すべてのおすすめ
(夏)
波音の届きそうにない
部屋でただ
いき過ぎるのを待ってる
テレビにはめ込まれた
冷たいガラスの匂いだけが
わたしに似ている
(秋)
言葉になり損ねて ....
スターチス の花で
おままごとを したかった
だって
枯れてなお 色美しく
輪切りにすると
たくさんの
星屑が
できるから
何もない景色があった
見たこともないものを、憶えているのは
緩やかに消えていく光のせいでしょうか
眠れない、夜ならば
明日の仕業にしてしまおう
結局、かたちばかりが残った
匂いが泡立つ ....
鏡に映せない
言葉は綺麗な現象
だから私には
似合わないのです
指をつたう血が
涙と同じ温もり
人の温度と気づくから
生きると言うことは
{ルビ連星=アルビレオ}を見る ....
真っ白ならそれは
無目的な終点で
切符を破く
錆びたレールがセイタカアマダ草に埋もれて
どこで途切れているのか きっと誰も知らない
幸福駅 という名前の駅に流れ着いた若者は
それで ....
手のひらから咲き零れていく
白に近い桜の花が風に乗り舞う春の雪
遠くにいるあなたを想い
わざと桜を散らせて、はやくまたあえる日を願う
桜吹雪に隠れて見えないようね
幸か不幸か
咲き乱れるこ ....
昔々
あなたからもらった
魚の形をしたキーホルダーは
いつの間にか
泳いで行ってしまいました
だって
私のポケットは
海とつながっていますので
揺れる
カーテンの裾の
ほころびに揺れる
春と呼ばれた香りが
部屋の中で静かに声を潜めて
消える
まばたきの間に
ひとつ、ふたつと零れる花びら
風が
新しい季節が来ることを告げる ....
仕掛けのない心の中
もう 桜の噂
だまされちゃいけないよ
おわってなんかいないよ
水色の空 曇らせて
吹き やまない雪
綺麗な花 なんだよ
薄桃色の
枝の名前に はら ....
砂の川は春が近いこの街を
いとも簡単にすり抜けていた
乾いた季節
小さな子供の遊ぶ声が
離れていても鼓動まで届いて
影の居なくなった景色
埃を纏った詩人は川を渡る
....
折り返してみれば
まったく同じ毎日だよねと
誰もが皆、困った顔になる
根拠のない言葉の向こうで
街外れは、もう外れじゃなかったし
川にいたはずのメダカは、いつの間にか消えてしまった
私 ....
1.
美人薄命
という言葉を知っているが
私の母は、けして
美人ではなかった。
そして、私もそうではない。
人の死はそう易々と
語れるものではないことを
私は知っている。
....
わたしは確かに住んでいた
あの画面の中に
隣にいたあなたも溶けていたので
わたしも別の画面に溶けた
いつもひとりだった
たくさんいるともだちはみんなわたしの分身だったので
おし ....
あなたの胸に投げたはずの
いつか霞んだ想いの欠片
あめの雫に流れて消えた
いままでここにあったもの
あすの彼方に投げつけられて
いたたまれずに割れていく
あくなき思 ....
小さなホールケーキ
真ん中に添えられたクッキーには
“パパ たんじょうび おめでとう”
みどり色のロウソクがひとつ
中ほどがポッキリ折れていて
むき出しの白い芯が
辛うじて身体を支えて ....
君はいろいろだね
幾何学を解明しようと
君にキスをしてみる
そのたびに知らないかたち
騙し絵のようで
のぼったりおりたりする君は
いろいろなかたち
そんなことは
説明なんて ....
コロンブスがタマゴを見ています。
コロンブスがタマゴをじっと見ています。
タマゴはコロンブスを見ていません。
タマゴは世界を見ています。
タマゴは世界を洞察しています。
....
膨らみかけの
まるい頭を圧する手は
あなたにとって
始めての試練
そうして知るだろう
温みあるやわらかな手が
差し伸べられるあしたを
そうして迎えるだろう
ため息と酔うた目に
愛でられる日を
花 ....
階段にしずくの傷がつらなり
あせた光を流している
そのうちのいくつかが
私とともに上へあがる
雲から水が去ったばかりで
手のひらと屋根は渇いている
空の風より強い風 ....
あなたの手はいつも潤っていて僕は戸惑ってしまう
涙みたいだ
そう思った
あなたが生きている時間の中には
行き場をなくした幼魚の群れが泳いでいる
おそらく何万という幼魚の群れであなたはでき ....
黒い静寂の隙間から
甘く短い便りが届き
振動はそのまま
片耳から深くに伝わって
封印が容易く解かれる
ひとつひとつの接吻が
蝶になって
夢心地だった恋の日も遠く
雪と降る ....
春の木々に手を当て
温かい日差しに眼を細め、
太陽の白さを受けた肌を
青の色鉛筆で写し取る
フロッタージュ。
色あせた紙と鉛の衝突音も
柔かい春風が傍を通る音も
失われた世界に、 ....
{引用=
夜の窓に遠く
過ぎる電車を
手のひらにのせる
人気の少ない座席に
ごとごとと震えながら
閉ざされたあなたの
かなしみは 何処へ行くの
私の身体は
透き通 ....
あの西の空を埋め尽くす枯野に
鶴の声がきこえる砂漠を描くあなたは
役目を終えた旅人のように 晴れ晴れとして穏やかです
静まりゆくあなたのその瞳をたたえる 夜のみずうみは
いま 爽やかな風 ....
日差しが
雪を溶かしてゆく
ごめんね、冬。
あなたがゆくのを
哀しんでいられない
ネコヤナギの枝の先の銀色
樹液がそこまで
流れはじめたように
私の中の血液も流れはじめた
....
あなたへ届かぬ手紙の行方をたずね
風の舞う街へと旅立つ
(緑色のインクで書いた
(お別れの手紙なのに
幾艘もの小舟を乗り継ぐのは
わたくしの至らなさと諦めてみても
何故にあなた ....
白くうずめられた谷川へ
舞い降りる
まだ浅き春の 雪になって
私のほほにふれてください
いま
瞳に映る美しいものすべて
あなたのものに
やさしくふきぬける
風のよな
寂 ....
街を囲う高いこの壁に
盗んだペンキで
とりの絵をかいた
「逃げ出しておくれ。」
壁をこえるだろうか
川をわたるだろうか
村をさがすだろうか
母をみとる ....
私、空を飛ぶ
海の青さ、空の青さ
イコールで繋いで
逆さまになっても
怖くないでしょう
陽の光、あの笑顔
イコールで繋いで
おちても
痛くないでしょう
....
あれは、あの感じは何だろうねぇ。
桜並木を見ていると
足元が軽くなるねぇ。
そのまま気持ちを持ってかれそうだねぇ。
淡い桃色の真綿が降ってきて
体ごと包み込んでは
ふわぁ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213