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 雨風とともに薔薇が舞い落ちた。
 朝がきた。
 原稿のうえで眠る青年が目覚めた。
 さて君の心のうちは傷になるほどよくわかったが、
 それでも君は奪えまい
 その匂いと
 ふたつの瞳
 君のこしらえた憶い出は
 思い出すほど麗しい
 そして君にはおぞましい
 晩年 ....
 花が絶えたら 私は思う
 私は幾日 生きたかしらと
 北風が灯を消すように
 闇が私を連れてった
 雨が花びら流すように
 夜が私を連れてった
 こうして街の橋げたの
 隅で花売る娘の ....
 行け その細い径を通って
 白銀の雨のふる 森のなか
 あたらしい宝物の絡み合う蔓植物の
 つまらない詩句の鎖を見て来い。

 案外つまらない
 つまらないものなのだ
 それゆえに ....
 薬の臭気が私の鼻をつまむ
 私は奇怪な妄想に胸ふくらます
 青空! 空はあおい
 そのもとに灰色の飛行船が飛び交う
 私の脳味噌の断片
 爆発した心臓の破片
 鮮やかな紅の紙吹雪が
  ....
 僕の詩は、青い壺の中にある
 壺は青く、眠れない。
 眠りのためなら
 この腕をもぎ取り、
 (―さながらレモンのように)
 真っ赤に浸してしまいたい。
 
 美味いカクテル 女向 ....
 
 光に飢えて
 死んだ薔薇。

 僕の{ルビ瞳=め}は唖になった。
 食卓に赤い{ルビ染点=しみ}
 ところどころに、
 あの 暗い日の 思い出が
 甦る。

 ああ、与えてよ ....
 
 夜風さすらう夕暮れに
 秋はひとりで花を買う
 辞書は窓辺でつまみ喰い
 寂しさに 疲れあぐねて・・・

 花篭は からげのままに
 草わけて 進みゆく歩哨兵
 やがて時計の喇叭 ....
 あと四年若かったら、
 僕は碇になって、港に沈んでいるだろう。
 船をしっかり支えながら
 壮大な出航式を待っただろう。
  それはおだやかな海を渡って、
 詩人という島まで、のんびり旅を ....
 詩が何処へ誘うというのか、
 行きつく処といえば、せいぜい
 薔薇の砂か 酒瓶の底だろう

 私達はいま この安宿で
 たしかに褥のうえに居る
 そうして眠る、嘘つきながら
 
 夜 ....
灰色の空を{ルビ背景=うしろ}に
 黒い背広を着た男、
 街燈の、直立不動の寂しさに、
 北風に、灯は揺れる・・・・・・・その昔、
この道を{ルビ通=かよ}った男が
 そこに見た嘘の女を
 ....
 雨よりも痛い針がある。
 夜よりも鋭い刃物がある。
 憂鬱が、
 僕の胸を刺す。
 時計が十時の鐘を打つ。
   今日、僕は眠った。
   やさしい人は、
  誰も、どこにもいない。
 蓮の隙から顔出した白鳥は
 あてもなく
 よすがもなくて
 海の{ルビ底=そこへ}へ沈んでいった。

 僕は窓からそれを見ていた。
 暗い夕暮れの間奏曲、
 こんどは死が
 僕を覗い ....
 太陽の灯を消そう、
 吹き消そう、
 すると見えてくる
 難解な文字や数字を窓から棄げて、
 生まれくる冬の寒さが。
 仄白い僕の心のなめらかさ―
 太陽は嘘をついた。
 それゆえに巡 ....
 私は赤い太陽をみた
 それは
 戦場か
 酩酊か
 醒めたくも
 醒めやらぬ憂鬱の眠りのなかだった。
 それは
 文字どおり赤く巷を照らしていた。
 神々しい輝き、
 それゆえに街 ....
 私の胸に埋ずもれる
 ちいさな4つのシュークリーム
 背中とてっぺんのこげた桃色
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・
 それが机の上にある。
 コーヒーと
 マッチと
 葉巻。
  ....
 夢のような 心軽さで
 私は窓辺にたっていた
 黄色い{ルビ灯=あかり}が漏れていた

 やみがたい 私の心のすき間から

 疲れた{ルビ貴女=あなた}のしぐさのひとつひとつが、
 ....
 白い鳩
 {ルビ貴女=あなた}の首のしなやかさ

 円柱を飾る髪の毛が 池のほとりで、
 緑の{ルビ水面=みなも}に 映えては、揺れる

 くろぐろと
 おまえの胸を 見せびらかせる
 ....
 白いかがやき!
 光のなかで 男は
 悲しみに暮れる。
 薔薇はまっすぐに
 男へ 伸びる。

 救いの手!
 その茎には棘がある、
 まるで女の指のよう。

 天空に 咲き誇る ....
 黄色い街の夕刻を
 雨が飾りのように降り出した
 人はみな 気付くまい
 この少女の頸の宝石に。
 若い男は髪ばかり
 中年男は 胸と脚、
 年増の女は 一瞥くれて
 皮肉をたれる。
 ....
石瀬琳々さんの白雨さんおすすめリスト(20)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
三つの死- 白雨自由詩206-11-29
がらくた箱- 白雨自由詩5*06-10-1
花が絶えたら- 白雨自由詩4*06-9-30
冒険- 白雨自由詩4*06-9-29
- 白雨自由詩2*06-9-27
詩作- 白雨自由詩506-9-25
涸れた水差し- 白雨自由詩306-9-25
城下町- 白雨自由詩406-9-22
あと四年若かったら・・・- 白雨自由詩3*06-9-21
愛と夜の私達- 白雨自由詩406-9-20
氷った街角- 白雨自由詩6*06-9-19
_- 白雨自由詩206-9-18
白鳥—暮れかたの変奏- 白雨自由詩306-9-16
若人の歌- 白雨自由詩306-9-16
赤い太陽- 白雨自由詩4*06-9-2
七角形のキュビズム- 白雨自由詩406-9-1
葉蔭より- 白雨自由詩506-8-25
夢のあなた- 白雨自由詩406-8-24
白痴- 白雨自由詩4*06-8-23
頸飾り- 白雨自由詩106-8-22

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