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指の形を覚えている
緩やかな節への流れと
その静かな温度を
ある日私の地平の向こうへと
吸い込まれていった
橙の夕暮れも透明なカラスも
かつてはその指を知っていた
今は置き去りに ....
朝、ぼくの季節は二十五歳で
ざらざらとした空を
東から西へ
たとえそれが夢だとしても
渡って、どんなにボタンを押しても押しても/押しても
改行できないでいます
ぼくが、ベーコン ....
どうも ありがとう
そこそこ元気でやってます
たぶんなにかを毎日忘れてる
からなんでしょう
ところで あなたは?
と聞き返せないところが
なお茜の空に消えてゆきそうです
....
まだ夜の明けないころ
街は少し壊れた
機械の匂いがする
昨夜からの断続的に降る雨が
いたるところ電柱にも
あたっている
いくつかの窓の中には
ささやかな抵抗と
使い古された ....
高い所から見下ろした街には
やさしさ みたいな光が
たくさん走っている
その一つひとつが
ゆっくりと目蓋を撫でて
今日の寒さを忘れさせてくれる
どうしてだろう
遠く離れてみた方が
....
秋が空気を包みはじめている
なんだか最近いつも二人でいる
コーヒーにミルクしか入れない
薄いこげ茶って秋っぽい色
髪、伸ばしているの
首筋が寒いから
風が落ち葉を舞い上げて
ほっ ....
眠りの先にある風景を知らない
手にしたジャックナイフでは
届かない、刃先
夢をおぼえている、というあなたは
きっと眠ってはいない
暗闇の向こう、世界で起こっていること
肌の外の全て ....
1
その小さなおっぱいを隠そうとするけど
俺が「大きければいい」何て言うとでも思ったか?
2
敗者には栄光も名誉も敢闘賞もピンスポも何も無い
だからせめて優しくしてやろうと思うん ....
トイレの中で泣いた事はあるか?
声を押し殺して
友が過ぎ去るのを待ちながら
泣いた事はあるか?
悪臭にゲロを吐きながら
泣いた事はあるか?
俺はあるよ
今もそうしている
だからお願 ....
小石がはねた
みっつめのところで
沈んでいった
それはそれは
穏やかに
すこし左右にゆれながら
底を目指して
落ちてゆく
水面に
たくさんの輪を残して
さような ....
あなたと その周辺を分解し
組み立てなおし 恒星のことばで
したためて 郵便受けに
ほうりこんだが 返事がない
いや たぶん絶対に こない
虹の消えるように
面影もまた いつか薄まってゆく
さみしさよりも
そこにあるのは 何
つかめないのに、いとしくて
「思わず」シャッターをおす
早くしないと はやくしないと
....
{ルビ海鳥=うみどり}は
{ルビ淋=さみ}しくないて いますよと
波間のふねを
そよ風が
帰っていって 透きとおり
なき声ひくく羽ばたいて
夕べの斜陽が今朝方に
燃え映ってしゃらしゃ ....
書けない言葉の奥の
足りない夕日の中に
今も聞こえている風景がある
諦めたその視線に映る手のひらと
日々表情を変えていく ベランダの空
懐かしむかわりに そっと靴を履く
今の僕らな ....
ひとりで
回転寿司に行きますと
何周もしている
モンゴイカにふと
周回遅れのじぶんじしんを重ねて
真向かいの
ホスト風の男が
うにいくらと注文しているのを
同じ色の皿ばかり積む私は
....
宙を覆う草木のすべてが
さかさまのかたちを描いている
雨は流れ
音は流れず
影は分かれ
影は流れる
短い煙の端々が
長い煙を折ってゆく
煙を生む火はなくならず
煙 ....
駅へ向かう道すがら
はいいろをした四本足の生き物が
とぼとぼと歩いていた
( )駅では
列車が遅れていることをみんな知っていて
でも
みんな口をつぐんでいた
恋人たちは
別 ....
はばたきが きこえる
とおい 風の血統に
呼びかけてくる
ひろった羽根で
こころみに とんでみる
{ルビ呑気=のんき}な仮面を被っていても
ほんとうは
わたしもあなたとおんなじように
ひとつの大きい影を背負って
流浪の旅路を歩いています
木造校舎の開いた窓に
手を振って ....
予感する、
みどりの枝葉は
たわわなきんを孕み
ひとときの甘い溜息や戸惑いを
その足元に散りばめる
枇杷色の、
おぼろなる気配は
風の匂いに神無月の宵闇を語り
遠くなった声の記 ....
黒髪を 風にすいては色もなく
岸辺に咲いた 白い花
ひんやりうずく 視線に限られ
カラスアゲハは はねを日に焼き 沈黙を舞い千切る
久しぶりに地元に帰り
ふらっと立ち寄った飲み屋で
幼なじみの電信柱と会った
人なつっこい笑顔は相変わらずで
そんなことが妙に嬉しい
カウンターに腰掛け
街や人や時間の流れ、それから
その ....
九月
あなたが好きでした
あこがれの名ばかりを孕んだ
鳳仙花が弾けています
木の葉が
択んで
静かなところへ落ちつくように
黄金の峰からふく風がゆきます
夕暮れがやわく優しく
....
071006
カメラを素早く
懐に
軽四輪に飛び乗って
資源ゴミの回収に行く
ごみごみした都会の隘路
人情を踏み潰して平らに光る
それなのに
....
紛らわすために見逃した。だがすぐ寂しさに気がついた。
紫色の夜が駆け出す。文字は否応なしに同方向に顔を向け、背伸びしている。
膝先の夜を蹴っとばしたくなった。どうせ目撃者は星か水滴かなんかだ。 ....
かみさまが 足あとを
のこすのは きまって
救いへの 導きだから
すいません その道は
しばらく 使いません
水でも風でもあるものの声
川の流れの先へと映り
海鳥の狩りに溶けこんでゆく
夕暮れも鉄もざわめいている
うすくのびた
草と道の汗
姿のない揺れと声
野の錆が鳴 ....
坂道 こがねいろ ころがる
足音の環と季節は
付きながら 離れ流れて
そのくらいルーズに タイトに
輪郭を捉えた空は雲がさかさま写真
覆いかぶさった君の
ため息
はみ出した哀 ....
あまりに完璧なうんこは美しい
尖がった頂点や方向性も全く無く、水に落ちて飛び跳ねる気配も無い
その場にどっしりと構えた勇姿
女性の曲線美を彷彿とさせる丸みに、ほかほかの肉まんのような湯気
外見 ....
そこはいつも
清潔な湿度と
せつないじゅうりょくの
香りにみちている
身ごもったおんなたち
髪を横に束ね
しずかにもたれている
雑誌をうつくしく取りだし
うつくしくめくる
とろと ....
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