すべてのおすすめ
東京は小金井市に生まれて
横浜で育った
浅草寺を知らずに
僕等は育った
おとなになって
銀座線に乗っても
別に降りる理由もなかったから
僕等の名前を
覚えてほしい
浅草寺を知らない
....
用意
は
出来ました
丈夫な紐と
足を乗せる台と
遺書を書くための
紙とペン
紐を
電球の傘にくくり
丸いわっかを
下の方で作る
準備万端
そして
遺書 と言 ....
土曜日のお昼ゴロ
テレビの前でゴロゴロ
珍しくないから
昆虫図鑑にも載せてもらえず
面白くないから
観察日記にも書いてもらえず
疲れやすいお年ゴロ
リモコン片手にゴロゴロ
....
貴方が
例えば
呼吸の仕方を忘れて
足りない酸素に息苦しくなって、
若しくは
泳ぎ方を忘れて
沈むように光のにじむ水面を見上げて、
あるいは
行きずりの人と会って
口 ....
汚物は腐敗しない
腐敗しないどころか
浄化されてゆく
浄化されたものは腐敗してゆく
浄化されればされるほど
腐敗は目につき鼻につく
肉体とはなんだろう
百 ....
枯れた空 桜花舞う
散る花びらを辿れば
行き着く 儚き生命(いのち)
目を閉じれば 浮かぶあなたの青空
常夜に変わっても 待っている
澄んだ月に 希う
”どうか無事でいてくださいと ....
院長夫婦に預けられてぼくは病院に住んでいた
病室がぼくの部屋だった
おっとりして真面目ないい子だとおばさんはよくぼくをほめてくれた
その夏、病院に大量の小虫が発生した
ちょうど ....
今日も街には
愛のうたがあふれ
恋人たちは
夜のホテルへ急ぐ
阿部さんの提唱した美しい国は
愛国の印刷物を過剰に生産し
鳩山さんの友愛も
この国を
みごとに迷走させ
隣のねー ....
西向きの窓から
斜光が射す
食器が並べられ
煙草に火が点けられ
いくつかの詩が書かれ
最後に僕が
玄関から入ってくる
....
誰もいない夜明けの街を
少年が黙って自転車をこぐ
真面目に呼吸を続けながら
サルは今も進化と退化の中を
死にそうになりながら
生きているころだろう
エロい身体をした僕は ....
それから、わたしたちは
たわいもない話をした
例えば
太陽熱の行方であったり
入道雲の裏側についてだったり
陽炎みたいな
曖昧な、話ばかり選んで
窓から顔は出さない
直線的に切 ....
手をあわせていたときだろうか
ホテルにいきたいと言ったときだろうか
それともずっとそうだったのだろうか
手をあわせて並んですわってお喋りをした
ホテルにいきたかった
....
せみが
ものをいっている
ぎえ
ぎいぎぎぎい
いったい
どんないみなのだ
いみをしって
どうするというのだ
せみのことばには
あいうえおも
かきくけこもありません
さしすせそも
たちつてとさえ
いみはありません
ただ、ぎぎぎとか
ぎゃっぎゃっとか
なきながらとびながら
....
夢の中に美人女優が現れたので
ふら〜りと吸い寄せられていったら
ぱっと姿が消えて、目が覚めた。
隣には、妻が小さい{ルビ鼾=いびき}をかいていた。
起き上がって、ソファに腰を ....
遠く渚の白波が
さよなら告げるよにさざめいて
町の子どもの線香花火
夏を焦がして昇る思い出
古里は離れて尚もここにあり
暗い微熱に慕情が火照り
振り向けば妖しき街灯
誘う別れの一夜露 ....
僕は草むらの中を
一人で走っていた
時々、転んで夜虫と出会い
「やあ」と声をかけて立ち上がった
あれきり夜虫は追ってこない・・・
あの日出会ったのが最後だったのか・・・
....
あまりにも
咲き過ぎているから、と
たんぽぽを抜く
紫いろの可愛い花や
可憐にしろい小花の群れは
そのままにして
たんぽぽを抜く
たんぽぽは
花、という肩書きを剥が ....
森の小道の野いちご
朝露の髪飾り銀の櫛
草原に寝ころんで草笛を空に流せば
ひばりの駆け上がる雲の高みさえも
見えそうな気がして
遠い日々の
はずんだ夢を
映して
小川の ....
案山子になりたい
畑の真ん中に
片足で立ってみる
結構いい感じで
鳥たちと仲良くなる
農家の人は優しく
話を聞いてくれて
夜は立ったまま眠り
五年は帰らない
八月を
むやみに生きるの
てつかず
はちがつ
壊れるまで
そっとみてる
触れないように
かかわらないように
それでも
セミはおちていく
かぶとむしの
くびはおちていく ....
動かないで。動いたら動かされてしまう。動かないで。動かさないで。動きたいけど。動かないで。絶対に動かされてしまう。そうして次には自分から動いてしまう。そうなってしまうから動かないで。わたしを愛さないな ....
日焼け止めを嗅いで思う潮のにおい
白黒はっきりつけようじゃないか二の腕の日焼け
日焼け対策を怠れば手の平手の甲まるでお猿のよう
腹だけは未だ純白のままビキニなんて着れないもの
背中はノータッチ ....
鎖につながれたまま
ぼくは海へと落とされた
からだが腐敗していくよりも
錆びついてしまうような、
そんな気配が恐ろしくて
頑なに
ぼくは目を見開いて
泳ぎ去る魚のひれなんかを ....
みんな寝てしまった
ここは薄暗い
煙草の匂いが残っている
三つの茶碗が
シンクで黙っている
ここは薄暗い
ぼくは誰だろう
....
ブランコにのろうとした
そのときだった
いちじんのかぜがふいて
ブランコをゆらした
たくさんのこどもたちが
ひとつのかぜになって
はしりぬけたかのように
わたしに ....
白い月を横切る飛行機雲
塩素の匂い
ブラウン管に映る
よく焼けた高校球児
汗をかいたペットボトルの
清涼飲料水
耳を澄ましながらただよい、沈んでいく
午前0時
整合性の海の中で
....
東南アジアの音楽がこころの闇を奏でている
こころの闇なんか信じない
そううそぶいていたシンゴのこころにねっとりと熱い音楽が流れていた
こころの光を信じていたかった
鏡にうつった ....
鯨は賢いから
殺してはいけないのだと
海の向こうでは騒ぎが続いている
賢くないわたしは
きっと殺されてしまうから
その前に沈んでしまおう
深く、深く
肺が潰れてしまうところまで
....
あなたは
決してわたしをゆるさなかった
はじまりの
隠しあう接触のぬくもり
黒くながれおちる髪を
手櫛でやさしく梳きながら
洩れる水を袖口に運ぶ
清潔な距離がくれた
まどろみの ....
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