すべてのおすすめ
降り落ちてきた一輪の花のほころびから
少女のリボンの結び目が
はじまるのです
ほどけても
へいきなようにあっけらかんに
結んでいるから
髪の毛は
猫のように気まま
笑顔
....
飛行機を知らない人と轍を踏む
想像よりも柔らかい轍だった
この先に飛行機があるんだよ
そう言うと向こうは深く頷いた
生まれたときから教えられた通り
正しく騙せば
一族は末永く恵まれる
....
かぶとの木と呼ばれていた
通学路沿いの
道から少し滑り降りて入る草薮の中の
真ん中がくり抜いたようなくぼみのある木
樹液が蜜のようで 夏にもなると
かぶと虫や ....
夏の朝
白いテラスで
ラジオが唸ってる
はるか頭上の風は
あまり動いてない
雲も眠ってる
テーブルクロスも
キッチンから
また君がドーナツを揚げる音と匂い
揚げたては好きだけ ....
あさ
ゆうやけ色のやさいたちを
こわしてゆくときに
ふと香る 昨夜の
ねむりにおちてゆく、
やわらかい
眩暈
きょうはいつも きのうの続きだから
きのうの夜も
まくらにほ ....
いつかの風が 世界を
ひとめぐりして また
吹きつける おもわず
手でかばって はからずも
傷のありかを おもいだす
11
ジャングルジムの上で
傘の脱皮を手伝う
またやってくる
次、のために
海水浴の帰り道
人の肌が一様に湿っている
12
ピアノを弾くと
鍵盤がしっとり ....
裸になった彼女の身体には
両脇腹と右肩と左の脛に弾痕があって
だから彼女はいつもぎこちない様子で
歩いたり
ものを書いたり
笑ったり
していたんだなと納得して
そこに触れなければいけない ....
ひとりぼっちで
過ごしたい夜が
みずたまり
雨の波紋が
せまいむねのうちで
干渉しあう
ふたりだけで
見つめていたい夜が
みずうみ
交互に投げ入れた小石が
たいがんへ
消える ....
温かい霧雨は
失われた羊膜の記憶のように
柔らかに
わたし
という意味を
緩やかに包括する
鳴き声のような雨音は
鼓膜に優しいけれど
痛みに疼く左目が
暗転する風景を拒絶している ....
07/07/19
植物と動物との違いを言いなさい
突然、脳内細胞が切れたような声がして
振り向くと生物の先生が切れた顔をする
中間テスト範 ....
一、蝉しぐれ
白い病の影がおりて
夏の命、際立つ
すり硝子の花瓶に
溢れていたはずの笑顔
シーツに残された
僅かな起伏は
生きていた
あなたの
散らばった
レモン色 ....
たまに
思い出す
ふと
きみのゆびさきの
深爪のやさしさ
買い物帰りの
坂道や線路沿い
二番目の
小さな交差点
そんな場所に
沸き立つ
やさしさ
ひらがなを
好むきみ ....
闇
から病んで臥せっていたはずの姉さんが這い出てきた
北の海はすっごく寒かったんだから
カラカラと寂しい音が喉からして
手で青を掴んできたわあんた青が好きだったでしょう
ショウの途中で姉さん ....
車椅子に座る
小さいお婆ちゃんを
前から抱きかかえる
少し曲がった
「 人 」という字そのものに
なれた気がする
ごめんなさい、ごめんなさい
と繰り返すので
な ....
頭のずっとてっぺんから
かなたまでつつみこむようにはられた
透明なフィルムの外側を
音もなく星々がすべりおちてゆく
そのすきまに
かすかな灯りがひとつ
はらばいになって停泊している
砂浜 ....
2007/07/14
バイクの前輪を浮かせて走るのがウィリー
恰好いいだろうといわれて
そんなにねぇーと思ったが
50ccでは
雑誌の ....
2007/07/18
崖の縁に腰掛けて下を覗く
50m下には波頭が砕けて
落ちてきた生き物を飲み込んで
粉々に砕く気配を見せては
あっさりと引いてゆ ....
深い海を
描いてみて
七色の魚を
泳がせる
ゆっくり
ゆっくり
沈んで
でたらめを
好きなように
歌いながら
そっと
目を閉じて
揺らいでる思考
掬い上げて
笑いかけ ....
夏の
夜が
激しさを増し
ぼくは
水が欲しかった
とても
海水浴
波に
持ち上げられて
足がもうつかない場所へ
つま先に虚無が触れ
頭上には
目を閉じても赤い
太陽
....
「序詞」
ゆりかごの中で
小さな戦があった
理不尽な理由とプラントが
長い海岸線を覆いつくした
けたたましくサイレンが鳴り響き
その海から人は
眠りにつくだろう
....
すれちがいたち
ひびきたち
ある日ふたたび
はじまるものたち
雨のなかの火
海辺の火
生きものに囲まれ
朝の霧を燃す
髪の毛から見える
耳の応え
ひらい ....
私たちが校舎で出会うのは
おばけなんかじゃない
それは
だれかの通り過ぎていったあと
だれかの
いちばん子供だったときの
いちばん光に満ちた
いちばん軽やかな
いちばん無防備な歩み
....
まあるい泡を
ぷくりと吐いて
そっと寝床を抜け出す
水の流れは
暗いぶん少し冷たい
おびれとむなびれ
ぷるぷる舞わし
水草の間から
夜の空を見上げた
真昼の水面を
きらきら照ら ....
2007/07/17
月曜日の午前中
頭がふらふらして
夏風邪かとも思ったが
新潟県中越沖でM6.8
気象庁発表で地震と知る
訳の分からない時間が過ぎ ....
―夏至は、もう過ぎています
とか
じつは過ぎきっていた太陽の光、みたいな
ぽかりと口を開けるしかないような
きもち
かげろうが立ち昇るはやさで
泣き顔をつくるひとたちを
遠く道の ....
?.
七百七十六番目の天使が
翼をなくした
俺は 黙っていた
言葉は全て 汚れているから
俺は 黙っていた
あと十秒
?.
六百六十五番目の悪魔 ....
僕はゆくだろう
鍾乳石の先で抗う
水滴の
夜のために
待つものも
さだかではない
暗闇のもっと底
染みこむ
朝のために
屈折がつくる道
灯台が照らす
霧の先に
ゆく ....
あなたが
私の本棚の
背表紙をそっと
撫でる
私が
親しんだ本たちが
小さく
揺れているのがわかる
ああ
それは
古本屋でね
あ
そっちは
お風呂で濡れちゃって
....
火をつけた
裸ではないから あなたは
時の中へ流れて行く
服の重みに
囚われてやしないかなって
灯籠から 灯りをこする爪の音
ぼんやりとあふれてるぬくみに
口をつけて すすって ....
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