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てんとう虫が
はじまりを見ようとしている
いつも黒々として
その目に届く瞬間
昨日の蝶のように青くなる
寂れた車輪の下
命の枝葉いくらでも伸びる
葉を噛んでみると
溢れんば ....
暗闇にはだぁくんがいる
たぶん夜行性で
明かりのない部屋とか
夜中の長い廊下とかに
体育座りをして
誰かが来るのを
待っている
照明をつけないで
廊下を歩くと
だぁくんは近づいて ....
静かな言葉に騙されて
武器を売り続けた
いくつもの春を泳ぎ
疲れれば
もの言わぬ記号に似ていた
河口に人の死体が流れてくる
知らない人ばかりだった
知っていたとしても
....
あなたがいってしまった次の朝
庭の隅に赤いバラを植えました
赤いバラの蕾から
黄色いつばめが飛び出します
私はつばめの背中に乗って
雲の向こうへゆくのです
虹はリボンになって
風 ....
?.
星を
呼べるんだね
あのロバ
ほら
また流れたよ
願い事三回は
いじわるだね
静かにしていよう
叶わないよ なにも
どうせこれ以上
たどり着こうとして
....
寝苦しい夜 はみだした足が
そろりと風を止まらせた
畳の上を這う 小さな羽虫の陰
名札をはずしたつもりになっても
はずれたくない場所がある
どこからもひ ....
若草色のかざぐるまに
しがみついていた、あの人が
夕風にさらわれて
私の中を流れてゆきます
水たまりの映す青さの
ほんとうを
確かめるまえに
軽々と飛び越えて
もう
行ってしまっ ....
?.
眠っているとき
おまえは
ほんとうだから
なあ
なんで
眠っているときだけ
おまえは
本当なのかな
?.
....
夜遅く
仕事から帰ると
ぴたりと止まった扇風機が
床に影を伸ばし
{ルビ俯=うつむ}いていた
また会えるからサヨナラと言った
雪の残る街
いつものように見送った僕を
覚えていますか
赤いコートの裾が揺れ
乾いた風に凛と鳴る
あしたもきっと青空だね
ふたり信じていた
....
水の鈴が鳴っている
鈴のあとを鈴がゆく
葉の上
土の上をゆく
手と手をつなぎ
生まれる音
伝えたくて
仕方ない笑み
呼吸を疑い
息を受け入れ
あきらめと ....
夢のつづきは いつも
さむいものを 育てていた
ぼくらが たがいの
希望に なるのだと
むつびあった あの場所から
小さなバス停を飼った
小さい割にはよく食べた
それでも店員の言ったとおり
あまり大きくはならなかった
一日に数本小さなバスが停まった
行先はどこでもよかった
夜、明かりを消して床に着 ....
そう厚くない 空の層から
シャワーは今日もふる
せせらぐのは 大気の雑踏内を
散歩するようなきもちにして
{引用=がくぶちに青から赤
藍から藤へと染めこんで
雨が恋する}
さ ....
ひとのくちからはきだされる弾丸
ことばに影はなく
銃身はいつまでもまっくろ
演技されつつ
ゆっくりと斃れるラジオフレーム
宙からの侵略
リビングで
百合がひらいて
そんなニ ....
ごめんね
としか言えないよ
おとというさぎ
あたたかい
あなたの腕は
やさしい
私は
幸せなんだと思う
だけど
噛み切るような凶暴さが
この恋にはないことを
....
07/07/02
で。
パート。
あ。
パート。
アッバウトな挨拶
奪われた空の
コバルト
不足する金属のコインを紙で代用
紙コイ ....
デパートに難破船が漂着する
甲板をいじくり
あなたは指の先を切った
立体駐車場から汗など
生活、の匂いがする
立体であることはいつも淋しい
家具売り場でかくれんぼをしている間に
誰 ....
デパートの
古本市の会場で
客もまばらな閉店前
床に落ちたクリップが
きらりと光り泣いていた
なぜかわたしは素通りできず
足を止め
屈んで拾い、ポケットに入れた
....
雨をふくんだ地面が
静かに沸騰して
おいしいものが
出来上がるそこを
夜明けを待たずに
ぬかるみながら歩く
無意味を信じて
無意味な逃避をして
正しいつもりになって
砦の先はるか遠く ....
The world owes me nothing. I didn't ask for beauty and I wasn't expecting it. But there it ....
うずくまる腕に ひざこぞう、ふたつ
私の体に わんぱく坊主が
ふたり
そっと「膝小僧…」って 呼びかけると
ひとりだけじゃあないことに ふと きずいたよ
どこかになにかを預けて い ....
消えかける
蝋燭の火に
あわてる
誰も来ない日
菓子だけが
華やいでいる
もういいから
そう誰かに告げられたかのように
途切れている
数十年に一度 ....
体に雨があたり続けると
冷えていく寒さに
体内に取り込めば力となる水の
私とは相容れない歩みを知る
宿り木のような両手の指を暖め
握りしめる手の甲を濡らす雨と
向かい合っている体内を巡 ....
流れていくのは
いつも昔のもので
西でギラリと
湾を満たすものは
せめて夕日に
清らかに染まろうとする
夜の寒さなど
思うこともなくながめていた
港を出て行く
貨物船の短いマス ....
夢を見ていて悲しいことがあると
純粋に悲しい感情だけが高まって
夢の中で
押しつぶされそうになってしまう
そんなとき
胸の上の猫を払い落とせば
急に楽になれる
目を覚ますと
猫のいない ....
呪文を となえれば
砂の虹が くずれる
言葉の なきがらを
なきながら ふんで
風の道に とどまる
海のない町で
静かに月の海をみあげる
溺れることのないそこは
僕の心を沈めて
耳に木霊するあの声は
よせてはかえし
ゆらゆらと僕の心を
手繰り寄せる
つながる月
つながる夜
....
ある日ふとあなたは
わたしの優しい母となり
慣れないヒールの高い靴を履いたまま
図書館のカウンターのはるか内側
シチューを煮込んでいる
戸外、三角ポールの静かな
駐車禁止区域に来 ....
入梅に映えるはな
雨の雫を身籠って
まぁるく結実して
空の蒼さをうつす
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