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おしつぶされて割れたはしばみの実が散乱している野のはてに
まだ泣かない人が立っている
私たちは割れた実を喰うでもなく拾うでもなく
この実の硬さをしりたいと
辺りをみまわ ....
朝焼けに
一羽のかもめ
雨上がりの黒い砂
足跡がひとつ
ざらつく視界
限りなく打ち寄せる
あったことと
なかったことの
波打ち際
灰色の雲間から
淡い光が染み込んでくる
....
見えてくるものは伝説にちがいない
…死ね… と言われないのが何よりもつらかった
誰も彼もが煙りのなか幻と消えて
夜が遠く、淋しい季節には熱い珈琲がよく似合う
湖を見つめている
波はい ....
風通しのよい現場
ここからは池が見渡せて
石碑もある
ラジオ体操もある
小学校は半休
午後は快晴
資料館に人はなし
殺人もどこかのどか
「
世界で最初に本とよばれたものは紙の束ではなく、粘土でできた焼き物だった。渇いて固まった土のようなみすぼらしいものを想像してはならない。それは白くて半ばガラス化した陶磁器である。本という字がきざみ ....
インド料理のお座敷で
王様気分で料理を食べた
トマトのスープもほうれん草のスープも
オレンジ色したドレッシングのサラダ
マトンカレーにインドウィスキー
あれがあんなに
....
キューピー3分間クッキング
土曜日のお昼まえ
スイカとメロンのサンドウィッチ
植物みたいなあなたの食べ物
やさしい気持ちをまもりたかった
メルヘンひとつもまもれなかった
....
おお、ポップコーンのカップの中で空振りする右手。食べつくしてしまった。食べた記憶もないのに。バターとキャラメルでぬめぬめと光って、指先が、母乳にべたついた乳首に見える。吸いつくわたしは、そういえばど ....
人形を捨てようとしている人に出会った
少し古めかしいフランス人形だけど
愛くるしい表情をしていた
捨てるのなら 私にください
と お願いしたら
いえ 収集車に放り込まれるま ....
まな板の上で
かつて
生命を有していた
魚が微笑う
深い海の記憶が
プチプチとした卵のかたちをして
銀色に膨らんでいる
今にもビッグバンを起こして
マリンブルーの
星の卵が
膨張しはじめる気配
....
夏になると私の心の中に生まれてくるものがある。何故なのだろうかと問いかけながらいつの間にか消えていく。ふるさとが貧しかった時代の頃から、夏になると飛び交う蛍を蚊帳の中に置いて眠ったも ....
青いビニールシート
に血が垂れて
かぶと虫が寄ってくる
私たちはオレンジジュースを飲む
悲しいかな上司に
散々
「sex」だの
「化粧」だの
「男」だの
「血液型」だの言われ
腰を触られ
毎週時間外2時間拘束説教され
つづけて
アトピーが再発し
心臓の発作 ....
大きいパナ○プを買ったら
ホワイトチョコがちりばめられてて
「ミルフィーユの様な食感」だとか何とか
{引用=
チョコを食べたら鼻血を出すので
最善の注意を払って
パキパキと音のする
....
錦糸町で仕事をした
スカイツリーが漠然と建っている
整然としておおぶりな街路樹や街道
唐突にそびえている建造物
まるで中国の都市にいるようだ
街は開発というシステムに ....
ギュッとどこかに押し込んだ
ぬるい昔の恋を
こっそり取り出したみたら
まだ賞味期限前
少し苦いけれど
少し酸っぱいけれど
それでも
あの頃の二人が好き
暑さに揺れる街の上 ....
空が青い。雲はまっしろ。
山に囲まれた中途半端な町。
良くもなけりゃ悪くもない。
古いお山がたくさんあって
いたって普通なんだけど
なんだか時折切 ....
放浪の俳人・種田山頭火の、
昭和8年(1933年)10月15日の日記。
私は酒が好きであり水もまた好きである。昨日までは酒が水よりも好きであった。今日は酒が好きな程度に於て水も好きである。明日は水 ....
濡れた髪は ずっしりと重く
何か 不吉なものでも
背負ってしまったかのような
切迫感に 駆られる夜
ドライヤーで 乾かすと
スッキリ 軽くなるから
何かを 失ってしまったような
不安 ....
〈その1〉
乳首の無い乳房をどうすれば良いか
それは一体何になり得るか
これほど寂しい物体はない
これでは彼が愛撫を飽いてしまい
―― この上で赤ん坊は死ぬのだろうか
そんなの嫌だ
そし ....
あたしがみる夢は
いつも
途中で真っ黒になる
それは空から突然
真っ黒な布をはらりとかぶせられたように
やっと 電話が通じた途端
やっと あの人が現れた途端
やっと 抱きしめられた途 ....
蟷螂は交尾を終えると雌が雄を食べてしまうという
そんな恐ろしい話を聞いたので調べてみたのだが
厳密に言うと交尾の有無とは関係無く
雌には雄が餌にしか見えないらしい
自然界で捕食される事は滅 ....
インドから来た 一隻のタンカーが 岸壁の前に泊まっていた…
だけど海は それを知るにはあまりにも広すぎた…
私の好きだったことは 一体 本当は なんだったのだろう
季節は 流れていく
そし ....
もう終わりなのだと
言われても
私という人間は
顔では笑っています
それはとりあえず
同意の笑いです
あなたとの関係を
壊さないための笑い
すぐに終わるわけでは
ないのですから
....
窓を開ける
雲が見える
昨日のことのように
上り坂を下る人がいる
解熱剤でも飲んだのか
郵便局の職員が
自転車に乗っている
あなたのことが心配で戻ってきました
と言う男がいて
へっと思った
あたしは
その男のことをそのとき初めて見たのだけれど
まるで ずっと昔から知っているようなふりをして
腰のあたりで ....
季節は黄金色輝く稲の穂を尻目に、よくできた鳶色の瞳で追いかけるように単純には語れない 。
晴れ渡る日には地図を描いた布団を干す傍らで、照れ隠しに外へ飛び出す少年の姿も
大きく翻るスカートの裾 ....
ベランダで裸になったまま
何もすることのない私は なんとなく今日はいい気分だった
このまま死んでもいいと思った
そうして いつまでも 私は流れる風に吹かれているようだった
ぼん ....
肌を剥き
熱を忍ばせたら
恋になるとでも思っているのか
あの人なら
触れずとも
私を炙る
腐るぐらいに
あのころのぼくをときどき思い出す
お寺で不動明王をみた
石でできたお不動さんだった
こわい顔というより
こっけいなほど醜い顔をしたお不動さんだった
つぎの日図工のじかんに ....
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