すべてのおすすめ
宵の衣の澄む空に
水を含んだ
月浮かぶ
果てを映したせせらぎに
火照る裸体を浸します
夢に染まった
つめたさが
しずかに狂って微笑した
(すわ)
終りにそなえて 花が咲く
こぼれる 刃
渡った眼 閉じる
光の ぬかるみに
紡いで 望む両手
つかえる やぐら
踏み 登りつめ
土鬼の から腹
澄んだ 眩暈
刈り取られる風
香り
塞いだ灯の
....
沈む中、目を開いた
放つ声は丸く
天上へ昇っていく
耳元で緋がささやいた
私たちは花
咲いては散るばかりの花
幾重にも重ねられた月光を浴びて、
それでも報われない花
私たち ....
古臭い靴なんて、まだ履いてるのかい
嫌味っぽく言うその口には
みみずが数匹 咥えられている
歩くのに、邪魔になるだろう?
みみずを咥えたその口を
もごもごと動かしながら
あの高い木から ....
窓の外は
ひどい風の音です
のどが苦しく鳴るような
うねるような
激しさなのです
思わず私は
自分ののどを押さえます
ひどい風の音です
いま飛び出せば
何を吐き出して ....
キミをミツメテルトキ
キミはあたしをミツメテナイ
ね
キミをミツメテイナイトキ
キミがあたしをミツメテル
の
....
心が渇かぬように君は 氷のオーラを身にまとう
それは君が流した涙
涙のオーラ
砂漠では生きられないからと 君が選んだ氷の世界は
しかし砂漠と同じで
夕日に光る砂漠が美しいように ....
世界で一番輝いているもの
それは夏の太陽でもなく
北風に瞬く冬の星空でもなくて
君が捨てようとしたもの
君がいらないと思っているもの
世界で一番輝いているもの
それはブルガリの ....
そのひとは
ひっそりと
木漏れ日の中にいた
何かおこりそうな空だこと。
そういえば、このあいだの鳥は、
どうしたかしら。
陽にひらめいて、
虹を食べて、
七色になって、
空へと消 ....
{ルビ空=そら}の郵便を
待つ
透明なビンのいち日
ぼくの時間は
草色に
折れてゆく
ある夏のはじまり
ぼくは
ためいきと
うつくしいれんげの花の発音を
はじめて体験する
....
はげしい酸性雨にうたれて森が溶けていく
夢で
目が覚めた
髪が寝汗でべっとりとはりついている
彼がわたしに
失くしてしまったほうの腕で
手渡してくれた
一杯のコップの水を
ずい ....
彼女の眼は もうどこか遠いところを
覘いているようで
あからさまに
目の前で
道化を演じてみても
くすり、
とも 笑いません
時折、彼女は
「カルロス、もうお別れの時間 ....
すき。
つらつらと
窓硝子に透明な静脈
いつしかの雨
ちいさな胸にけむり
せつなさ響くぬけ殻の
透過する自殺
すき。
その精神
クシャグシャにくずれそうな
物理的に映らず視覚さ ....
ある現実に落とされた
一粒の出来事は
どんなに大きな波紋を描こうとも
より大きな現実に吸収されてゆく
私たちはそれを
受け止めたり
跳ね除けたりしながら
けれど
その波紋の消えゆく ....
最後の赤を脱ぎ捨てた
紅葉の合間から冬の声が届くと
過ぎた年月は
あどけない写真に
痛々しく画鋲の痕をつけながら
かなしみを、ときめきを、
なつかしさのオブラートに包み込む
....
北の国では雨粒が
まっしろな六角の花を咲かす頃
運命をギュっと掴んでいたその指は
夢や幸せも白く結晶させたようで
すべからく物事は
原因があって転がりだし
人との出会いも必然で ....
懐かしい天国への途上で
思い出されるのはあなたのこと
いや むしろ気がかりなこと
あなたによって
傷ついた額から血が流れるのは
これで二度目だ
茨の冠で傷ついた額は
最初に頭を打 ....
黒髪の視線が伸びてゆき
瞳が羽化をすれば
艶やかに空を含み
風と交わる
あなたの息は
全てを可能にする
台風
ひとだまは
リンが燃えるのだと
いう
底冷えのする
ステンレスのテーブルに
あなたは
白いかけらになった
リン酸カルシウムの特徴は
白くて 脆い
その白さは
小さな
....
ことばは
たんぽぽの綿毛のようにかわいくて
ことばは
猫の尻尾のようにきまぐれで
ことばは
ときどきガラスの破片のように
血をにじませて
ことばは
渇いたのどをうるおす ....
光のように
雨のように
ため息のように
降りしきるもののなかを
蔓のように絡みあい
いとおしみながら
天に昇ろうとする
心と にくたい
西風に流され
燦めくせせ ....
風の筆で残す暗号は
地図のため息と
おたがいの足跡をかくして
いつも同じかたちに戻ろうとします
その度に行方は
なぎさに吹き寄せられて
波に、雨に、さらに細かく
見失ってしまい
....
彩るうたを{ルビ口遊=くちずさ}む
こんな命があるかしら
{ルビ水=み}の{ルビ面=も}に蝶が浮いている
ちらともせずに浮いている
こんな命があるかしら
あすを知りえず浮いている
....
ピュウピュウ北風吹けば
寒くて唇が乾くので
つい唇を舐めてしまう
舐めるうちにカサカサになって
赤く腫れ上がった
僕のたらこ
リップクリームを塗ったら
気にしないのが一番
だけ ....
蛇口が捻られたのに気付いて
必死で押さえつけるけれど
耐え切れず
当たり前のように
落ちる
雫
浴槽には
透明で
不思議な色に染まった水が たまっていて
新入りは 小さな音を ....
つつき割る事を
あきらめたのか
雛は
まるく
まるく
丸まっている
身体は否応無しに育ち
卵の殻は変わらない
身体に合わせて
大きくは
なってくれない
その身の大きさに気 ....
銀杏の枝に 月が
ひっかかって ゆれているから
それとなくわかる 風の道を
じぶんのいない 未来のことまで
しのんで あるいてきた
片目をつぶったまま手招いていた
あの手は深い茂みに
罪はきれぎれに悲鳴をあげ
花びらのように降りてきた
見知らぬ吐息
濡れていくはかない枝葉
果実は強く芳醇だった
無防備に口にと ....
昨日は {ルビ後ろ足=あし}が生えた
今日は {ルビ前足=うで}が生えた
明日には この{ルビ尾ひれ=きもち}が消えて
明後日には 本当の自分に
なれるかもしれない。
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