城下町
白雨

 
 夜風さすらう夕暮れに
 秋はひとりで花を買う
 辞書は窓辺でつまみ喰い
 寂しさに 疲れあぐねて・・・

 花篭は からげのままに
 草わけて 進みゆく歩哨兵
 やがて時計の喇叭がなる
 ―おや、時間?

 街の機械が正常に戻る
 猫が主人の帰りを待つ
  歯車がひとつすすんで、
 辞書が「冬」の文字板に針を移す


自由詩 城下町 Copyright 白雨 2006-09-22 23:40:11
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