すべてのおすすめ
{引用=これによってその町の名はバベルと呼ばれた。主がそこで全地の言葉を乱されたからである。主はそこから彼らを全地のおもてに散らされた。(「創世記」第11章第9節)}


その昔
僕たちは ....
とおく あさく
どこまでもつづく海のように
僕たちの罪は終わらない
それが僕たちの生を規定している

そうして決められた生とともに
僕たちはいるが
僕たちの罪の裏には
それにふさわしい ....
五月は淋しい月
新緑の匂いに惑わされながらも
それらと一つになることのないジレンマ
暑くなり始めた気候に
責め立てられているような気分
五月蝿い虫どもがまとわりつく
ありえない煩わしさ
 ....
情けなくも迷うのか、それとも、情けとともにあえて
迷うのか、とりあえず、抒情とともに迷うということ
にしておこうか。情迷という態度を貫いてみる、人は
常に迷いとともにある存在であり抒情とは人にと ....
俺はどうやら異形の者になってしまったようだ

俺の不具の左腕は
不自然なかたちで捻れている
その苦痛とともに 無理矢理
腕を正常な位置に戻そうとしていると
俺は俺の異形を否応なく感じざるを ....
ただ広いだけの野に
一つの観覧車が淋しく建っている
観覧車は時とともにゆっくりと回り
様々な風景を人に見せる
観覧車に乗り慣れた人は
見慣れた風景をまた見ることになるが
そうでない人にとっ ....
ただ広いだけの野に立たされて
私たちは呆然としている
野は広いだけで
本当に何もない
こんな場所で
何も持たされずに
何の約束もないままで
いったいどうしろと言うのだろう
私たちの戸惑 ....
 詩の言葉というものは時代を映し出す、そのことは谷川俊太郎の詩を見るとよくわかる。よく知られているように、谷川俊太郎の第一詩集『二十億光年の孤独』は三好達治の序文を付して刊行された。現在長期入院中で資 .... 決まりきった一日が繰り返されるように
決まりきった生が繰り返される
そうして生の脚韻を踏みながら
人は少しずつ あるべき真理へと近づいてゆく

(2024年12月)
 昨年十一時に谷川俊太郎さんが亡くなった。個人的に喪失感のようなものはあまりなく、それよりもこれでいよいよ現代詩も危機的状況になったなという感じの方が強い。なぜなら、現代詩村が外部の世間一般にアピール .... 私は何者なのか
その疑問からまずは始まる

私は この世界のなかで奇矯な存在だった
ずっとそう思っていたが
実は世界そのものが奇矯であり
私はそこに迷いこんでしまっただけなのではないか
 ....
 去年の十月十五日に自室で倒れた。夜中から朝までずっと起き上がろうとしたが身体が動かず、なんとか這いずり回ってトイレに行こうとするも出来ず、そのまま自室で大小漏らしてしまうという失態をやらかした。とに .... やまいだれ疒とは、面白い言葉だ。「疾病」など主に
病気に関する漢字に使われる部首のことだ。
いま、俺の脳内にやまいだれが垂れ下がっていて、脳
の底にぽたぽたと病の元を滴らせている。また、やま
 ....
夏が終ろうとしている時
世界が昏くなりたがっているのを感じる
私は台風一過の荒れた林道を歩きながら
その名残りの水のしたたりを見る
一滴の雨の子供のなかに
自然のすべての理が凝縮されているの ....
夏の日に
僕等は少しだけ詩的になる
降り注ぐ太陽は殺意とともに肌をじりじりと焼いて
そんな苦役さえも受け入れて
僕等は夏を楽しむのだが

夏の日に
僕等は少しだけ何かを予感する
この喧 ....
 スマホが故障したので新調したけれども、前に使っていたSNSのパスワードが確認出来ないためにそれらのアカウントも新しくせざるをえずに苦心していたタイミングでchoriくんの訃報を知った。39歳。あまり .... 日々が山となって積もる
あまりにも積もりすぎて
日々の山は崩れる
麓の地平は突然の崩落に大騒ぎだが
俺は山の頂上にいて
ぐらつく足下も気にせず
泰然自若としている
日々は崩れる時は崩れる ....
けっきょく、しずかになってゆくことが、このいのち
のもくてきであることをしる。はとうのようにおしよ
せるむねのいたみも、あれくるうふううのような、じ
んせいのじけんたちも、あとからふりかえれば、 ....
こうして日々
人から離れて一人で暮らしていると
自らの存在が希薄になって
空気のなかに溶けてしまいそうに思えてくる
きっと僕は 世界から隠されてある

