すきとおる春の風が
ぼくを追い越してゆく
何となく息を吸って
両手広げてみたり
そっとすました顔で
となりにいるきみを見てみたり
ほら
ぼくらは
こんなにも自由なんだ
....
それは、微かだった
おもむろに ゆっくりと
そして、微かだった
そろりと 音もなく
わずかに
微か
生きている
せんぱぁい そのしなやかな身体を擦り付けるような
甘い猫なで声が頭にこびり付いて離れない
追い詰めて追い詰めて 泣き出しそうな僕を見て
気持ち良さそうに喉をゴロゴロ鳴らす君は意地悪な笑み
....
あなたが一番きれいだったとき
しがらみの廃墟に靡く 硝煙を仰ぎ
自由とは このことかと
愛しき髑髏ひとつ 胸に抱き 街を彷徨う
あなたが一番きれいだったとき
一枚のルオーに なりたい ....
精神科医ってのはみんな詐欺師だ。
形のない曖昧なものを、さも価値があるように高額な値段で売り付ける詐欺師だ。
本人は患者を救うんだって使命感に燃えている。
あるいは生活かかっているんだと割り ....
彼の名前はユンゲラー田中。18歳。
彼には誰にも言えない秘密があった。
彼の家系は正義の覆面レスラー「ハヤブサ」を親子三代にわたって務めてきた。
そしてユンゲラー田中の18歳の誕生日、つい先 ....
あの人を恨むだなんておかどちがい
わざわざ確認するまでもないわ
プライドのない恋なんてとてもできない
だけどそれでも
棘を刺した夜には
心がざわつくの
あの人を恨むなんて
そん ....
最近のコンピューター事情をご存じだろうか?
私も決して詳しい訳ではない。TV等で得られる情報程度のものだ。
「コンピューターは命令されなければ動けないもの」
まずこれは今日のコンピューターに ....
前が見えないって そんなの当たり前だろう?
コンパスが示す方角は東西南北だけなんだから
僕らを突き動かす理由はそこら中に散らばってる
あとはその胸に覚悟さえあればいいんだ
だったら歌え ....
ポタージュの湯気 午前五時
日が早めのおはよう
私はまだねむいよう
かまってよ
かまってよ
かまってよ
かまってくれないと
すねちゃうからね!
二つの空に二つの雲があった
風が吹けば波打って
雲に霞が立ち込めた
二つの空に二つの月があった
大気の澄み渡る晩には
無限の星屑が月を囲んだ
二つの空に二つの陽があった
全ては朱 ....
ひつじを踏んだ 声はなかった
ひつじは足下で ばたばたしていた
ような気がした
「元気かい」とためしに声をかけたが
ひつじはひどく疲れていたか
もしくは踏まれて不機嫌だったのか
答 ....
一面に広がるしろいせかい
きっとこれが 平和の証
向こう側へ行きたい
一地方の片田舎にある小さな私立大学。
それが今、僕が通っている大学です。
そこには三つの学部があります。
英米文学科、日本文学科、児童教育学科。
人間とは不思議な生き物で、
ある箇所 ....
皮肉なことに
ここ最近で一番肌の調子がいい
あのあと初めて
まともにつくった食事は
美味しくて残せなかった
まだなにも終わっていないのだと
思い知らされた
今日はちょっと食べすぎですよ
快感とか安心とか自由とか甘い物ばっかり
太っちゃいますよ
内面デブになっても知りませんよ?
心に脂肪がくっついて
ブクブクのブヨブヨになっちゃいますよ
そ ....
もしも許されないなら
この瞳を抉り出して捧げますから
貴方の薬指を飾る石にしてください
蝕まれてゆくのはいつも正常な意識ばかりで
何かを伝えようとするたびに奥歯が軋んで
上手く ....
我慢して
我慢して
触れるのを我慢して
話しかけるのを我慢して
眠気を抑えて我慢して
私は貴女を追っている
我慢して
我慢して
問いかけたいのを ....
猫泣き地蔵の前で言葉を忘れる
ゆっくりと羽化する夏蝉
冬の間取っておいた氷柱の結晶
廊下ではしゃぐ君と僕は回想
広場では冥界の方々が踊り狂ってる
金太郎飴のようにどこから ....
君の言う単なる恋愛に
僕は幾度となく涙を流してきた
君の言う単なる恋愛に
僕は幾度となく命をかけてきた
なぜなら
そこに世界で一番大切な真実があるから
....
以前から思っていたのだが、恋愛というものは詩のテーマにするにはあまりにも難しいものではないだろうか。それなのに、やすやすと恋愛をテーマに詩を書く人が多いのは、僕にとっては疑問である。恋愛詩を書くのは ....
1)
一匹目の猫
悪戯っ子
次から次へと悪戯ばかり
飼い主困って苦笑をひとつ
2)
二匹目の猫
人気者
のどをゴロゴロ鳴らして
飼い主喜びにっこり笑う
3)
三匹目の ....
彼はとびきりひねくれ者
いつも皮肉ばっか口にしてる
それでも誰かの前では言えないんだ
反撃されるのが怖いから
やられたらやりかえす事もできない
芸術的な言い訳で自分を慰めれるから
そん ....
大変じゃあ
心にヘドロの津波が流れ込んでくるぞ
ウネウネドロドロした汚いやつが
大変じゃあ
姫は、姫だけは守るのだ
心の中で一番高い塔に登らせるんだ
俺はここで何とか食い止める
....
好きとか嫌いとか
関係ない
愛してるとか憎いとか
関心ない
ただ沈む太陽に
欠けて昇る月に
耳にぶつかる風の音に
触り合う草木のざわめきに
もう少しで掴めそうな
永劫に置きざりにされ ....
落日
蜃気楼のよう
だけど蜃気楼じゃない
焼かれるのは
空じゃなく
今日という日の末路
果てるような
限界線
焼かれるのは空
じゃなく
「詩を書くのが趣味です」そう言うと決まって引かれる。
詩って暗い奴が書く意味不明なキモい文だと普通の人は思うらしい。
なので、それを暴露すると嘲りの笑みでもって迎えられる。
芸術を解さない馬 ....
優しいメープルが好きです
いつもこの店に来ると必ずこれを
甘い色をかけて
午後
ガラス越しに柔らかい昼
メープルの反射
私の前にあなた
二人の間にはスコーン
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