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沸騰する憂鬱を、
跳ね返すことばが、
さかなになって脳裏を横切っていく。
それを掴もうと、
手を握ったり開いたりしてみても、
私は海底に沈む難破船になって
視線を落とす。
*
....
なにもしていない。
けれどこの手は何かを求めている。
白昼夢のなかで、
この右手は、
人混みを漁る。
ぶつかった誰かの
心臓に手をのばし ....
それは、
いつも見えない
激しくもゆるやかな
みなものような
風からはじまる。
それは、
いつもひとつの
....
うまれるもの。
うすかわをむいて
むききったさきに
にじみでるしるは
なつかしいうみの
あじがする。
*
うまれかわるもの。
せつなにきりかわる
でいた ....
この部屋中にある
あらゆるものを突き刺して
壊れたオブジェをつくる
グラスも、時計も、棚も、オルゴールも、
本もめちゃめちゃに破い ....
雨に振られた日は
必ずといっていいほど傘を忘れる
車窓から見える
雨雲から
ほんのわずかでも
晴れ間が見えていたりする ....
わたしのなかで
剥がれおちたなにか
そのなかにある
あかいかたまりのなかの
あかいわたし
剥がれ落ちたわた ....
したい何かを数えていくほど
したい何かが見えなくなる
まるで
皮を剥ぐように
剥いで剥い ....
眠れない夜に思い出すのは
幼い頃
父や母から聴かされたお話
大人になる度に
お話は大きく ....
薄暗い蛍光灯の下
酌み交わされる連夜
求める度に沈んでいくアルミ缶の蓋の底は
小さな深い闇
時折、
淡い春風が吹いても
そこだけが時が止まっている
空の缶と空のグラス
窓越 ....