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そこはいつも夕暮れで
暗く沈んだ花園
ある時
一匹の鮮やかな蝶が生まれて
その上を軽やかに舞い始めたのです

私は長いこと
絡み合う植物でした
痩せた葉は光合成を忘れ
さりとて枯れる ....
モネよりも
ルノワールよりも
キスリングの絵が好きです

彼の描くミモザは
その小さい花の一つ一つが
どれも眩しいほど鮮やかなのです

それは美しい憧れです
あなたの目に
私はその ....
私は時々
雑踏の中へと
足を運びます

人々の声と
足音と
それらのざわめきから
あなたのささやきが
生まれてくるようで

太陽の熱で
大地から水蒸気が昇り
その粒は集まって雲 ....
今日もまた
あなたのいない夜が来て
私の裸体に
常夜灯が点々と灯ります

あなたの吹きかける息だけが
ランプの中で揺れている
赤い炎を消すことが
できるのです

一つ一つ
あなた ....
あなたへ手紙を書こうとする時
暗闇を映した窓に
例文が訪れます

「あなたとは
 もう何も無い」

私は絶対に
そんなことを書きたくはないのです
ありえないほど光に満ちた
未来を思 ....
あなたに出逢ってから
私は雪原となっていきます

本当の私は
もうどこかに埋もれてしまって
私はただの一面
白く変わっていくのです

あなたの目にも
私は何の色彩も持っていない
存 ....
あなたに愛される
蝶のようには
なれなかった日

私は一匹の蛾となって
その燐粉は七色に
辺りに飛び散るのです

私の周りには虹ができ
私は私の毒に
やられてしまう

あなたは ....
大切にしていた小鳩を
私がそっと取り上げて
早く大きくなりなさいと
あなたの耳に囁きかける

男の子なら
強い猟師になるべきだと
お父様もおっしゃいました
お父様は自由に空を駆け回る
 ....
海はどこ?
と言いながら
あなたの中で果ててゆく

海が見たい
と言いながら
あなたの中で消えてゆく

海に行くわ
と言いながら
あなたの中で力尽く

優しい光の街灯が
石の ....
一人の少年の出現に
森はざわめき始めた

樹々に宿る精たちが
その瑞々しい肌を巡って
争うこととなる

乳房のような
臀部のような
熟した果実をふくらませ
森は目覚めに入った

 ....
外の風に吹かれて
眠る夜はいいものですね
遠く夜汽車の音を
聞きながら

私は線路に耳を当て
旅立っていく汽車の音が
消えるまで
いつまでも聞いている
そんな姿を
まどろみの中 ....
ひとりの時も私は
うつくしく
うつくしく
している

鏡を何度も見て
うつくしく
うつくしく
している

私がもしも醜く
映ったら
その時私は
自分を葬ることでしょう

 ....
あの方は死んでいるのですか?
眠っているのですか?

私はさっきから
何も身にまとわず
赤いスカーフを波打たせて

その中で軟体動物みたいに
なっているのです

私は人間の思考がで ....
石瀬琳々さんの三条麗菜さんおすすめリスト(13)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
花園- 三条麗菜自由詩10+*07-4-3
キスリング- 三条麗菜自由詩8*07-2-9
ささやき- 三条麗菜自由詩17*07-1-12
常夜灯- 三条麗菜自由詩16*06-12-21
例文- 三条麗菜自由詩8*06-12-9
雪原- 三条麗菜自由詩10*06-12-5
虹のドクガ- 三条麗菜自由詩15*06-11-29
アドニスの小鳩- 三条麗菜自由詩13*06-11-21
海は近い- 三条麗菜自由詩12*06-11-18
森の目覚め- 三条麗菜自由詩7*06-11-14
鉄の時代- 三条麗菜自由詩10*06-11-7
うつくしく- 三条麗菜自由詩306-10-29
青い長椅子- 三条麗菜自由詩706-10-27

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