すべてのおすすめ
日が沈むと駅は
生きるものの
蒸れた匂いで一杯になる
人々はそぞろ歩き
鴉が飛んでゆく
何もかもが
草臥れてしまったようで
それでいて
....
電車が混むのが嫌だから
駅までのバスは
いつもより1時間も早く
するとちょうど
妻と息子の
通学時間と重なって
息子のこだわりは
バスの乗り方にもあって
いつも最後部一列席の右 ....
風が涙を後ろに吹き飛ばしてくれるよう
顔を切り裂くような冷たい北風に顔を向けて
身体をつんのめるようにして歩き出す。
冬の並木道は魚の骨のような街路樹と
銀色に輝くアスファルトの路面が光って
....
大事なひとの笑顔のためなら
なんでもしたい
みんな想うのに
通りすがりの空き缶ころころ
風に震えてても触れないね
おかえり
ただいま
星はみえない夜だけど
話を一つ、でっち上げるために
私の星座が生まれて消える
悲しいと誰にも言えないことが
悲しいことではないと思う
もしも私の半分の
歳のひとに出会ったら
そのひとの下につこう
右手の分だけ ....
犬がひたひたと
冷えた地面の上を歩く
その横を
静かに川が流れている
時折起こる波の先端が光を散らす
足下の土は湿っている
犬の一啼きは
川と共に流れどこかへといってしまう
わ ....
言葉の中から出されては
眠りに落ちる
目の前には誰もいない
夢を見た
自分とは何だろう
涙を見た気がする
私の中で
希望を掴んだ気がする
夢の中で
近いのは 山々
....
木蓮は一心不乱に花を咲かせ
嘆くように朽ちていく
茶色い花弁を散らかしながら
乙女のように衰える
しかし枝には
細かな緑を隠していて
生きること
静粛な佇まいの内に主張している
....
みぎの のうを しゅじゅつした あのひから、
さくらのつぼみが
ぽつぽつ
ほころびるころになると
わたしは いつも
ひとつだけ
かみさまに
ねがいごとをするようになりました
よこになっ ....
金の光を体に帯びた
釈迦の言葉を聴きながら
緑の木々の下に坐る弟子達もすでに
金の光を帯びていた
夜の森の隅々にまで
不思議な言葉は沁み渡り
葉群の{ルビ詩=うた}も
森 ....
はたらきありが
よるになっても
すにかえらない
はなは
まよなかも
さいたまま
つきとほしは
たいこのむかしと
かわりなく
ゆうごはんを
つくっても
あな ....
磯辺の岩に立ち、風に吹かれていた。
僕の幻が、波上に輝く道を歩いていった。
浜辺に坐る妻はじっと、目を細めていた。
岩の上に立つ僕と
海の上を往く僕は
激しい春風に揺さぶられ ....
頭が痛かった
酒を飲んだからか
ひと駅わざとゆきすぎて
寒夜の家路をえらんだからか
たいせつな存在が嗚咽していた
ほそい声で頭が痛いと伝えていた
だからだろうか
....
走れ。
翳りの中、狭い光が照らすアスファルトの上を。
夜明けとともに訪れる、日没の予感を。
その林、海の花びら、霧を抜けて。
車窓のない列車は
「夜目」という名の駅に向かい
走行していた
乗客は皆、無口だった
そして窓外の景色でも見るかのように
ただ壁の方に視線を向けていた
車窓のない列車というものは実に ....
おかあさんがだいすきな
ぼくがひとり
ここにいる
でもぼくは
ひとりじゃない
おかあさんがいるから
本来 ぼくは
日本一のガンジャポエトだった
前科を背負い込まず のうのうと生きてきた
それが最近では
日々
−化学物質で肥えてゆく
眼つきだけは痩せて尖る−
....
岡ちゃんはフラれた昨日をネタにしてジョークジョークと高笑う
ねじり鉢巻キマってんのにモテねぇじゃんか
あらよっ もいっちょ
ソビエト連邦崩壊しても
コンベアの冷凍サーモン高々と積みあげ
平和 ....
やっぱりさ
逆レイプって
夢だよね
僕ってほんと
軟弱で
肉体的条件としちゃ
結構普通に
逆レイプされちゃいそうなんだけど
でもそこは
重傷負ってるとかって
....
やわらかく
冷たく
甘い
蜜のかおり
深々と吸いこむ
吐く息に
漏れる体温が
表面をかすかに湿らせる
そっと
唇をあててみる
....
月曜に目が覚めて
一日の終わりは週末に来る
燃えないゴミを捨てて
三日前に拾ったのは
熊なのか犬なのか
分からないキーホルダー
キラキラ揺らしながら
電話越しのあなたは
急ぎ足の青 ....
瓦礫のやまにゆきが積もる
毛布をまとった老婦
明かりをとざされた夜の 白い息
あなたは、そのすべてを可哀そうだという
ここには明かりも暖もある
温かな食事も好きなだけ使える水も
重湯を ....
神秘の指寄せ ネットシャーマン
一種の道化者と
お笑いになっても
一向に構いません
ですがこうして
千葉県は大安寺の住職
不肖、山郷十五
シニア世代の方々が
多く集われる
こ ....
僕の息子は自閉症だ
養護学校への送り迎えは
妻がしている
朝夕、電車とバスを乗り継ぎ片道1時間かけて
学校の先生は
常日頃言っていた
息子さんなら自立下校も大丈夫
その言葉は、僕らに ....
あたしを見たいなら
あなたの手であたしを汚して
あたしを嗅ぎたいなら
まずは汚物の匂いを嗅いで
あたしを聴きたいなら
悲鳴をあげさして
あたしを味見したいなら
....
ガールと言う言葉に閉じ込められた処女性に処女では無い君を放り込む
その君はいずれそう遠く無い未来にオンナになる
(まぁ君は処女では無いのに処女をこじらせている自覚は無いだろうけど)
と言う ....
しとつく雨のなか
ふたりで歩いたキャットストリート
ぶらぶらぶらぶら
久しぶりに会ったあなたは前会ったときとなんにも変わっていなくて
顔を見たら何だかほっとした
心の糸が一本緩んだみ ....
広島で一番
遠いところが見えるのはどこかときくと
君はちょっと首をかしげながら
「江波山」だねって答える
去年だったかな
それっきり忘れてたけど
遠くが見たいと考えた途端に
君の怪訝な顔 ....
今朝からの気温
変わらない気がする
私の今日をふとふりかえる
足跡があると
思いたいのも認めて
暮れる空みる
みな帰れよ
それぞれに帰れよ
祈りとかくのもおこがましく
指 ....
残酷なニュースを見た
僕は中国の大地に頼りなく立っていた
テレビの画面に張り付いたままだった視線
津波の濁流は圧倒的だった
僕の頭に浮かんだのは
これからどうするのか
....
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