すべてのおすすめ
「透明」という色を知っている
真実は色を重ねるほどに
現実へと置き換えられてゆくから
いつまでも透明は透明のまま
誰の目にも映らない
だから雨が降る日には
跳びまわ ....
私をかたちつくる
わたしのかたち
私はわたしのなかにあって
手を持ち指を持ち唇を持って
君を抱きしめる
でも
私を入れたわたしを
あたしが包み隠して
誰かとの距離を調節もする
....
西へ動く陽が
葉を透かしている
その光は余りに眩しくて
私は見つめ返すことが出来ない
陽の動きは思うより早く
地に落ちる前に
ビルの向こう側へと吸い込まれていった
....
さくらの つぼみが
ふくらんで
まるまると
ふくらんで
でもまだ さきません
ぷっ て ふきだすまえみたい
わくわくをいっぱいためて
こらえています
ようきなはるの ギャグ ....
きたへ うつる ほの を
しゃくりあげ おおう て
そりは それていく ゆき
あけて あんでいく いと
かたまれない かげろい
かまれるたび ゆりゆれ
つけた げんの なまえ
....
今日も何にもなく
サプライズが来るわけでもなく
いつもの風景を見て
いつもの夢を見て
ぼくはまた明日の朝日と
挨拶を交わした
マフラーを首に巻いて
パーカーを ....
指先の凍えるのも忘れ
口唇の乾くのも忘れ
午前二時は月明かり
爪先はいつしか
その方へと向かい
消えて浮かんで
また消えて
巡らす想いは
蒼白い夜の膜を
揺らしながらも
冷たさ ....
日曜日にわたしは、レジャーランドで、クリスタルのユニコーンを買い求め、夜のバスで家に帰る。窓の外は、暗がりの裂け目。
窓には夜の空。自宅の浴室でうっすらとしたヒゲをそり、黒いセーターに着替えた。 ....
恋とは
自分にないものを
求めることなら
愛とは
自分にあるものを
抱きしめることでしょうか
「愛し合う」とは
言うけど
「恋し合う」とは
....
オリオン座が西の空に瞬く午前三時
部屋の中で独りの男が
机を照らすランプの明かりの下
白紙にペンを走らせる音
時を忘れ
宛先の無い手紙を{ルビ綴=つづ}る深夜に
眠れる街の何処か ....
夜は夜のままで、かたち通りに息づいていく
少しだけ回る酔いの、世界の
窓枠から月明かりが零れる
思うままに影の、区切られて
深くなっていく宵の
眠れないと、嘘をついた
流れはそこから、 ....
まるで葉っぱの落ちた木のようだ
風が吹くたびに
小さな声をあげている
ゆっくりと息を吐きながら
それでも溜め込んだ本音を飲み込んで
掲げた両手の先
どこまでも遠い空を眺めれば
....
永遠の愛、が
刻まれていた
赤い鉱物顔料で飾られて
二千年の地層の中
地中にしみこんだ月の光で
風化した言葉だったから
秘密が解かれるまでそれは
王の名
呪い
花の名前
祈り
そ ....
一番良いのは
引き付けて引き付けて引き付けて
最後に足でも蹴り払って落とすこと
でも
それにはかなりの場数とテクニックが必要なので
テクニックの無い人は
古典的ですが
「押しの一手」
....
“夜霧よ今夜も有り難う”
風呂場からのん気に聞こえてくる鼻歌を尻目に
私は部屋を出ていきました
前前から
死神の電波加減や頑固さには目を瞑って来ました
でも今回ばかりは限界です
私 ....
疲れてピアノが寝ていた
狭いピアノだったので
添い寝をすることもできた
やがて、か
間もなく、か
多分それくらいのことだろう
僕であることを間違えた僕を乗せて
草の列車が発車する ....
さびれた館の馬像の陰から
子供が数人こちらを見ている
塀は陽に照らされ指にやわらかく
その上で子供のひとりが
虫喰いの木洩れ陽を目にあてて笑う
水たまり ....
雑踏の中で一人
実在しない 視線と
増してゆく 孤独みたいなものを
蹴り飛ばしながら歩く
少し爪先が痛む
すれ違う人は 揃いも揃って
バカみたいな笑顔をばら撒く
人ゴミ
今度 ....
宵闇は
切り子細工の紅茶に透けて
紫紺も琥珀の半ばでとまる
グラスの中では
流氷が時おり
かちり
ひび割れて
薄い檸檬の向こうから
閑かに海を連れてくる
壁の時計は
ゆるり ....
あぁ、なんて小さいのか
拳一つ分の命は
ワンポンドにも満たないと
その儚さに反する温もりと
ズシンとくる重さにおののきながら
まばゆいばかりに輝く微笑みに癒され
見守る ....
王が死に
幼いその口に入れられるのは
黒白鳥の羽ばかり
色と光が人々をおびえさせ
細い指に触れる者さえいない
遠まきに見つめ 目と目をかわすだけ
川の音がしだい ....
甘い香りを予感させる小さな箱
赤いリボンが可愛らしくて
君の笑顔はいつも素敵で
両手で受け取るファミマの小箱
でも…何故か心に残るわだかまり
それは君が他の男友だちにも
同じ小箱を ....
すきとおったものを重ねていくと
届かなくなる
幾重にも屈折率をいいわけに
すきとおった君を重ねていくと
届かなくなる
思い出が赤方変位に拡散して
すきとおった偏光を重ねていくと
....
こんがらがった平和の
リングを ひとつはずして
のぞきこむと 青空のした
コロシアムで こどもたちが
ペットを たたかわせていた
陽だまりの底
君は積み木を重ねる
覚えたての唄
あやふやな旋律が
転びながら流れゆく
楽しげに
また ひとつ
舌足らずで
まちがいだらけの詞は
君に届いた色
そのままに ....
“朝は優しく起こしてください”
というのは
寝汚い死神のきまり文句です
名付け親の死神は寝起きが最悪です
五個の目覚ましなど死神の眠りの前では無力なので
死神を全力で蹴り起こすこ ....
ぼく、
で始まる作文は良くありません
と先生が言ったものだから
ぼく、は
とりあえず僕の事はおいといて
まるで明後日の方から見た事を
喋り出す
ぼく、は
ほんとの僕が見えな ....
なつかしい歌を
久しぶりに聴いたから
あの頃読んだ詩の一節を
ふっと思い出したから
永遠だと信じてた時間が
いつの間にか
過ぎ去ったことに気付いたから
絶え間なく変わり続ける ....
おかえりなさい と
響いていた
泣きながら 来た時も
微笑んで 来た時も
胸にしまった たくさんの色も もう
知っているよ と
さあ おいで と
両手を広げて
命を 抱きしめる
寛容 ....
私の父は沖縄生まれだから
血の半分は南国のものなのよ
と、言ったら
君は目を丸くして色々聞いてきたね
東京の凍りつきそうな夜に
白い息をふっと吐き出して
私は記憶をたどって常夏の話をする
....
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