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博物館に愛の標本が並んでいる
眺めているとわかるのは
愛というものはおそろしく多様だったらしいということだ
まっすぐなのも歪んだのもある
美しいのも醜いのもある
透きとおったのも濁ったのもあ ....
愛し合うことで
この世界を美しく{ルビ汚=けが}そう
互いの内なる罪の昏さに
惹かれ合った二人だから

二人がいろいろなかたちで
抱き合うそのたびごとに
幾重にも罪は深く響き合う
二人 ....
丘の上 灰色のあかるさの中に
観覧車は立っている
色を失くしたその骨格を
冷たい空気にくっきりと透かして
ただしずかに廻っている

ゴンドラのひとつひとつに
乗っているのは
かつてそこ ....
君の生まれた十月の国で
うたうように眠りたい

銀木犀のしずかなかおりが
漂う夜気に包まれて

丘を木立をぬって流れる
川のせせらぎを聞きながら

  幼い君が 少年の君が
  夢 ....
夏が去ったあとのがらんどうに
いつしか白く大きな九月階段が出現していて
そして僕らはその段々の上に
蒔かれたように腰かけていた
ただそこで空を見あげていたり
何かを読んでいたり
歌をうたっ ....
夏の

薄明と

薄暮とが

震わす弦

此の世と

彼の世との

あわいに張られた
世界の果てに 椅子を二つ置いて
暮れつづける夕暮れと
明けつづける夜明けとのあいだで
いつまでも 話をしていよう
subaru★さんの塔野夏子さんおすすめリスト(7)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
愛の標本- 塔野夏子自由詩5*13-1-27
ユートピア- 塔野夏子自由詩4*12-3-19
冬の観覧車- 塔野夏子自由詩13*11-12-9
うたうように眠りたい- 塔野夏子自由詩7*11-10-31
九月階段- 塔野夏子自由詩22*11-9-11
蜩(ひぐらし)- 塔野夏子自由詩3*11-7-25
週_末- 塔野夏子自由詩19*11-2-21

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