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呼ぶことのない 
部屋のテーブルには
ざくろの 割れた実が ひとつ
むくれている ざくろには
いくつものやみがあって
そのうつろに 
赤黒い眼がおさまっている
ざくろの実に
穿かれた口 ....
中村くんとは小学二年のクラス替えのときに出会った
中村くんは絵の天才だった
井の頭公園で学年写生大会があった時に描いた彼の孔雀の絵
僕はそれを観せてもらって圧倒された
画用紙から今にも跳び出し ....
はじめに くらやみがあって
(ここまでくるのにながい夜をくぐってきた
一枚いちまい重ねられていく
生まれるまえは
まったくの やみだったと
うすぼんやりとした 
陽だまりの まえにすわって ....
空気は、視界の端の方でぎらぎらと尖っていました。
時間はぐにゃぐにゃと、伸びたり縮んだりしながら、通り過ぎていきました。
私は必死に仕事をしていました。
腰が痛いのに、たまに雑談して、にこやかに ....
沸騰する憂鬱を、
跳ね返すことばが、
さかなになって脳裏を横切っていく。
それを掴もうと、
手を握ったり開いたりしてみても、
私は海底に沈む難破船になって
視線を落とす。

*

 ....
梅雨明けの少し前、雨粒が入る家と入らない家の違いが分からなくて、屋根をじっと見ていたら失明した。雷の音だけが聞こえて、白かった。

人間が(つまりあなたのことが)見えなくなってしまったから百日紅の ....
それがなにやら
話し合いをしている

ぼくは海のはじまりで
耳を傾けていた


た、ろ、う、


それは
確かに
そう言った


後はしずかな
 ....
 

ゆけなかった

ひび割れた空のかけら
拾い集めて
黒曜をながした月光
あなたのような
静謐
いだかれながら
緩やかに枯れてゆく
水底の
片羽根なくした
蝶を

想っ ....
寒い冬の夜に
赤い提灯と屋台の車
そこにおじさんひとり。
マンションに囲まれた
住宅地に赤い光と屋台と煙
香ばしい甘い焼き鳥の匂いと
屋台から流れるラジオの音

"いらっ ....
ヤモリの張り付いた電信柱が
オレンジ色の灯りをともし
夜の歌を静かに歌っている
夜の秒針を刻んでゆく
ぼくは落ち着けないでいた

あの中華そば屋までの果てしない
道のりは
とても遠くて ....
鋼鉄の鎧が
にぶく光るのを見たか

青く濁った
異次元が
ゆがんで
その先に
銀色が
にぶく光るのを見たか

かっと開いた
漆黒に
あっという間に
呑みこまれ
あっという間 ....
きれいな人が 大きな昆布の束を抱えて
ピアスの石が イルミネーションに煌く
街のざわめきの中で 抱えなおした昆布の音が
雪が舞っている 北の海の潮騒に重なる


あたしは帰りに寄ったス ....
来るわけもない電話を待って
呼ばれていない場所へ出かける
いつものやり方くりかえし
たぶんわたしは終わるのだろう

降る里のない想いのことば
白い袋に詰め込んで
イブの夜にはサンタになっ ....
いつもなんか握ってる
石とか棒とか拳とか
それって子どものくせみたいで
一度風俗に勤めてみたが
最終的に
寿司屋に就職した
自動車には神が宿っている。そう確信したのは、運転を始めて一年ぐらい経った頃だろうか。自動車が人間とは独立した別の人格を備えていることは、乗り始めてすぐにわかった。自動車は人間の命令通りに動いているよう .... 酸性ガスと
アルカリガスの
満ちた路を彼らは
サイレンの響きに誘われながら
長い行列をなして
飽くこともなく歩き続ける

彼らに与えられるのは
社員食堂の定食の喜びだった
昨日はデミ ....
冬の紅い薔薇をみてみたい
いままでの悲哀を忘れるために

仕事の辛さ
部下の辛さを忘れるために

止めどなく時計が秒針を進め
ぼくらはついてゆけない
どうしたら良いのか
蝙蝠に聴 ....
あなたの ご要望には

何時 いかなる瞬間にも
何時 いかなる醜態でも
何時 いかなる形態でも 

お応えします なんて
お答え しかねます

ワタクシは 空飛ぶカエル
空 ....
アフリカ鍋には
キリンさんの首と頭がまるごと入っている
そういうと、
動物愛護協会から
クレームが来るかもしれない

キリンさんも可哀そうだが、
それならなんで戦争がなくならないんだ
 ....
クリスタルの薄い壁が
行く先を果てしなく延長させる
感情を腹に宿した目のない純白の生き物が
吐息と共にあらゆる喜怒哀楽を吐き出すから
辺りには雪のように言葉が舞い
その中に、かつての恋人に ....
何かを本気で伝えたいのは
感情がどうしようも
なくなるからだろ

