広すぎて あまりに広すぎて
ポー


一人でいるには この家は

あまりに 広すぎて…

何をしようもなく

何をすることもなく

ただ 僕のまわりの空気が異様に冷たくて

ただ ぽつりと懐かしき日々を描いて

いつかどこかで出会った

怯えた迷う子猫の幻影を見ている

どこか僕に似ていた

モロはもういない

公園猫モロは 少し寒くなり出した秋の夜

僕の前から 消えてしまった

毎夜 モロと遊ぶのを楽しみにしていた日々が

とても遠く感じている

あの時 モロを飼わなくてよかった

この広すぎる家に 僕と二人では寂しかろう

殻の中にいる僕と二人では 切ない想いをするだろう


そうだ ご飯を食べていなかった

いつ 薬を飲んだのかな

時は単に過ぎてゆき

僕は流れに乗れず うろたえ震えている

何をするわけでもなく

広すぎる家で 胎児のように眠る


いつか また 笑えるように

あの流星群を見上げ 願ったように

感覚のない足で しっかりと歩けるように


僕に必要なのは 僕に戻ることだ

あの熱い夏の前 寒い冬の中で元気に笑っていた僕に


折れた翼が癒えたなら

もう少し ましになれると僅かな石を握りしめ

ただ ぽつりと広すぎる家で僕と向き合おう


広すぎて…あまりに広すぎて





自由詩 広すぎて あまりに広すぎて Copyright ポー 2011-01-11 00:19:19
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