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たましい…だなんて
古臭いことばを
ミルクパン
で。どろどろに溶かしたら
ハートの型に流し込む
いつから
だった
かな
球体関節人形の
股間から
生まれてきた。わたし
だ ....
星も見えない
どこまでも暗い夜
ごうごうと唸る夜の咆哮と
草原を吹き渡る風の音だけが響く
僕はひとりきりの部屋で
夜が明けるのを
時が訪れるのを
ただじっと待っている
わずかに僕を ....
木がいさぎよく裂けてゆく。
節目をまばらに散りばめている、
湿り気を帯びた裂け目たち――みずの匂いを吐いて。
晴れわたる空に茶色をばら撒いて、
森は、仄かな冷気をひろげる、静寂の眩暈に佇む ....
うたをうたおう
あしたのうたを
きみのこえ
ぼくのこえ
ふたりのうた
あしたのうたを
....
「 星のうえで 」
とても静かな星のうえで
いのちを祈るひと ....
目の輝きがレンズ頼りになって、
小さなポーチに小物を詰めて、
逆睫毛をひっくり返した。
前髪を切りすぎて、
眉毛の端がちょん切れて、
頭が少しだけ軽くなった。
でもまだ心臓に毛は生えな ....
あなたが通り抜けた改札で
何故か
わたしは置いてけぼり
あなたが買えた切符
何故か
わたしには買えなかった
人生には幾つもの
改札があって
選ばれたひとと
そうでは無いひ ....
もっと北の国では、雪が降るという。
ここでは雪は降らない。
でも、風が吹く。
そして、空が澄み、
星が降る。
極寒の異国で見た雪は、
見事な華の形をしていた
じっと見つ ....
嫌になるときだってあるよ
そう言うと
友だちは笑顔でうなづく
さほど広く無い部屋に
ふたつ机を並べ
四十六時中
お互いの気配に触れ合って過ごす
それでも机と机を隔てる
背の低い ....
耳をすますと
遠く潮騒が聞こえる
ドアを開けば幻の海
白い波頭が立って
空はおぼろに霞み
「春だね」とつぶやくと
「春ね」と君が応える
潮風が弧を描いてゆく
君の長い髪がゆらめ ....
雲のように
雄々しく自由気ままに
空という人生行路を流れ行く
時には羊のように{ルビ溌剌=はつらつ}と
晴天の空を駆け巡り
時にはどんより{ルビ鈍色=にびいろ}に
大地を覆いつくす影と ....
俺は君の喉奥に居て
いつかの歌を聴いている
ヴ
いや、ラ
ヴぃ
飲み込んでいる
俺はかつて
空に下りる全ての命は爆弾だ、
と言いかけてやめた
君に会えて嬉しい
四季が蠢いて
....
背後から抱きしめられる気配が
して
「だぁれだ?」
そんなのあなたに決まっているのに
他のだれかを想像してみる
雪の降らなかった今年の冬を
ひとりで歩いてみた
行き先なんか
決めた ....
左目の蜂
音を運び
ひとつふたつ
鎖骨に沈み
水音になる
心音になる
傷は多く
果実の匂い
口でふさぐ
はばたきの色
外へ 外へ
去ろうとする色
水 ....
たくさんの事
不揃いな事
集めて
一つの袋に
ないまぜ
振ってみても
心地よい音など鳴らないが
愛しさの重みがある
証だね
隣の人がぽそりと言って
私は ....
自由は石ころのようなものだ
身近にあっては忘れていき
忘れてはまた拾いなおす
微笑みや涙を分かちあった人も季節も
今は移ろいゆき 途方に暮れ一人佇む
そんなとき海馬を優しく揺り起こされ
私は 翼ある者に呼び醒まされるだろう
人生の黄昏を ごくゆっくりと咀嚼しながら
....
卵から孵った夢の中
僕はアリスとお茶会へ
双子とダンスを踊ったら
女王様とクローケーをしよう
にやにや笑いの猫ちゃんと
バタつきパンの蝶を追いかけ
うさぎの穴に飛び込めば
グリフォン ....
雨に唄えば、何かがころげおちてくるから、月を眺めてたんだ。
子供の頃、聴いてた愛しい人の声を探してるんだ。
雨の日は、ただ雨の匂いがするだけで濡れてもすぐに乾いた空気に肌を ....
「愛してください」と言えないから「ちゅーりっぷ、ください」と言った
「あなたが好きです」と言えないから「白いちゅーりっぷが好きです」と言った
たった一つ、あなたから貰った
白いち ....
1
うすい意識のなかで、
記憶の繊毛を流れる、
赤く染まる湾曲した河が、
身篭った豊満な魚の群を頬張り、
大らかな流れは、血栓をおこす。
かたわらの言葉を持たない喪服の街は、 ....
空飛ぶ風船
しぼんで落ちた
胸がチクリと痛んだ
上がって
上がって
最後は
なにもなかったように
空飛ぶ風船
しぼんで落ちた
今日は
どの ....
うちの体重計はくまのプーさん
いい子だけれど
ときどきうそをつくのが玉にキズ
おもた〜いためいき
つかずにいる朝
かかってこない電話
待ってる真夜中
トイレの出口で
そおっ ....
あなたの声が聴きたい
かつて私を魅了した神秘的なあの{ルビ詩=うた}を
あなたの声を聴かせて
そしてまた私を夢の世界へ{ルビ誘=いざな}って
あなたの声は
私の梢を揺らす一陣の風
あな ....
一夜限りの戯れでも
君の手が{ルビ私=わたくし}の乳房に触れた時
蜻蛉、来たりて
今、この恋は{ルビ私=わたくし}の精神から羽ばたいて
現実のものとなりませう
くれないの紅を塗り終えて
....
素に戻ると
大勢の人の前に立たされた
わたしが
いる
深々と頭を下げて
何を謝っているのだろう
トナカイのそりに乗り
飽きることなく
眺めた
白夜の物語
あ ....
あの頃は誰もが夢を見てた
遠い未来に憧れて
恋に恋していた
だけど今ひとりきり
支えてくれる人もないまま
ただ後ろを振り返らないように
前を向いて歩くだけ
やさしさにかえりたい
素直な ....
みずたまな くりりん まんまるね ふるるん はじけてみたのは
わたしの中の あなただった
どこへもゆける ぷりずむの 軌跡 のこして
夜に開いた
隙間を
埋めるように
雨の旋律が
耳に届いて
孤独にいる者の
遊び相手と成りはしないだろうか
滴の奏でる音が
たった一人の為の
優しさとなって
降り注いで
あなたは雨 ....
不愉快な覚醒が
北寄りの強い風で更に増して
両手の無意識がコートのポケットを探す
ひんやりとした裏地や
捨て忘れた入場券に
指先は触れているが
今はそれより風から逃れたい
月 ....
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