隠されたもの
それをオカルトと呼ぶ ....
生きたい。生き残りたい。この宇宙のいのちの星に
一つのいのちとして生まれたからには、生まれ持っ
たこの本能を、せいいっぱい開放して謳歌したい。
だから俺は、自らをごまかさない。自分の欲求を恥
 ....
 何日も詩が書けないと不安になる。これは昔からそうだが、特にインターネットを通して詩を発表するようになってからはその傾向にますます拍車がかかったように思える。そのため、年間100篇とか詩を書くようにな .... ひらひらと、頼りなく風に吹かれて、煽られて、めく
れる頁、めくれる言葉、歌になる言葉、歌が記された
紙片、ただの頼りない、薄いいちまいずつの紙が、そ
こに言葉が記されてあるというだけで、どこか尊 ....
雲が木の枝の頂に突き刺されていて
その傷口から青いものが覗いている
ひとりで歩いていると
常に何ものかから斥けられているように感じる
もう終りかもしれないと思って
低いところにあつまる枯れた ....


まだ寒いのに
もう立ってしまうのか
立って 先に
行こうとするのか

その後ろ姿を見つめて
僕たちは
ずっと後から
暖かくなろうとするのだが

まだ寒いのだ
もうこんな ....
何かのふりをして歩いていると、詩を書くこころが僕
のなかからふらふらと彷徨い出て来た。そいつはゆら
ゆらと漂うように移動して、道行く人たちをとおくを
見るようなぼんやりとした眼差しで見たり、空を ....
目醒めると
この心に寄り添っておとなしくしていた霊が
ゆっくりと時の隙間にすべりこんできて
顔なじみの友人のように
この肩の向こうから微笑みかけてくる
それからは いつも通りだ
神をも恐れ ....
陽の光がまたたくせわしない時
誰もがどこかに向かって急いでいるが
なぜ急いでいるのか
その本質の答にたどりつく者はなく
ただそうであるからという
日常のために急いでいる
気の重くなるような ....


葉がふと 落ちる
はな れ て
      ゆく

おとなしい
終りが
始まる

それにそなえて
私を 消す




浮き出た血管のように
夜を
青い星 ....
幼い空がなんの思惟もなく広がっていた
誰も見たことのない鳥の雛が巣のなかで育ち
その間も周囲は ぐるぐると回り
ぐわんぐわんと流れては 変化しつづけていた
いつの間にか光は強さを増していて
 ....
{引用=――いまだ見ぬ地をふるさとと名づけられ怒りのごときとまどいはあり
               (佐藤よしみ歌集『風のうた』より)}

これからここで
生きてゆくのだと
なんとなく思 ....
こしごえさんの岡部淳太郎さんおすすめリスト(105)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
反バベル- 岡部淳太 ...自由詩425-5-28
遠浅の...- 岡部淳太 ...自由詩425-5-12
五月- 岡部淳太 ...自由詩625-5-3
情迷- 岡部淳太 ...自由詩325-4-14
不具/異形- 岡部淳太 ...自由詩225-3-9
観覧車- 岡部淳太 ...自由詩625-3-8
- 岡部淳太 ...自由詩925-3-7
谷川俊太郎の「孤独」の現代性について- 岡部淳太 ...散文(批評 ...4*25-2-21
- 岡部淳太 ...自由詩225-2-13
再び抒情詩の時代へ- 岡部淳太 ...散文(批評 ...425-2-5
世界のなかの奇矯な私/私のなかの奇矯な世界- 岡部淳太 ...自由詩325-1-24
見えない未来を信じて- 岡部淳太 ...散文(批評 ...2*25-1-8
病中- 岡部淳太 ...自由詩4*24-11-9
昏迷- 岡部淳太 ...自由詩624-9-22
夏の日に- 岡部淳太 ...自由詩1024-8-28
思い出は語られるためにある- 岡部淳太 ...散文(批評 ...3*24-8-26
日記(山)- 岡部淳太 ...自由詩4*24-8-21
日記(しずか)- 岡部淳太 ...自由詩524-7-30
日記(オカルト)- 岡部淳太 ...自由詩324-7-16
本能- 岡部淳太 ...自由詩324-6-6
多作であること- 岡部淳太 ...散文(批評 ...224-5-24
風の頁- 岡部淳太 ...自由詩424-4-30
日々を数える- 岡部淳太 ...自由詩424-4-24
立春_二篇- 岡部淳太 ...自由詩9*24-3-7
詩を書くこころ- 岡部淳太 ...自由詩824-2-15
明け方の霊- 岡部淳太 ...自由詩424-1-29
- 岡部淳太 ...自由詩424-1-14
連作詩集「自由落下」冒頭十篇- 岡部淳太 ...自由詩5*23-10-8
遠出- 岡部淳太 ...自由詩423-2-13
見知らぬ地- 岡部淳太 ...自由詩423-2-8

Home 次へ
1 2 3 4 
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する