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それぞれのひとが
それぞれの窓から
明け方の空を
見ている
おはよう
あの色に
収斂されていく
美しさに
騙されて
あのひとに
会いたくなっていく
赤い靴を履いて
待っているの
もちろん
異人さんを
水面は
揺らめいている
でも
その下は
沈殿して
何かが蠢いている
今にも出てきそうに
だから
誰か助けてくれないかな
異人さんじゃなくてもい ....
雨にかすむ
はなみずき
だんだん
あたりも暗くなって
今なら
泣ける
気がするの
窓の外を
旅人が通った
新しい風が
吹いたから
わたしは
窓のなか
憧れと
少しの妬みで
彼を
見送る
さまよい続ける
旅人は
どこか颯爽として
窓の ....
満たされていく
月が
満たされていく
海が
満たされていく
わたしが
あなたに
夜明け前の
蒼い蒼い
ひととき
こんな眼をしたひとに
遠い昔
会ったことが
あるような記憶
蒼いそらを仰ぐ
還らないときを思って
戻れないときを憂いて
秋
彼岸花が
血のように赤く
けど
金木犀は
甘く甘く
秋桜が
可憐に揺れる
冬
雪がたくさん積もって
大きな雪だるまも
雪うさぎも作った
手が霜焼けになっ ....
秋に拾う貝殻は
なぜか哀しい
貝たちも
その海底で
小さな泡をながめたことも
あるだろう
射し込む光を感じたことも
いまは
生命も抜け落ちて
拾った貝殻を
わたしは持て ....
乳白色の星粒が
漆黒の夜空を横切っていた
天の川
私達はふたり
地上に横たわり
声も無く天空を見上げた
端から端まで
散らばった星たちは
たとえだれも見るものがいなくても
....
蚊をたたく
てのひらためらう
夕暮れ時
夕餉時までの
薄昏のとき
坂道の下で
夏を深呼吸する
あのひとが
駆け下りてくる気がして
風を待っている。
あのひとへの想いが
空に散るまで
風を待っている。
遠い遠いむかしに
しっかり閉めたドアを
ノックする音が聞こえる
だれ?
わたしは
おそれつつ
ドアに近寄る
ノックの音はやさしく
そう
ドアを開ける日が
そこまできている
窓を
開け放して
眠った朝
窓辺に
水滴が残っていた
それは
音もなく
部屋に
忍び入ったのだろう
まるで
わたしのこころの
あのひとの面影のように
わたしのなかに
空っぽがあるの
小さな空っぽがたくさんあって
どうやっても埋まらないの
まるでガラスの中の泡みたいに
でも
その泡が
わたしを彩ってるのかもしれない
こ ....
悲しみを抱えて
苦しみを抱えて
それでも
わたしたちは
旅を続けなければいけない
何処へ?
風がふいた
もう7月
新しい夏が来る
朝
その風は
わたしのスカートを
やさしく翻した
その風は
きっとあのひとのところにも
届くのだろう
わたしの気配を
少しだけ残して
あのひとはその風に気づきもせず
朝の支 ....