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{引用= あのひとの記憶がしずむ海は、いつしか防砂林で見えなくなった
越えられない高さに、すこし安心した}
砂が、降って
深く深く沈んで 底まで
皮膚 ....
千の書物に埋もれたみずたまりが閃光している。
赤ぶどう酒のかおりが溢れるほど、注がれている、
豊穣なページの眼差しは、街路樹の空虚な、
灰色の輪郭を、水色の気泡の空に浮き上がらせてゆく。
その ....
砂の上に
時をばらまいた
風が吹いて
時間が流される
帰らざる時の終わりに
横たわる
あなた
打ち寄せる波間は
遠き日の思いを映す
思いが心を焦がす前に
光よ
わた ....
名の無き道に
いつかふたりで
残した足跡を辿る
咲いた椿を
ひと目見たくて
斜陽にそっと
伸ばした指先
溢れた椿に
躊躇うばかり
枝先から
落ちた瞬間
名 ....
おとこの乳首はさみしい ふたつの
わすれられた 夢のあわいに
ひらかれる とおい戦線
それを おんなの指が
不思議そうに つまむ
誰のものでない足跡が
泥のような海に向かっている
きっと
闇の生まれるところ、
果てと呼ばれる
光、奪われる場所の
刹那の真実を知りたくて
、対消滅
小さな声でつぶやく
今日も遠 ....
誰もいない町が燃え
闇は闇のまま焼けのこる
このうえもないものから手渡された
かけがえのないものさえ消えてゆく
風はまやかしの花
やるせなく つめたく
咲きひらく
....
晩春の小雨は
しっとりと彩づくつつじを湿らせ
新緑のにほいを
みずみずしい大気に
浸透させるのであった。
もう水無月がそこにある。
流れ落ちるギターの音
太鼓の響き
誘われてここに来ました
知らない道
散歩の途中
そんな
夏の夜に
冷たいお酒
涼しい夜風
気持ちいい
隣に座った女の子と
少し話 ....
きれいだね きみと あさひと
きれいだね すなと そらと
....
窓際で外を眺める四角い風景
透明な硝子が心を縛り付ける
ここにはいたくない
そう思うのだけど
どうして僕はここにいるのだろう
寡黙に歩く黒衣の参列
白い花に飾られた柩は中心に
誰ひと ....
朝
目がさめると
ここはどこ?
と少しだけ考える時間が
幸せ
夢のつづき
のように
夜
蛙がなくと
ついつい
僕のおうちは
すぐそこなんじゃないかと思う
朝の夢のつづき
....
ぼくのもっとも尊敬する詩人は
F君である。
F君は現在ガソリンスタンドで働いている。
そこがどこであろうと
まるでそこがカリフォルニアであるかのように
真っ黒に日焼けして。
F君の詩を ....
怒りを失い
怒りをさまよう
朽ちた腕 朽ちた拳
いのりのように
ねむりのように
土へ向かう
目覚めゆく音
水紋の音
高く堅く過ぎゆく音
聞こえない風の戯れに
....
五月半ばの空は晴れ渡り
真っ暗な空に星と太陽が並んで光る
という風景を見るためには
大気をすべて消去する必要があるけど
そこまで無理することないわ
面倒だから五月闇で充分
まだらに曇る空か ....
雨の
始めの
ひと粒
ふた粒
私だけに
与えられた
もののように
この頬を濡らす
あなたの指先に
近い温度で
点滅する少女は
望遠鏡をかかげて
現実と空想
切り取り方を気にしてる
そっと
指を放ったり
明日は雨
かさをもって
来ていない
はだしで歩く
この星ぞら
色とりどりの花片の散り敷かれた舗道は
華やかな体面をたもちながら
苛立ちを隠しきれずに風を待つ
永遠に灰色であることはささやかな安穏
たとえ幾千もの足に踏み入られても
艶麗である ....
息を吸って
息を吐く
そんな簡単なことが
あなたは
出来ない
笑いあう
謝る
手を振る
おじぎする
そんな
簡単なこと
(わしの仲間は
(戦争で
(みんな死んだ
....
そんなにくるくる回ってると
溶けちゃうよって
大丈夫だよ
あたしゃバターにはなりません
その頃六本木で
夜な夜な扇子を振っていたチブラさんは
今では黒門市場通りを疾走し ....
{ルビξ=クシー}の波が
中庭のまわりを
ひとくくり漂う
崩れることなく
水平線までつながり
微笑みのはじまりのように微笑む
謎が終わり
風が生まれ
緑を示し
目 ....
詩人はロマンチストでなくてはならない
詩人は飢えているのが良い
詩人は孤高を貫くべきかもしれない
詩人は言葉に剣を隠し持っている
詩人は無口だけど饒舌な筆力が必要である
....
それは言葉にならない思いであった
母は母であった
息子は息子であった
いずれは離れ離れになる定めだった
『ふたりは生き別れる』
それは別段、不幸なことでもなく
いつまでも悔恨に捕らわれるこ ....
遠くばかり みていると
いまを みうしなってしまうけど
遠くをみてないと じぶんを
うしなってしまうから
いつでも星を さがしているんだ
雨のなかをはばたく雨
すべての音が去った後で
高く遠い静けさのように
冷気の指はやってくる
はじめて息を見つめるように
生まれ出る何かを見とどけるように
空が降り終 ....
河原に 並んで ふたり
座って ハーモニカを吹いていた
たど たどしい 名曲 チューリップ
ふたりの ハーモニカを 二両編成に連ねた
銀河鉄道の想い出
あの 幼き 頃は
「 ....
失ってしまったと
知らせに突かれて
霧雨の中へ飛び出したから
取り込み損ねた洗濯物のように
さびしく湿ってしまった
時計は無慈悲に
時を奪っていく装置
刻んで ....
抱き合うことで
すくわれるたましいの
とおく
海を泣いて
あなたが翔けていく
わたしもはしる
とおく
たましいの
秘密の場所
わたしは
自由だった
わたしとして
ほ ....
もし
どうしても
どうやったとしても
このゆうやけが
おわらないとしたら
わたしは
あなたに
あなたは
わたしに
なにを
はなせば
いいのだろう
もし
どうしても
どう ....
?.
誰も傷つけないように
貝殻を拾いにゆこう
まだ潮が高いから
ゆっくり 遠回りをして
(神様の邪魔をしないようにはできないのよ)
踏みしめる靴 ....
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