美しき世界
田園

美しき世界



ほたりと雫が落ちて、
地面につく前に消えてしまう。
それはまるで届かなかった対話のよう。
繋がりたくて、それでもぬぐった涙のよう。

私は長く病を患い、
時にいじけ、
時にうらみ、
とても心が汚れていた。

しかし、この頃思うのだ。
私がどこまで堕ちようが、
世界は変わらず美しいと。
美しい世界に包まれて、
私はただ遊んでいたのではないかと。

届かないのなら何べんでも叫ぼう。
私はあなたが好きですと。
涙もぬぐわず生きてみよう。
地面に立つ霜柱のように。

私はもう、病に恋をしたりしない。
私はもう、対話を諦めたりしない。

消えた雫は戻ってはこないが、
悠久の時は、また巡りくる。

美しく咲きほこる私たちという人間。
永遠なるくりかえし。
その循環の中で私は遊ぼう。

次へと進む、その日まで。



自由詩 美しき世界 Copyright 田園 2014-02-10 15:36:12
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