すべてのおすすめ
春の種をまいたら
水をあげよう
すきまなく潤してゆく
ぎんいろの雨が
わたしの窓にも
あなたの窓にも
芽吹いた想いも
大きく育ちますように
二つの空に二つの雲があった
風が吹けば波打って
雲に霞が立ち込めた
二つの空に二つの月があった
大気の澄み渡る晩には
無限の星屑が月を囲んだ
二つの空に二つの陽があった
全ては朱 ....
夜明け前に呼吸が足りなくなって
遠い地名を呼びながら目が覚める
ほんの、少し前まで
そこにあったはずの夢に
花を、植えたい
声の鳴る丘、霧降る峠、新しい駅の三番線
いつか出会ったような
....
百年間に一人も生まれなかった
小さい色したかえるの子
百年間は長くて短い
言葉の留まる時間もない
小さな木の葉が地面に落ちる間に
過ぎてしまった
緑色の葉が褐色に変じ ....
授業のみじかい休み時間に
俺たちは 10人くらいでわいわいと
こんにゃくでの正しいオナニーの仕方について真剣に討議しあった
机にフリーハンドで長方形を三、四個 描く
さて これでどうや ....
“真夜中に雨が降ると良いですね”
押さえ切れない怒りの中で
死神の言葉はそれだけしか聞こえませんでした
息子が一人暮らしを始めました
あの子にも手がかからなくなって
お互いに二つ ....
濁った色の運河を
僕の手が流れていく
腫れ物に触るように
どこか遠慮がちな様子は
やはり僕の手らしかった
妻を抱き
娘を抱き
椅子の背もたれを掴み
いろいろな手続きをしてき ....
戦うだなんて たいそうなこと 言ってますけど
なにを もってして 戦うと 言うのですか?
敵なんて 見えて
ないくせに 。
そろそろと気配が生まれてくる
(春の音 春の音)
さらさあさ
今日は曇りのち雨でした
しっとり雨水 雨水
夢でも見ているのでしょ?
ええはい
鈍色の季節にたつ 青く震える幽か ....
とげ屋に行った
店には色彩のきれいなとげや
いい匂いのするとげが並べられていた
地味目で自分によく似たものを買うことにしたが
名前はどこか似てない感じだった
店を出ると
空は漫然と ....
“言葉にはきちんと止めを刺してあげなさい”
俺のじぃちゃんは死神だ
母さんの名付け親だから
血が繋がっているわけではないけど
昔からよく遊んでもらって今も良く遊びに行く
命がかかわる ....
“かえりみちでほたるをとってきてください”
平仮名ばかりのメールが届いたのは
電車が駅にすべりこんだ瞬間でした
アドレスは息子のものでしたが
明らかに使いなれていない平仮名と文調子 ....
冷たい雨の暗がりが
ぼんやりと寂しく誘う
私を溶かし込むには
ちょうどいいおおきさで
ほほにつたう
みぞれの砕けた{ルビ飛沫=しぶき}
雲からはぐれた
それも孤独
いいわけ ....
もしも許されないなら
この瞳を抉り出して捧げますから
貴方の薬指を飾る石にしてください
蝕まれてゆくのはいつも正常な意識ばかりで
何かを伝えようとするたびに奥歯が軋んで
上手く ....
実際の所あれは
鴉のようにも見えたし
人間のようにも見えた
真冬の朝の
まだ明けきらぬうちに
紫色の空を
私たちは見上げていた
凝固につぐ凝固
雪よりも白く美しい
骨を包んで ....
君の言う単なる恋愛に
僕は幾度となく涙を流してきた
君の言う単なる恋愛に
僕は幾度となく命をかけてきた
なぜなら
そこに世界で一番大切な真実があるから
....
作品にならない 苦しみがあります
これを
きれいに削りこみ 磨き上げ
ニスで仕上げるのには
あまりに苦痛が大きくて
とても、
やりおおせない
苦しみという名の 作品があります
....
吊っていた管に
私の血が流れ
立っても
座ってもいない
赤い液に
ほんとに支配しているものは
いつもは みえなくて
体から離れた時だけ
錆びる 舌先
うわずる 耳
少し鼻をあげながら
彼女はハミングする
大きく手を振って
人の目なんか気にしない
悲しいことがあっても
彼女の歩く通りには花屋さんがあって
小さな花がところせましと咲いてい ....
人より一回多い修学旅行気分で
床を転げまわる
人より一回多い学園祭気分で
床を転げまわる
僕のSOSはネットを通じて世界中に発信され
日本語を読める者から若干の返事があったりする
流石 ....
川沿いに歩いて ようやく
国道まで出た
ぼくたちは、しばしば
夜を迷う
ぼくたちには靴がなかったけれど
それはたいした問題じゃなかった
歩くべき道を
さがすだけの、夜を
迷っていた
....
裏庭から
雨音に紛れて
犬が落下していく
音が聞こえる
どこまで落ちていくのか
犬にも僕にもわからないまま
犬は落下し続け
僕は音を聞き続けている
少し傲慢に生きてきて
思い ....
【運転室】
ミステリーツアーの
ほんとうの行先は
汽車の運転手さえ
知らない
行先はレール任せなので
運転手は楽譜を前に
指揮を振っている
振りをしているに過 ....
遊覧する飛沫の、そのすべてが着地すると
手のひらには鍵だけが残った
閉めきられた通りに沿って
左から五番目の鍵穴を覗く
その向こうには、空だけがあった
やがて、という
一括りに出来た時 ....
水時計は五色、
薄紅、薄青、亜麻色、鈍色、萌黄、
途方もなく贅沢な時計、
薄紅ならば奥方さま、
薄青ならば二の奥さま、
亜麻色ならば三の奥さま、
鈍色ならばあたし、
萌黄ならばあなた ....
あなたは どこへいくの
ペンペン草に 絡めた心
持て余して
工場の 煙に
後ろずさって
怯えてた
風が 未来に往くのか
過去から いつ来たのか
座りこんでた くさっぱら ....
上へ登り
上へ登り
化石を探す
柔らかい
砂で出来た
化石を探す
黄色い砂の
あいだに隠れた
化石を探す
一人で探す
毎日
毎日
探す
化石を探していると ....
こんな寒い日は
どうしてもシチューが食べたくなる
早く帰ろう
家に帰ろう
どうしてこんなところにいるんだろう
まったく馬鹿みたいだ
足を踏まれるために都会へ来ている
糞を踏んだ足が
さ ....
君の残した想い出は
遥か遠く浜茄子咲く北の国で
いつも優しく眩しいほどに輝いて
ここまでおいでと僕の名を呼んでいた
君の残した思い出を
僕は今超えようとしている
越えることなんて考 ....
ソーダ水の浮上する泡に
空想をのせていける午後
冬と呼べる景色でよかった
北に向いた窓を開けると
区切られた言葉が通り抜けていく
君の途中で
空の色とかたちを書き残す
嫌になるく ....
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