好きだぁああああーーー

とか

腹立つぅうううううう

とか

さみしぃいいいーーーっ

とかね
 ....
すきなひとに気軽に
すきと言えないように

きらいなひとにきらいと
言えるはずもない

一緒の鍋をつついても
心にふれないよう気をくばる

湯気があたりをぼやかして
ほんとのことが ....
心臓の検査で二時間待たされた
結果説明をするのは
驚くほど穏やかな話し方の医師だ
この穏やかさは
草食動物がまどろんでいるかのようなぼんやり
草食動物が説明しはじめた
非常に穏やかにしかし ....
夕暮れブランコに揺られ
15の僕らは、無邪気に語りあった
あの子の事や 先生の事
これからの事や 嫌いな奴の事

誰だれのパンツが見えただとか
誰だれがでっ ....
天を突く壮大なプラントのサイレンが鳴り
ぼくたちはトボトボと歩みを進める

酸とアルカリの狂騒曲にもめげずに
ぼくたちはトボトボと歩く

たどり着いた溶鉱炉は
オレンジの秋の空色だっ ....
そば屋で
肩を落とした
お前をみることはできなかった
あまりにも淋しすぎて

一味でも
七味でも
やたらに振るお前を
見ていることなどできないでいた

ラジオの音だけが
俺た ....
覚め切らない皮膚 あまおとの影ふみ
ギターはたどる言葉のない遺言を

心から剥離した音は捨て猫のように理由を探さない
薄物のヒューマニズムを着せてはまた脱がす
週末の脈略は絶たれどこか乾いた ....
ぶーーーーーーぶっ壊したい

ーーーーーーー学校なんか

ーーーーーーーーーーーーーー ぶぶっ壊したい

 ....
夕月が
悲鳴をあげているような赤
骨の色に似た電柱の上で
闇のようなカラスが羽を休める
よどんだ、生温い空気の
送り主を忘れた鎮魂歌のような始まり


血液は半睡の眼と同じ ....
なみだ 落としすぎて、

めだま 落ちてきたんだ。


いっこ 落っこちて、

にこ 落っこちて、


もうない。と、思ったら、

つぎつぎに めだまが あふれてきて、 ....
山人さんの自由詩おすすめリスト(5297)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ざくろ- 光冨郁埜自由詩12*15-12-23
中村くん- たけし自由詩7*15-12-23
夜の子- 光冨郁埜自由詩23*15-12-20
年の瀬- 藤山 誠自由詩215-12-9
- あおい満 ...自由詩11*15-12-9
沐浴- マチネ自由詩515-12-9
なまえ- 溶融自由詩215-12-9
うつほ- レモン自由詩29*15-12-7
焼き鳥屋さんの詩- 自由詩8*15-12-6
闇路- レタス自由詩11*15-12-6
アカメ- 北村 守 ...自由詩615-12-3
グルタミン酸- 藤原絵理 ...自由詩13*15-12-2
ふゆのおさいふ- もっぷ自由詩8*15-12-2
寿司屋- はるな自由詩315-11-27
自動車- 葉leaf自由詩215-11-22
化学工場- レタス自由詩315-11-18
明日- レタス自由詩3*15-11-16
アスファルトガエル- 藤鈴呼自由詩6*15-11-12
アフリカ鍋- atsuchan69自由詩16*15-11-10
◎獏の夢- 由木名緒 ...自由詩14*15-11-8
オブラート- もり自由詩2*15-11-3
土鍋のこころ- 朧月自由詩1215-10-31
心臓の検査- ふるる自由詩20*15-10-29
夕暮れブランコ- 溶融自由詩215-10-29
生贄- レタス自由詩2*15-10-27
そば屋- レタス自由詩6*15-10-25
理由のない虹- ただのみ ...自由詩12*15-10-24
- もり自由詩4*15-10-22
いまだ降る光のレイン- ホロウ・ ...自由詩4*15-10-21
めだまあめ.- つきのい ...自由詩715-10-20

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