あなたに似合う帽子
山崎 風雅
この病んだ時代に咲き誇る花
その輝きは時代を超える
傷つきやすいガラス細工の心
その心は昼も夜も
霞のかかった丘の向こうを見据えている
飛び出したい衝動を抑えることは
誰にも出来ない
悲しみの数だけ
人を寄せ付けない美しさを放つ
そして
僕の前に現れて
僕の心を奪って逃げ去るあなた
擦り切れるほど願った夢は
いつのまにか傍らに横たわり
その輝きに絶えられず
逃げてしまったことは
もう許してあげる
今日、町並みで
あなたに似合う帽子を
見つけたんだ
もう、逃げないで