すべてのおすすめ
入場券だけ一枚買って
立ち入ってみたプラットホーム
あなたが好きな場所だと
教えてくれた
京都駅の新幹線のプラットホーム
鉄道駅でもここにいる
人たちの雰囲気、
....
冬の明け方は
張りつめた
無数のピアノ線が
地面と空を繋いでおり
知らずに触れてしまうと
冬の心音を奏でてしまう
透明な波のように
冬の涯てには
凍りついた楽章が打ち寄せる
夜が明け ....
朝に、
流動する微細に
粘りつく
巨大な
極彩色の
おもちゃ箱
ひっくり返す
アパートの部屋、外に出れば
無意味の大河流れ
時間を引き裂き響かせ
そらはあいかわ ....
今日は僕の誕生日だ
僕はかなり以前から
自分の年には違和感を感じてきた
近頃その違和感がひどくなってきている
僕はいつの間に
こんなに年を取ったのだろうと思う
「誕生日おめでとう!」
と ....
冬に一度だけ訪れる夏
ぬいぐるみを窓の外に向ける
雨だったから誰も気付かない
坊主よりも優しく
木魚を食むネコ
水の出ない蛇口
庭の雪の珈琲
あなたは消える蝶々を私にくれた
....
水を得た夜空です
夜には澄んだ真水がある
手をのばして
触れようとすると
逃げてしまうんだね
小さな星に隠れた
君の息づかいを聴いていると
とても静かな胸の内では
真水が溢れてくる
....
九州では初めての初日の出登山だった
日本百名山の韓国岳へ友人と出かけた
2時間弱で何回も登っている山なので
軽く考えたのが
まちがいだった
登山口から頂上近くまで
大雪が残っていた
とこ ....
午後五時になったので例のとおり
洗い物をして、米を研ぎ、ご飯を炊く
今夜は豚ロースと白菜の回鍋肉にしよう
冷凍の豚ロースのパックを水に浸けて
流水で解凍する、そして合わせ調味料を作る
白 ....
「風の強い日」
ぽっかりと空いた
鳥の空洞に
冬を詰め込んだら
空
あんなに高くなるんだ
街で暮らす人の目は
うつくしい等高線を
描き出す
いつの間にかの
水溜まり
天気予報 ....
銀の街灯、
セブンイレブン、
真夜中
おでん買いに
ちくわぶ、
こんにゃく、
はんぺん、
しらたき、
天使たち
大地を蹴る
午前三時、
わたしとあなた
銀の街灯の下、 ....
古井戸に棲む仙人の気持ちで
六畳間の壁に書き付けていく
出鱈目な自叙伝や図形や絵
油性マジックは三十本買った
そこまではやってみる全裸の男
クリスマスの日、私は生業で大きな成果を出したものの、そのストレスと疲労で体調不良に陥っていた。フワフワするようなめまいがして、日常生活にそれほど支障はないものの、極めて不快な日々を送ってい ....
詩を書くつもりなど無かったのに
またワードを起動してしまった
詩の投稿サイトを覗いたら
自分の詩にポイント通知が三通ついていた
それに気をよくして調子に乗っている
倦怠感に抵抗しながら台 ....
現代詩百年の孤独
わたしのいきつけの書店ではもう何年も前から「現代詩手帖」なんか店頭在庫していない。現代詩はもう「お取り寄せ」の詩になってしまった
と嘆いたのは十年以上前のこと ....
この世で生きるために
自分が望んでない仕事をし、
向いてないことを実感し
それでももう選び直すこともできず、
ひた走るしかなく
私の人生ズタボロだなと実感する
それが私のクリスマスイブ
....
信号待ちをしていたら
横断歩道を渡っていく
誰かが捨てたビニール袋が
その足をアスファルトにつけたまま
滑るように
ゆっくりと
信号が青に変わる直前
ビニール袋は渡り終えて
私は
....
ゆきが おちてくる
海がひろく
不思議な 音をたてていた
灰いろの山と 横たわると
風にも 鳥にも 色いろあると分かる
やさしくしたい けれど
今のぼくには できない
ゆ ....
小さな啄木鳥が
枝のむこうに
隠れて鳴いている
霜に白く
苔に覆われた墓石の上に
戯れる小栗鼠
韜晦する記憶のメレンゲ
青い雫
仄かに紅く冷たく
かじかんだ耳たぶに
触る
....
ときどき
胸がつまるような感覚に襲われ
苦心して 小さい毛玉を吐くのです
それから少し楽になって
ソファの 昨日と同じ場所に
まるくなります
窓の外が
この頃妙に明るいと思ったら ....
西陽の傾く校庭で子どもたちが
次々と爆発霧散してゆく
明くる日には
何も無かったかのような顔で
それぞれの席に着くので
教室にはいつもきな臭い
硝煙の臭いが充満していた
(働く手を知 ....
君はさながら落下した蝙蝠
五体投地のごとく身を投げ
泥に翼を打ち付けながら恍惚と匍匐する
堕胎した言葉の数々を
霧の森の果てる處に埋めに行く
生まれよう ....
初冬の光は
ちょっとあたたかで優しい
川のほとりで
すすきが日光浴している
若いすすきは
つややかな穂先をしならせて
本当の冬を迎えうつにあたり
どう生きていこうかって
ささや ....
去年の年末に
急に
母がご飯を食べられなくなった
入院して退院してご飯だけは食べられるようになった
みんなに迷惑をかけたくないからと自然に弱って死ぬのを決めた日に父にすき焼きを作っても ....
だいこんを抜く
よく太って近年にない出来映えだ
ぢの痛みを我慢しつつ植えつけたから
ご褒美なのかもしれない
この冬は
だいこん、たまねぎ、そらまめ、茎ブロッコリーが
畑で育つ
いつも ....
地の時代の闇が世界を覆っている
飢えて寒く凍える肉体と精神
厚い雲に遮られて
天球の恒星の光すら届かない
暗くて闇に慣れた目でも
自分の手のひらさえ見えない
さっきから聞こえるのは
....
ダウン症児の息子をどっこいしょ、と
支援学校のバスに乗せてから
家に戻り、テレビを点ける
連続テレビ小説『舞いあがれ!』で
ナガサクヒロミが娘を想う名演に
涙ぐみ・・妻に言う
「こ ....
夏の盛りの訪れに木製の扉が開かれ、庭は一面青い草や花々でうっそうとする むせかえるような夏の草の匂いがして女は如雨露でマリーゴールドや向日葵に水をやっている 軋轢都市の水位は上がり、樹で蜜を吸うように ....
石化した待合室で蝗が飛ぶのを見た
複眼で分割されたぼくが
次々と風化されてゆく
風の中に散る秋の花があって
単線の枕木は草草に食べられている
薄暮という暗さの中で
祖母の大きな輪郭を覚えて ....
あたたかい光に包まれて
ボックス席が並ぶ窓際
レストランという故郷
ストローで吸う
上がってくる液体の
予感だけで
運ばれてくるハンバーグ
鉄板を弾ける油
小さな粒子になって
....
―野原でまぼろしが燃えていましたね。
―ええ燃えていましたね。
―あのあおじろい火から
燃える蛍のランプはいくつ作れるのでしょうね。
―ええいったいいくつ作れるのでしょう ....
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