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床に
散らばる水銀を
指先でなぞる
あり得ないやわらかさ
さわっちゃ駄目
それは
爪のすきまから
毒になって体中を
銀が回るよ、と
母の言葉が
だから
ずっとさわれな ....
毎夜
ぼくは
ぼく自身の中にある
貧しい
優しさや
素直な心を
誰もいない
真夜中の
公園の湖に
捨てるんだ
君にかけそこなった
優しい言葉も
抱きしめたい
気持 ....
太陽が隠れ、雨が降っている。
駅から、歩いて帰る途中、
だれもいない、
公園による。
幼いころ、よく公園で待たされた。
雨が降っていても、
寒さで凍えながら、
靴の中が水で濡れても、 ....
ななさいのたんじょう日
なないろのクレヨンをもらったの
みずいろで
そらに風をかいたのに
ちっとも みえなくて
しろい雲は
ながされるばかりで
かいても かいても
きりがなかっ ....
便所の少し湿った床を
のた打ち回る
吐き気を抑えて
私は
言葉にならない
叫びをあげながら
「心を返せ」
冷たい床
薄汚れた染み
薄暗い便所の中で
喉の奥にあるはずの
....
地下鉄のホームに立って
銀色に光るレールを
じっと眺めていた
薄暗い水銀灯の光を反射して
日本刀のように
静かな輝きを放つレールを
瞬きもせず眺めていた
このレールがどんな金属でできてい ....
私の中に
さかなが棲む
私の知らない
さかなが棲む
何も知らないくせに
あなたは
さかなを求めてる
そうして
私は
さかなを解き放つ
自在に泳ぎ
反らし
そこは ....
風の流れにあわせ
煙草のけむりが
めまぐるしくまわります
覚えたての匂いは
どこか懐かしく
どこか悲しく
煙草をもつ白い指
深く吸い込んでは 吐き出す仕草
背伸びしても届かない
....
ぼくはもう二度と
海なんか
恋しがったりはしない
何もかも脱ぎ捨てて
素っ裸で泳いだあの夏の海を
恋しがったりはしない
おまえが耳元で囁いた
あの言葉を思い出して
涙ぐんだりも ....
笑う
もう逢えないから
上昇気流に乗って、すばらしいオオカミの毛皮が舞う
運河と気体は太陽がオレンジ色に染めた
黒髪を揺らした君の太ももは堤防の上に座り
回転する渦からは10 ....
{引用=いくつもの山をこえ
風は現れて
少年たちのてのひらに
しみわたる
あおい糸はまぼろし
淋しきはほこらのともしび
あおい糸はまぼろし
淋しきはほこらのともしび
うたは響 ....
あなたの肩にあるものを
わたしも一緒に背負いたかった
あなたが歩くその道の
景色をともに眺めたかった
でもどうぞご安心を
わたしは理解しています
あなたの力になれるのが
決し ....
先に子どもたちの声が消えた。流氷のひしめく冷たい海に放り出さ
れた私たちの生きようと叫ぶ声がむなしく響く。この海のなかでは
私たちは完全に無力であった。この冷たい氷の海のなかでは。
脱出を試 ....
丘に寝そべっていた少年が
組んだ足の先で 空を横切る電線を踏む
と
はりつめていた空は ぴりりと裂けて
へき開し
裂け目の奥からふうわりと
薄紅や
橙や
菫色の花びらが
うっとりと目 ....
蛾か何かの最後尾が
視界の斜め上をかすめ逃げ去る場面、に似た
或いは、目尻の痒みにも似た
地下鉄の、蛍光灯の、黄緑色の、光芒の
消える寸前の瞬間と消えた直後の瞬間、との
交互 ....
一年に一度だけ、
わたしと母は、海草をとりに、
江ノ島に向かう、
その途中に、枯れ木の門がある。
昔、「厚生病院」と呼ばれた場所の前を、
母の運転する車で通る。
信号待ちで、助手席から、
....
夜の海に浮かび
白く光る水母達よ
どうか
時を渡る橋となって
死者の待つ
白い花咲く星屑の島で
失くした涙を探して欲しい
なんで 私が
あなたの詩が好きかっていうと
ソウルフル だからだよ
どんな アプローチでも 言葉も形
完璧じゃない
音や みてくれから くるものが
ほっとけない感じなんだ
....
右手にもったきゅうすを傾けたら
青い湯飲みの底に花が咲いていた
一瞬にして
そそがれた緑のまどろみの下に
花は消えた
この湯飲みで
数百杯の茶を飲んでいるというのに
知らなかった ....
今さっき ここで ため息の漏れる音を 聞きませんでしたか?
それは 僕のため息なんですけれど 聞こえてしまいましたか
そうですか わかりました
ならば 貴女はどうしてくれますか?
僕のため息を ....
夕方になると
俺を呼ぶ電話が入る
俺は真夜中のゴールキーパー
真夜中だけ
ゴールを守ることを許される
俺が守るのは
俺と俺の仲間達
夜になると気がふれ ....
とおい ひとりごと
いつも とおすぎる ひとりごと
まよなかの いすにすわって
どこかへ ひとりごと
すこしうえのくうかんをみながら
ひとりごと
しずかに はばたい ....
ミルク飴 の包み紙
くちょっと 丸めた
剥がされた まるみ
ころがされ とろけ
消えた
銀のスプーンで愛撫して、
ダージリンはシューベルトを歌う。
ぴちぴち
ちゃぷちゃぷ
らんらん らん。
ぴちぴち
ちゃぷちゃぷ
らんらん らん。
だれかが歌ってる。
雨音のリズムに合わせて
しあわせそうに
しあわせそうな ....
あいの おしり
よろこびの おしり
なぐさめの おしり
しんでしまった おしり
いきている おしり
うたの おしり
はなさく おしり
げいじゅつの おしり
....
二月十三日、
雪が降るのを、
自室で待つ。
母から贈られた、
防寒コートをきて、
窓の向こうから、
薄い光がさしている。
コートの上に、
毛布をかぶり、
書いたばかりの、
自分 ....
静かに
静かに
入れて
あたたかいプリン
スプーンを溶かすよ
落っこちる黒
黒
たまんない
湿ってる
プリンの底
めぐるめぐる言葉の世界
一つの漢字に魅せられたうさぎは迷い込んだ
どの言葉を飲んでも喩きれない
心を掴める詩は上手く歌えず
音痴に通り過ぎて行く
それでも歌うのは
しろいうさぎが死んでしま ....
杏仁豆腐がとろけそうなころ
舌の上はエラーです
空の上は Lalala
舌はずるい
空想に
一番近い気がしたから
....
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