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春の雨に隠された怖れを彼女は見ている
幾つものしずくに映る逆さまの世界を
彼女は見ている
からだの動かし方は知らない
時代がかった衣装の代えもない
おひな祭りというものが過ぎて
誰かさ ....
土と肉の熱を計る
なかば眠りながら
蝉の幼虫がさくらを吸っている
土をほじくり返し
あやしたすずめをその手ずからうずめ
いらなくなった枝を突けば
まるでそこだけが日溜まりのようです
....
水はグラスに包まれ
グラスは両手に包まれ
あなたを包むのは誰ですか
水が包むのは、何
泣いているのは
瞳だけ幼い老人
その掌に
日溜まりのような優しいぬくみ
その額にま新しい水を注 ....
六月の雲がゆっくりと上に迫る
スーツの男が鞄の傘ではたまらず駆けだす
かたわらでぼくは
そっとつままれたまま
雷と雹を孕んだ姿で
上下するのどぼとけに合わせた
きみの乳房を
後ろから ....
盗んだたばこを干し呑んだ冬枯れの日
降り積むひかりを踏みしめると泣いて
頭が乾いて冷たく割れた
おんなと名乗る人に連れられ
水垢まみれのざらつく家には
もう帰らないと告げる
曼谷の ....
砂浜のちいさなたそがれに汐風をうけて
ふとった子蜘蛛が舞い降り詩集の端の水をのむ
大気中のかなしみも八つにきざみ鋏角にはこび
せんべいのように噛みくだかれたこころ
わたしはお前に咀嚼されな ....
はつ夏は今年も空から降りてきた
すこし遅参だった
寄り迎える雨と
春の安らぎは訣せられ
季節の溜りから
そっとこぼたれ
そぼ濡れる外火のふるえながら吐息する
犬も女もさみだれ ....
あなたが去り
私は、失った
その墓には、名前がなかった
私が愛した、名前がなかった
今太陽が割れて浜を照らす
その潔癖なほどまっすぐに
見下ろし揺るがぬ様は
カル ....
あの暖かい日
お前が何をして過ごしたのかわかる
なぜその足あとが
ところどころ途切れていたのかも
今ならよくわかる
廊下から部屋へ曲がるあたり
眺めて拭く気になれなかった
魚がコ ....
駐輪場で鳩がむねを撃たれて
仰向けに休んでいる
白い翼をとじ
両足を揃えてたたみ
なにを見ているのか
つめたい檻の外へ
まばたきを急ぎながら
その心臓は重すぎる
あかをはき出し ....
それは、冬の公園で
午後の風はきみのもの
ちぎれてひとつ、またひとつ
木々を背にしたベンチから
息を吹きかける
胸がふくらみはじめた
一輪車で少女がすぎる
空をうつした水たまり
....
波にかき消され
あるく音も聞こえない
アヴェ・マリアもかき消され
カモメの白い羽音もかき消され
太陽をまっすぐに浴びて
誇らし気に弧をえがく
かすんでゆくまま波にかまれ
風船はつなが ....
石瀬琳々さんのsoft_machineさんおすすめリスト
(12)
タイトル
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カテゴリ
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日付
フランス人形
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soft_machine
自由詩
20*
08-3-29
胎動
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自由詩
16*
08-2-20
包まれて
-
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自由詩
24*
07-7-7
きみに言えず
-
soft_machine
自由詩
15*
07-6-14
潮騒
-
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自由詩
13*
07-5-27
メランコリーの砂浜
-
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自由詩
16*
07-5-23
あゆみ
-
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自由詩
14*
07-5-16
その墓には名前がなかった
-
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自由詩
9*
07-4-26
ぐるぐう
-
soft_machine
自由詩
7*
07-3-10
そめられる鳩
-
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自由詩
15*
07-3-3
それは、冬の公園で
-
soft_machine
自由詩
14*
07-2-24
すなはまにて
-
soft_machine
自由詩
11*
06-12-18
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