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羊たちが目覚めて草原をさまよう、朝の陽は山々にさして、青みがかったきみの虹彩に映るのは昨日落としたまま忘れてしまったきみの幼年時代だ、きみは蜂のように騒ぎながら羊たちと踊る、朝の食事の合図が聞こえてく ....
空の上で
少女たちが
花をちぎっています
あなたが窓辺で
ぼんやりと
見つめている雪が
それです
春になれば
空の上で
花は咲きません
すき、きらい、すき、が、
言えなく ....
一人の犠牲で
百万人が救われて
百万人の犠牲で
一人の天才が生まれた
口だけでは正確に
的を射る事が出来なかったので
足を使って的をずらした
火が水の中に落ちた
目蓋を閉じれば ....
よりどころになる火は
つぐなう先をもす
じくの浅瀬に
なぎ払ったものが倒れ
喉が 海に泣く
制する夜は きたての波
しのぶ朝 しのぐ昼は 隠れ
ついえて春と
声 ひめる
プラットホーム
薄青く透けた空白へ
真っ直ぐに冴え立つ
色の無い脊椎の林の
プラットホーム
始まる
冬の朝の微細な輪郭線は
薄荷のことなど忘れた振りをしよ ....
あなたと二人
倉庫の脇で体を寄せ合って
雪の中
白い息を吐いていた
わたしにもあなたにも
大粒の雪が積もっていた
それでも動けなかった
動きたくなかった
あなたのおかげで
世界に ....
星月を見たいときには
その場所までいける
そのことの
幸せ
美しく染まる水色の朝に
生まれた紅の光に見惚れることのできる日々の
その
幸せ
しか ....
温泉に行った
ほっかほかにあったまったあとは
冷たい麦茶がいい
自動販売機のまんなかに 麦茶があったっけ
からん
と
コインを入れた
熱をもった ほっぺたに
瓶をくっつ ....
{引用=
冷たく冴えた月光に
白く抑えつけられて
家並みは動かない
家並みの間を
老いた野良犬が
痩せた影を落とし
トコトコと 走る
( この ....
一、たらちね
ふるさとの町は
訪れるたびに輪郭を変えてゆく
けれど
夕暮れどきに帰りつけば
あいも変わらぬ暖かさで
湯気の向うから微笑みをくれる
あの人のおかえり
ただいま、と ....
遠い風の透けた
銀のしずくが
{ルビ月影=つきかげ}おぼろにひびいて
さびしく薫る
ぬれた黒髪
結いあげる白い手
静かすぎる吐息の重さは
うつろな視線の光
映る予感の静寂が ....
お父さんはね
お母さんを口説いたとき
自分の故郷には
おはなばたけという駅が
あるよと言ったって
夏に嫁いできた母は
駅前に花畑があると
おもってたと
文句を言ったらしい
お父さ ....
鳥として生まれ
鳥として逝く
その間にいくつかの
鳥ではないものがある
車の通り過ぎていく音を
人の小さな話し声を
洗濯物が風に揺れて触れ合う姿を
幸せと同等のものが包み ....
陽は傾いて
粒の影たち
熱の在り処
闇のなかの
四角をまさぐる
目をさがしていた
水のなかにそれはあった
触れようとしたら
沈んでいった
今もそこにありつづける
....
白紙に滲んだ黒い赤
むくむくと大きくなって
たくさんの物語を生んでくものを
とくり、とくりと創ってく
神秘の朝は窓を黄金に染め
鳴いたはずの軋んだ世界を
やさしく やさし ....
微笑んだ赤い春が
水槽の底から産まれてきた
一日の少女達はまるで
全て悟ったふりした子供
(静かに)
透明感を維持するために
慣れない弦を弾いてく
音にのせ ....
言葉を投げ合うほどに
違うものだと気がつく
砂丘の砂、そのひとつひとつが
自由な砂の本性で
名前が足りないから
同じものだと思いこむ
それはかなしいことだ
....
やっとのことでぬくもった指が
水にふれた
気がした
また凍るのか
雪の味をいつまでも
いつまでも憶えていて
そういえばそれはひどく愛しかった
はるか上空から
落ちて ....
夜になると
鳥は空を飛ぶことを諦め
自らの隙間を飛ぶ
高い建物の立ち並ぶ様子が
都会、と呼ばれるように
鳥は鳥の言葉で
空を埋めていってしまう
知らないことは罪ではな ....
さみしさのようにあり続け
やさしさのように消えてしまう
鳥はいつも
そんな隙間に巣をつくる
おだやかな空のもと
揺れる木陰の向こうには
静止したままの朝
さえずりはまだ
誰に気づか ....
無数の昨日を数えながら
この部屋はまた心を殺すのでしょう
抗えないものがあることを知った
見飽きた静寂の彼方に
戸惑いの群集の群れ
その対岸に向けてのクロール
悪魔に尻尾を掴まれたまま ....
波の声
かたりかけてくる
じゃまにならないように
ちかく、ちかく、とおく
足元をぬらさないくらいの
ところにぼくは
すわって
つかれてしまったよ
うずくまったよ
なにか答えてほし ....
光のにおいを
燃やすにおい
雪のにおい
水のにおい
空の青を掻く
音だけの吹雪
足もとにすがる
片羽の群れ
かがやきのない
氷の雲から
落ちてくる虹 ....
しずかな曲線を描いて
落ちていく
最後の一日が
地平線のあたりで
手を握り合う
もう二度と
離れてしまわないように
やがて朝がくる
信じるよりもあきらかに
疑うよりもたやす ....
海賊が泣いていた
アスファルトの水たまりを見て
海を思い出していたのだろう
海の歌を歌ってほしいと言うので
何曲か歌った
関係ない歌もいくつかあったけれど
気づかれることは ....
071231
こもりをせなかに従えて
少し大きな赤子がほざく
少し大きな旦那様
生意気盛りの旦那様
黄色い蜜柑を手に持って
緑の枝葉を引きちぎる
つごもり ....
十六歳だった
終わったあと
ひとつになったんだね、と囁かれ
雑誌の読みすぎだとおもった
このベッドの下に隠れてるなにかかしら、とか
制服がしわしわになっちゃった、とか
私ははじめてで ....
情緒に問題あり、と
言われた、三者面談で
帰り道、お母さんが
泣いていた、自転車の
荷台で、情緒の意味を
分かりかねていた
テンイヤーズオールド
西日のまぶしさだけ
息が詰まっ ....
美しくなった、本当に
美しくなった
成人を迎えるからだの中から
魂の
幼い部分だけ
すくい集めて
投げる
そこに生まれた空間が
やさしく
かたまったら
ほし
と名づけて
揺 ....
{引用=
灰となって春が舞い
けだるい光が夏を照らし
深いお辞儀のような秋が来て
桜のように冬が去る
あなたはいつも変わらずに
そこにある全てを慈しみ
琴のしらべに手を差し伸べて
....
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