近いその湖に行ってはいけないと
ゆらめ ....
白い顔
淡い青
深い緑
その目は君を見てる
君は見られている
それをドコかでわかっている
それを気にしつつ
気にしない
時と場合の次第で
それにあるいは
頼る
もしくは、
....
無線紙の上
這い伸びる
黒インクの静脈は
冬ざれの様相で
ひたひたと
忍び寄る
絡み付く
{ルビ荊棘=けいきょく}の枝を
程良く剪定し
暖炉に放るのだが
パチパチと
節は爆ぜ ....
夜にさまようノマド
夢に似た旅路
くらやみの中へ
伸びていく根毛
黒髪の思い出は
満月の丸み
汲み上げられて
つきあげるよろこび
歌うことばすべてに
ひとしく炎、やどれ
こ ....
・
夫があまり鋭く見つめるから
わたしはしだいに削れてゆく
夫と婚姻関係を結んでからのわたしは
もう余程うすっぺらくなったらしい
強く手を握られると
きしゃり と指ごと潰れるから
か ....
語り部は講堂内の明かりを全て、消した。
百人の聴衆は、暗闇の一点に揺れる机上
の灯を、観つめていた。(どんなに深い闇
にさえ、この蝋燭の灯は負けないのです。)
ぽっかり二つ空いていた席 ....
{引用=Before}
私
もし私が海ガメだったら今頃は
月の裏側で首をもたげて、
―― 海へ帰る時刻だ
ぶざまなヒレは砂を漕いで、砂を漕いで
すると波頭が白くぼんやり輝きながら
....
水から
あふれた水
長い
道をつたって
きみは
こぼれてきた
みずから
あふれたみず
朝は
みじかくていい
....
とにかく
兎に角
せっかく真っ新なのに
相変わらず後ろ向きだけど
お粗末な背面跳びで
何かを飛び越えていこう
とにかく
兎に角
せっかく明けたのに
相変わらず手探りだけど
....
{引用=ひとりでは淋しすぎていられない
震えて眠る私はうさぎ}
抱いて欲しいって言えたらいいのに
もわもわの毛皮をまとっていても
寒くて寒くて震えてる
{引用=耳を立て周りの音を ....
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