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春先に剪定したあと
ほったらかして積んであった槙の枝に
定家葛がまとわりついて
白い花を咲かせている
もう死んでいるのよその枝は
もう緑を吹くことはないのよその芽は
この鮮やかに青 ....
地をふりかえる
もはや人でないものとして
山に分け入るべき時だ
鼻を濡らして
舌を濡らして
人としての重荷を下ろす
頬を赤らめ
森を通って山の頂上にたどりつく
おしり むずむずする
....
静物画の
バナナだけが
浮いている
林檎と比べたら
色気がない
けれど
バナナ
の皮を
脱がしたら
甘い香りが
漂った
完熟の林檎を
かじると
腐った ....
僕らは 一列に並んで
少しずつ 進んでゆく
かぎりなく長く思える柱廊を
誰も 一言も発さないまま
僕らは 白い衣を着て
白い布で覆われた銀の皿を両手に捧げ
少しずつ 進んでゆく
....
眠いと一言
残して君は寝てしまった
車の窓から見える
夕日も海岸線に吸い込まれようとしている
そんな余所見をする
僕の危なっかしい運転のことなど
まるで知らない無防備な寝顔を見なが ....
何か掴まなければ と
恐れなくてもよいのだ
いつでも繋げるように
私の両手は空いている
嘗て星々に触れたとき
驚きながらも微笑んだ
一秒よりもはやく
私たちは老いてゆくから
....
ニュースをお伝えします
本日未明
上野動物園のパンダが脱走するという事件が発生しました
飼育員が鍵を閉め忘れていたことが原因だった模様です
現在警察の協力を得て脱 ....
子供をつれて大きな公園へ行った
大きな公園には大きな木があった
大きな木の枝は重そうに地面に垂れて青葉を繁らせていた
子供は喜んで木の枝に乗りブランコにし始めた
ごめんなさいね重くないですか
....
惑星探検隊は、その星の生物に囲まれてしまった
探検隊の周囲でひざまずいて祈りを捧げ始める生物
「俺たちを神か何かと思っているのか」と隊長
「翻訳機のスピーカーを入れます」と隊員
「神よ、い ....
五月は光がとても
新しいものに敏感で
そこにだけ眩しい未来を
産卵させている
私は太陽系の
地球という
小さな惑星に生きていることを誇りに思っている
神様という人へ
明 ....
安全な海域ってどんな うねりなのだろう
私の父は泳ぎの得意な人だ
溺れてまともじゃない子を抱きかかえて海を渡れるほどの人
父さえいてくれれば
私の海は保証されていた
その海はずっと続いて ....
裾に広がる森の緑
雲よりも白いその頂は
はるかにそれを越えて空をさす
足元ばかりを見つめるような日常にも
そうやって見上げる景色があり
富士はまるで矢印のように
その向きを教えてくれて ....
昼
夜を強引に押し倒してやった
わっさと積み上げられた宿題を死刑にして
乳を喰う
かゆくなってきた 大人の皮を剥こう
またひとつおれは子供に成長してゆく
おれのぬけがらに月の涎 ....
ぼくにできることは
ほんのすこしのこと
だけどそのすこしが
ぼくやだれかをほんのすこし
うれしくさせられたらいいな
ぼくにみえるものは
ほんのすこしのもの
だけどそのすこ ....
はじめて詩を読んだ時
若くて とてもかわいいと思った
しかし しだいに冴え
凍るような苦痛 けど
美しさをまして
貴女は 詩を うとんじていた
悲痛な思いを記す事を 嫌悪し ....
ありがとう
私の好きな いもけんぴ
覚えていてくれて
ありがとう
分かり合えないなんて
言わないよ
高知名産いもけんぴ
覚えていて
くれたよね
いつでも笑顔 ....
靴の紐を
結び直したら
坂道の
残り半分を
上ろう
君への決意が
ほどけて
しまわぬよう
固く、
固く
結んだ
大阪駅前のな
でっかいスクランブル交差点
アンタもよく知ってるやろ
あそこのド真ん中で
赤信号のド真ん中で
車がブンブン走っとるド真ん中で
けったいな婆さんが踊っとったんや
ピンクと緑の ....
宙を舞い
クルクルと円を描く
透き通った瓶が
床に当たって
砕ける
ロンドを踊り続ける道化師と全裸の美女
その周囲を舞う俺の精液に群がるハエの飛翔によって生まれた
目覚める ....
久しぶりに会った友達は
標準語になっていた
関西生まれの関西育ち
生粋の関西人の彼が
標準語とともに僕のもとへきたのは
ゴールデンウィーク真っ最中の
ある日の夜だった
2000円 ....
白い波 静かに溶ける 綺羅の波
はるかと続く 青い空
大地の時へ 人は旅する
吹き上げるのは 硫黄の煙
ひび割れるのは 氷の巌
再会の {ルビ言葉=ことのは}眠る 森の夢
月日を止めた ....
昼下がり
あなたが汗を降らせて
春の風
ひよどりが笑う
日が出ているのに くらやみ祭り?
そう
日を見送ったまち
どぉぉん…
真っ白い麻のシャツ 灼けている手の甲
見つめても ....
明日
一日だけ
生きる
いい訳を
今日
考えて
いる
シューズを履いて
髪を束ねて
顔を上げて
この道を走る
あのころと同じリズムで
あのころと同じ呼吸で
夢は叶えるためにあり
自分は何者にでもなれると
本気でそう信じていた
....
だったらそうすれば
そう言いたそうな女がいて
ぼくは6910円分の切符を買い
電車に乗ることにした
駅弁はビジネスランチを買った
行き先はきれいなお姉さんが乗った反対の方向に決め ....
放送室では今、とてもいやらしいことが行われている
マイクの編み目一つ一つ、アンプ、インジケータ
視聴覚室で上映されているビデオ映像
ズームイン、ズームアウト、駆使される技術
....
{引用=桜の頃を過ぎて
ふとした淋しさがこみあげてくる
そんな五月の夕べ
ずいぶんと久しい人へ
したためた手紙を読み返している
前略
いかがお過ごしでしょうか
花見の頃 ....
橋は燃え上がり
燃え上がる橋をわたしはゆく
蝉は二次元の丘で鳴く
その声があなたに聞こえるか
蝶は死とすれ違いながら羽化する
その身じろぎがあなたに伝わるか
いつ、と問うな
....
一人で立っている
あなたは
吹きすさぶ風に向かい
横顔しか見えない
見せてはくれない
風があまりにも強いので
あなたは
目をしばたいていて
けれど
目を背けることはなく
....
コップ一杯の冷たい水
そんなささやかな願いさえ
叶わないまま
死んでいくこどもがいる星
きっと百万年前も今も
あんまり変わってないんだよ
この星は
せめて
冷たい雨が降って
その唇に ....
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