すべてのおすすめ
琥珀色のぬらりとした
リボンのようなハエトリ紙を
白い壁の間借りした部屋に垂らす
夕焼けに光るそれはまるで
蜜をたらふく蓄えた大樹のようにみえて、
懐かしい実家の情景を誘って ....
ハーマンのPC スピーカーから流れる
ビジターズが土曜日の朝を現実的に彩る
プラズマライターの十字の炎で
細巻のタバコに火をつける
アルカロイドが身体に浸透し
シナプスの少しの反乱と足の筋肉 ....
だいぶ昔の事だけど給料日
いろんな支払いをして残った6974円を握りしめて帰ったね
いつの間にか7000円の大台へと脳内補正がかかっていたっけ
君には言わないこの7000円で、ぼくは ....
目が覚めたら
朝からどんよりと疲れている私とその身体があった
昨夜は熱帯夜だった
ダブルベッドの上で
乱れた寝具は汗と脂のイヤな匂いがした
人それぞれに体臭がある
人それぞれに口臭 ....
人生最悪の今
それが今
この今
これ以上ないかというほどに
悪い今
この今も
すぎてゆき過去となる
最悪は続かない
続けない
事態はどんどん変わっている
気付か ....
かたまりを
泣いて泣いて
まるめたら
水溜まりへ泳がしましょう
雨
暗闇でじっと
ずぶ濡れながら
わたしは
水溜まりの淵でふるえつづけないと
生きているのが恥ずかしい
と思っていたら
服が溶けて全裸になった
すっぽんぽんになってから
服は着ていたのだと知った
生きてる場所が底辺も底辺だ
と思っていたら
突然 ....
{引用=むかしばなし}
幾千幾万の囁きで雨は静かに耳を溺れさせる
まろび出た夢想に白い指 {ルビ解=ほど}く否かためらって
灰にならない螢の恋は錘に捲かれて拷問されて
透かして飲んだ鈴の音も夜 ....
蒼いインクを流し込まれて
世界は行き暮れた
やがて長い夜が明け
暮らしの屋根から細く立ち上るかまどの煙や
打ち寄せられた農具さえ
インクの色に染まっていた
それでも 鐘の音を聞くと ....
今日も真夜中の向こう側から
たくさんの「タスケテ」が届く
本気もあればウソもあって
見分けるのはむずかしい
だけどアタシはとりあえず
見つけた全部の「タスケテ」に
「ダイジョウブ」って ....
ずっと不安で震えていた
曖昧な言葉しかない世界で
曖昧な事ばかりをした
絶望など存在せず
かといって希望も無いような世界が
意味もなく立ち込めていた
間違うことから ....
白いカーテンの揺れる部屋は
少し黴臭く、湿っぽい
レンタルベットの軋む音の中に
心臓だけになった母親は 小さく呼吸を繰り返していた
はじめて母親の大きな身体が剥がれたのは 小五の夏休みだっ ....
The golden door
うちの猫はキーボードを踏んで歩き
スリープ状態のパソコンを呼び覚ます名人である
ぼくの彼女は何時も地雷を踏んで歩き
その意味ではとても有能な詩人でもある ....
この道の
最果ての夜明けで
または、
赤い月の落ちる砂漠の中心で、
裁断用のハサミで
制服のスカートを切りあおう
か細い指で、ずっしりとしたハサミを持って
瑞々しい太腿を切ら ....
見えるでしょうか
あの屋根の下、切妻という
人間で言えば額のあたり
大きな手形がついているのがわかりますか
男の手が両手揃って
雨の日などはくっきりと浮かび上がるのですが
今日もよく見 ....
〇一日目
お盆には帰ってくる? と聞けば
コロナ次第かな、と答える息子
じゃあね、と手を振る
新幹線の改札口
人はこんなにもさみしくなれる
胃袋までさみしさでいっぱい
白薔薇
花言 ....
芝生はいい
寝転がって
僕たちは笑う
とくになにがあったわけでもないのに
ただ笑って
じゃれ合って
空を眺める
雲が何にでも見えた
アイスクリーム
蛇の目
ありえない獣
五本 ....
「死にたい」
が
唇から零れ落ちる夜は
時間の粘度も高くなり
生きたまま
全身の血が失われていきます
苛立ちすら
霧散する無力感
【本当は】
【死にたくないけど】
【もう】 ....
あじさい柄の、
日傘が咲いています。
梅雨の間の、
晴れの日の、
左目が痛みます。
叫びは暗闇に飲み込まれ、おれたちは
財布を落としてきたみたいな心もとない気持ちでいる
神さまは金持ちにだけ整理券を配り
おれたちには聖書みたいに硬いパンを施すだけさ
適性検査を受けて戦いに ....
この夏に飛ぶはずだった白球よ、君はバニラアイスではないはず!
この夏を溶けることなく越え、君はいつか必ず青空へ駆けるはず!
気づいたら
こうしてインターネットの宇宙に
言葉を蝶々の折り紙にして
息を吹きかけて飛ばしている
私がいた
だけど
表現の自由が無限に与えられてるなんて
あり得ない
けして
....
カゲロウのようなヒトだと
おもったんだ。
はじめて
からだをあわせたしゅんかん、
カゲロウのようなヒトだと。
うまれたときから、
たべるための、
はなすための、
クチをもたない ....
落ちこぼれの僕たちは、硝子瓶の外へこぼれ落ちてしまおうぜ。
美しいだけの硝子瓶の外へ、泥臭いトレッキングブーツを履いて。
片田舎の単線はこころの隙間を
ゆっくり増やしてゆく時間がある
まるで泥水のなかを泳ぐように
深くヘッドフォンを刺す
信号のない、点滅した街の
壊れたコンクリートの道を
みんなに ....
夜明けの太ももは
物事を知りすぎて
動く気配もない
左よ、流れろ
真夜中のフラッシュバックに
首筋が次々と
反応したからなのか
カーテンの隙間に殺菌される
右脚が
あきらめ半 ....
今日も空は青かった
にこりともせずただ青く
無限の沈黙のうちに
それは在った
今日も私は無力だった
宇宙の虚無に耐えかねて
あなたにあることないこと
喋っていた
今日も黄昏は優 ....
今夜は魚の塩焼
ちょうど良く焼き上がって
美味そうだ
食べようと箸を近づけたそのとき
そんなはずあるまい
魚と目が合った
どうかしたのと向かいの母が尋ねるので
なんでもないよと ....
名前が
水たまりに落ちてて
のぞくと君が宿った
空のひろい方を
私は知った
朝起きて
カーテンを開ければ
片目の右は色を失い
半分白黒
週刊少年ジャンプ55ページみたい
左から右
スズメバチが私の視界を横断する
鮮やかな黄色の体躯
右に移れば
腹の濃い黒と薄 ....
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