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短い冬が終わりを告げる頃
街並みの全てが水平となり
凍り損ねた思い出たちが
空気の底に溜まります
両手を器としてそれらをすくい
私の体温を少々与えてから飲み干すと
薄氷色の街並みが
私の ....
僕らはそこでひとつでよかった
呼んだ名前が君でよかった
繋がる世界と漏れる呼吸
ひとつの波、すり抜けるようにして
手探りで橋の、確認すれば
サイレント、どうしようもなく
僕らは欠陥の体だ
....
やまねの親子は毬が好き
雪の山道人気が途絶え
歩く人影消えたので
やまねの親子が顔を出す
寒い朝だとおとうさん
冷たい朝だとおかあさん
明るい朝だと子供たち
冬眠醒めたら遊ぼうね
....
あるときは
強く美しい旋律を奏でる
それはまるでピアノの線
あるときは
掴むには細く守るには脆い
それはまるで蜘蛛の糸
喜びも
哀しみも
銀色に光るひとすじの涙
ユメ見ることもできないくらい
疲れ果てた僕は
今宵も嘆くことばかり上手だ、
本当の心を口にしない僕は
やがて本当の心が
口に出せなくなる、
コトバを選びすぎる僕は
そうして何も話せなくな ....
水面に映る美しさに
手を差し伸べては揺れ壊す
水面に映える輝きに
小石を投げ入れては揺れ壊す
触れてみたいと
つく溜息に
水面はさざめき
揺れ乱れる
感じてみたいと
流す ....
すてきな しっぽのある
いきものを もらった
まちがって しっかり
聖水で 洗ったら
死んでしまった
あの人の
名前を呼びたくなったなら
音にはせずに
水に書くよ
岩に刻まず
砂に描かず
水に書くよ
すぐに流れて
この世から
思いは水底に
叫びは水面に
波紋は ....
線をひく
すっと
一文字に線をひく
わかたれたソラとソラのあいだは
ここからみて
あちらをみとめ
こちらをみとめ
すっと一条の線にて
確かめられる
星の ....
冬の赤い実
ひとつのざわめき
低い煙が
一瞬だけ
白く白くひらめくとき
銀の雪道
すべるように過ぎてゆく人
まるく 遠く
鏡の奥へと去ってゆく景
見つ ....
世界が壊れてしまっているので
することも無く
浜に寝転んでいます
雲はちぎれて
なんて、穏やかな夕
やさしい言葉の、降り落ちてくることを待っている
待ち合わせのための時計は、遅れる人を弾き出して
その日になる、ほんの寸前で
がちり、と大きな音を立てる
それはわずかな日常の
覚める直前の ....
ふたりは出会う
雛連れの野鴨憩う山郷の水面は茜に染まり
ほら手をつなご
これから暫くふたりして
同じ水脈を流れ行くのだから
ふたりのささ舟は
透き通る冬の気象 ....
凍えの夜に
面相筆で刷いた薄雲が
星座に風を満たし
十字に居並ぶ太古の紋様は
くっきりと現在を刻印し
ありふれた永遠を
わたしに見せつける
生は
背中の痛みで
諦めは
....
誰も居なくなった新宿にたった一人新宿の母だけが残った
今日も彼女は小さな椅子と机を出して手相を占おうとする
空き缶と吸い殻と破れたチラシが道を転がり
ネズミもカラスもゴキブリも姿を見せない
....
星の瞬きのような街の灯を
高台から見下ろして 綺麗だとつぶやく人々がいる
このひとつひとつの灯の奥には
飾りではない 本当の
それはつつましく
されどしたたかに
幸せや
....
ずるやすみの木で
かみさまを見かけた
なにをしているんですかとたずねたら
ずるやすみをしているのさとこたえた
ぼくも人のことは言えないから
ああそうですかと
おおきな幹にせなかをよりか ....
{ルビ烏=からす}と{ルビ鳩=はと}は向き合い
静止したまま じっと {ルビ睨=にら}み合っていた
空から舞い降りた一羽の白鳥
両者の間に立ち{ルビ嘴=くちばし}を天に向け
広げた翼はそれ ....
一
昼休みの男子休憩室の扉を開くと
新婚三ヶ月のM君の後ろ姿は正座して
愛妻弁当を黙々と食べていた
「 おいしいかい?
結婚してみて、どうよ・・・? 」
と買ってきたコンビ ....
走る車の中から
窓の外に
うつる景色が 素敵だ
あなたはちゃんと
歩行者の安全考えて
車走らせていて 素敵だ
時折 携帯を取り出して
メールチェック
もちろん一旦 停止して…
....
なくしてしまった
ちいさなものを
どうしてもあたためたくなったので
ぼくはふゆのひざしのなかをあるく
ぼくにながれてくる
このふゆのひのかぜは
かなしいおととむなしいたいおんで
ぼく ....
ぼくは白い窓の横で寝そべる
暗闇は訪れない
25時の雪雲は桃と橙を混ぜた不安定な色
月がくすむ
白い雪があかりを灯すから、
今夜も輝けない
拗ねた月 ....
膝を折り、抱えた腕で
目を隠し
一度目の冬の質感を
花、枯れたままの鉢植に
黒い髪の揺れたあなたの日を
思い出して
ここで乗り換える
僕の靴は
自由なさよなら
....
舞い上がったタンポポの綿毛が
振り返って見下ろした風景
歩道で蝉の抜け殻を
知らず踏みつぶしたときの音
そんなふうに目覚める朝
新しい自分が
古い骸に驚いたり
影よりも陰 ....
あんしん したい
ボクは もっと あんしん したい
やさしい おんなのこと いっしょに
おふとんで まるくなるのも いいし
いつでも なんでも
おかわり じゆう ってのも いいし
....
大好きだって言ってた 窓際の彼女が
山田くんの手を しっかりと 握っている
今度は、触れただけじゃなくて
しっかりと、包み込むように
斎藤も、小林も、佐藤も
今日は 珍しく、おえつを ....
明るすぎる夜に笑われ
飛び立つことのできない鳥
低く地平に交わる{ルビ雷=いかづち}
遠くも近くも消し去りながら
鳥の横顔を照らしている
かがやく雲はさらにか ....
月の滴り糧にして、
傾くが儘に流れ征く。
果ての浄夜は音も亡く、
地を這う我影、
唯ひとつ。
ハル
そう呼べば君は心から紛れていく
ありがとうという意味で
口のかたちを残して
狭い空に雨が降っていた
振り切れない景色を順番に巡れば
何度でも逢える気がしていた
ハル
繰り ....
今日も飛べない僕がいて
群れなす鳥のかげを追う
いつからこんなに遠くなったの
きっと翼があるのなら
そんないいわけ胸に焦がして
雲のむこうに誰が待つ
空の色がゆれて
風にのって流れる ....
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