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たとえば、きみに好きだよと
囁くときでも
ぼくはきみの、
背中を見つめたまま
きみがぼくに決して
そういう言葉を言わないのを知っているから
きみの白い猫背に囁く
ぼくは、たぶん、 ....
去年庭に埋めた
枇杷の種の、
芽が出るのを見れなかったこと
家に帰ると、
朝、家を出たときと
何一つ変わっていないこと
揃いのコ−ヒ−カップが
片方だけ古びていくこと
「バ ....
芝生の上に横たわると
青が見えた 鳥が見えた 飛行機が見えた
ふと影が差したと思ったら
白いシャツが落ちてきた
二階の窓から母さんがごめんと言った
ああ 天使かと思ったのに
地平線を隠してしまうときの
きみのつま先が好きだよ
肩甲骨を両手でまさぐりながら
そう 僕は小鳥も気がつかぬほどに
ちいさくつぶやいた
地平線が見えないなんて
くだらない永遠なんか ....
あたしは二月三日が嫌いなのだ
豆まきが恐い
豆まきと言うより鬼が恐い
鬼のお面があたしを見るのだ
鬼のお面に開いた二つの穴からあたしを見るのだ
二つの穴から覗く目は
母であると ....
茨の道のその果てに 何が待っているのでしょう
柔かい 芽生えたばかりのその棘に
胸を刺されて 死ねるのならば
愛しい人の胸に抱かれて死ねるほどに
私はとても幸せなのです
茨の道のその ....