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夏の盛りの訪れに木製の扉が開かれ、庭は一面青い草や花々でうっそうとする むせかえるような夏の草の匂いがして女は如雨露でマリーゴールドや向日葵に水をやっている 軋轢都市の水位は上がり、樹で蜜を吸うように ....
石化した待合室で蝗が飛ぶのを見た
複眼で分割されたぼくが
次々と風化されてゆく
風の中に散る秋の花があって
単線の枕木は草草に食べられている
薄暮という暗さの中で
祖母の大きな輪郭を覚えて ....
あたたかい光に包まれて
ボックス席が並ぶ窓際
レストランという故郷
ストローで吸う
上がってくる液体の
予感だけで
運ばれてくるハンバーグ
鉄板を弾ける油
小さな粒子になって
....
―野原でまぼろしが燃えていましたね。
―ええ燃えていましたね。
―あのあおじろい火から
燃える蛍のランプはいくつ作れるのでしょうね。
―ええいったいいくつ作れるのでしょう ....
さみしいんだろう
うん
でも そうでもない
でも さみしいんだろう
うん
だってさ ひとりでいきてるんだぜ
....
土煙(つちけむり)
積乱雲
四季の狭間、の十字路に立つ
深夜、明け方の少し手前に、このマンホールに飛び込むと
黒々と波打つ日本海へと通じるトンネルになっている、らしい
陸橋の塗装に書 ....
ぼんやりと
静けさにたたずみ
軒先から
雨滴、ポツリ ポッ
透明に落ち
痛む肉のわたしを包みます
遠い遠い故郷から
木霊するよな初冬の雨降り
冷気、奥まる意識を浸し
ゆるり、覚醒 ....
笑いながら枯れていった
夏草の影は
種子を残さなかった
わたしたちの手のひらには
やがて海が降り始めた
砂の建築物がぽつぽつと建って
線路が敷かれた
私鉄沿線沿いの小さな部屋で
わたし ....
猫が見ている
私は悪いことはしていない
それでも猫はじっと見る
正しく生きようと思う
うちに猫はいない
タオルハンカチにプリントされた猫
それでも猫の目は
人 ....
それから
わたしたちは
小さな書物になりました
耳を閉じて
陽の当たらない書庫に
丁寧に並べられて
呼ばれない名前を付けられ
秋が去るのを知りません
鳥たちは渡っていったのか
薔薇の ....
柔らかくて湿り気のある赤ん坊の肌状の空間が薄いグレー。
空の成分について考える。
感覚と距離を体に叩き込む。
意味とかなんて全然わかんなくていい。
俯瞰する自分自身のイメージを何回もシ ....
あいさつを しない おじさんが 公園のラジオ体操に くる
わたしより としうえの はずだが
歳より 若く みえる
ふとって いる せいだろうか
この お ....
缶けりをしたくても
缶が拾えなくなるくらい
公園はきれいになりました
危険な遊具は
取り除かれて
芝生だけが残りました
ゴミ箱は見当たらず
吸い殻一つ見つからず
スリルは
....
夜の澄んだ空気にあてられ
街を歩いて湖畔に向かった
ざわめく気持ちに呑まれながら
歩みはただ疾さを増して
静寂の水面が鏡となる
自分の姿をそこに映して
湖島の闇 ....
夜風に紙垂がゆれる
一文字だけの汗
斜影のない自転車を追いかける
金星はいつも金星で
見上げれば笑う檸檬の月
御前三杯酢をと乾く舌から 季節は巡り
....
あてもなく歩く
ただ空を見上げて
吐き出す
息の白さが
そのまま雲に
届いて
靴紐みたいに
解けそうになる
首に巻いた
マフラーは
時計の針と
同じ方向で
一歩 ....
無音の闇の中
キンキンと耳鳴りの音
時々聞こえる時計のアラーム
起きては消えていき
朝の喧騒が近付くのを知らせる
目を瞑れ
目を瞑っていろ
圧力は増すばかり
....
くそう、近所のスーパーが一軒潰れただけでこのざまだ。
歩いて行ける距離、安さ、おいしい肉海鮮。完璧だったものを。
実は近所にもう二軒スーパーはある、十分じゃないかな。
しかしおいしい ....
彼岸花の熱に服を焦がされ
黒と茶のまだらになった
最初は白いシャツだったのに
空は膨張し雲は引きちぎられていく
喉の奥がいがいがする
息も唾液も通らない
秘密の部屋で
黄色く発酵して ....
たまに孤独を感じることはあるが、しかし、そんなときには砂漠の写真を眺める。空が闇に侵された下で、砂漠は、月明かりに銀色に興奮している。僕は、そうすれば、孤独から逃げられる気がする。理由は分からない。も ....
あらゆる全部に値札がついて
かんたんに花をつむこともできない
ぴかぴかの看板を背負ってあるき
いちにち集めた小銭とひきかえに
やさしい、こまかい花を持ちかえる
世界はわたしを許したこ ....
おかしいくらい、
私の人生が冴えていたことは、ない。
ただの1度もない。
休日は後ろの席の嫌な男のことを
ずっと嫌だという思いが消えない
ずっと好きな人がいて報われないけど恋に囚われていた方 ....
なぜか得してるように見える
しょうがない人
なぜかいつもニコニコ和ませる
しょうがない人
なぜかスローモーション
しょうがない人
もしかして ヤキ ....
雨が降る
激しい、激しい
雨が降る
漆黒に濡れ光るアスファルト
雨垂れは規則的に軒先から落ち
わたしはコンビニのイートインにて
濃いアイスコーヒーを啜っている
さみしい気持ちとあ ....
・ ・ ・
今年の森の地図が
そろそろ終わりだから
恵みにあやかりたいと
降りた自転車を立てかけた
裂け目のような木の下闇からは
あからさまな拒絶の気配を感じたが
それは人間 ....
わたしたちは歩く
可笑しなことはないのに
となりできみが時々ちいさく笑う
(なにか間違っている?)
でも訊くことなんかできない
わたしたちは黙って歩く
おおむねすべてのひとたちは
....
うすぐもり
ベランダから
なにを見ているんだろう
虫
鳥
雲
それとも
窓
ひとだけに
不自由がはびこる
気づくと
いつ死んだかわからない
カタツムリの
はりつめたよ ....
私はあそこに住んでいた
だから帰りたいと思うのだろう
いつか
いつの日にか
元の姿に戻って
愛しい人と再び会って
帰って行くのだろう
懐かしい家に
言葉も忘れて
静かに漂いながら
....
帰ろう
窓は開けたから
明かりもついたまま
温かいスープまである
帰ろう
足の折れたベンチと
錆びの落ちないすべり台
乗客のほとんどいないバスが走る
ひび割れたコンクリートの垂 ....
肩越しに見える夕陽が
傷跡みたいに赤く
落っこちそうで
揺れている
並ぶのは景色ばかり
それでも
君が振り返ると
音なんてしないのに
ギュッと
掴んだ手首は
熱くなる
....
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