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青空に
まっすぐ追いかけて
あなたを
揺れながら消えていく
ひこうき雲に
私は
なりたい
午後の空中へ
午後の空中へ
雨に逆らうようにして
ハナミズキとして昇華し続ける春は
公園が夕刻になっても未だ軽く漂う、
薄い、甘い、影
春とは分離するように
俯き始め ....
ボタンが取れて
心も取れた
はだけた世界に
乱れて飛んだ
あなたの思いは
月に溶けて
宙を舞う力なき手に
ただ一つ
霞だけでも掴めれば
わたしの思いも粉にして
あなた ....
日曜日の朝
シャワーを浴び
鏡の前で髪を整え
{ルビ襖=ふすま}を開け
薄暗い部屋を出ると
何者かが{ルビ袖=そで}を引っ張った
振り返ると
ハンガーに掛けられた
高 ....
君が帰った Cafeの 空席に
さっきまでノートに描いていた
空へと届く望遠鏡の幻がぼんやり浮かんでいる
別々に家路に着く
君の切なさも
僕の切なさも
この Cafe に置 ....
そして、
海は濁っていった。青黒く、あるいは黄色く、
濁ることで海はひとつの予兆を示した。水平
線までの正確な距離をはかろうと、漁師たち
は考えをめぐらせ、砂 ....
青みがかる灰色の空
春の若葉も静かな会話
横断歩道 赤に変わって
僕は止まる 息を吐いて
思うことはたくさんあるが
思っても仕方のないことばかりで
晩御飯の ....
地の水の円
宙の粒
暗くかがやく重なりの日
ひとりの涙が見つめる日
歩くたびに
すぎるたびに
ふと触れる厚い葉
空へ向かう音になる
こころもとなくにじむ ....
こんな晴れた日
野の緑はしなやかな腕を
天に向かって伸ばし
陽射しに仄かな生命を温めている
草むらをすり抜ける風は
蜜蜂の
しじみ蝶の
か細い肢に付いた花粉を
祈りに変えて
次の ....
風の声が聴きたかった
新緑の並木道の向こうでは、
アスファルトに杖を落とした老人が{ルビ蹲=うずくま}っていた
僕は見ていたに違いない、
何故彼がそうしていたのか一部始終を ....
遅い春が さらに足踏みをして
私たちの日曜日は
台無しになってしまったけど
公園からの帰り道
陽当たりのいい住宅街の一角で
うっすらとつぼみの綻んだ
可憐な桜を見つけた
ブロ ....
叩く
ひとを叩く
大好きな彼女
君のこと好きだよ
と言わずに叩く
大切な母親
いつもありがとう
と言わずに叩く
可愛い我が子
よしよし
と言わずに叩く
....
久しぶりに良く晴れた朝
緩やかなカーブを描く坂道をゆく
気がつけば
坂の中腹あたりだろうか
どれくらい来たのだろう
振り返った後に
始まりはもう見えない
けれど確かな軌跡
....
飛砂を焼こうと
たどり着く海岸で
瞼を閉じたときに
ひらく{ルビ瞳=アイリス}
あかいのは
すべてが染まる音で
あなたとの間には
愛以外のなにかが潜んでいた
....
夕焼けに
うす紫に染まった
ほほにひとすじ
熱いものが流れて
小さな手のひらで顔をおおう
影が淡く
暗い血潮へ暮れてゆき
無器用な翼の
色調不明する鳴き声が、
空ろに響く
指の ....
午後の視界を横切る
さざ波にもよく似た面影の人
もうすっかり冷めて
固くなってしまった時間を
連れて来る
色彩を逃がした空の
真ん中で私は
強張りかけた呼吸を緩め
それに合 ....
絶叫する空
描かれている発光する夕暮れの子宮の瞬き。
手を振る少女は、
鮮血の銀河を潤すために海で水浴をする。
薄紅色の尾びれが、激しく水面を叩いて、
青いページは、下半身から、少しずつ、
....
ベイビー
俺の右腕の曲線は
夜中の海より気持ちいい
そうくっつくな
急かすなよ
さっきハンバーガーショップでマスタード抜きって言っただろ
あれはまずいな
俺達は追われる身
なんてこ ....
知っているのに
知らない振りをする優しさや
わからないのに
解った振りをする優しさより
弱肉強食の今日
千尋の谷に突き落とすような
ライオンの優しさが
欲 ....
砂浜で波とたわむれる
あなたを見失ってしまいそうで急いでかけよった
あなたの白をたどれば
その薄紅色の唇に広がってゆく海が見えてしまう
景色はうっすらと朱に染まろうというのに
....
日陰は 降り積もりはじめた頃の
うぶな雪 白く内側に抱えていて
ひっそり 溶ける
溶けたつものは 眠る
とどかれること なく
私たちの密やかな想いの始まりは
八月の明るい月の下
小さな灯りを頼りに
貴方の指にそっと触れ
少し汗ばんだ手と手を繋ぎ
それだけで胸は高鳴り
それだけで充分に潤い
そのままの格好 ....
君に
君の心と僕の言葉が反対を向いてどうしようもない時は
僕のことをへちまのちんちくりんと見なして
うっちゃってくれればいいよ
僕は少し酢とかにんにくとか
鼠の尻尾とか ....
ゆらゆらかげろう
玻璃の向こうに
柔らかき草萌ゆる
丘、ありて
音もなく 風渡る 景色に
あきもせず
遥かお山はぼんやりと 薄蒼く
頬杖つく
椅子の背は
しっとりと ....
いつもほんの少しを数えたくて
それは真っ直ぐに見えない夜のために
道に帰れないその日のために
僕が、ほんの少しを数えたくて
出来るなら、そんな僕のことを
少しでも待っていてほしい、とか
....
許してくださいお星様
お花の欠片に銀のさじ
私の欠片が食いついた
モーツァルトのセレナーデ
美味しく戴く春の宵
銀の色したお月様
夜の夜中に目を開けて
お腹がすいたと
食べられた
食 ....
苦悩のあたらしさを
うしなって 道がおわる
そこに はこんできた自分を
泣きながら捨てると
また道が はじまる
暁の夜明けに
始まりの前触れ
東に染まるオレンジ色した雲の
光る葉の美風な揺らぎ
誰もいない公園の隅で
始まりの唄を紡いでいた
時の図太さに
負けないように
坂道に抗うように
漕 ....
いつもの儀式
朝起きると缶コーヒーを買いに行き
水まきしているおじいさんと
天気の話をする
僕の存在理由
ちっぽけな理由
僕の選択肢には死はない
ただもくもくと明 ....
今日も窓辺のてるてる坊主は
ひとり 濡れて
ひどく 濡れて
雨粒 ぽとり
あなたの気持ちは分からなかった
週間天気予報(の降水確率)よりも
けれどずっと晴れなんてあるわけなかった
「 ....
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