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狂った磁石をバッグに詰めて
スニーカーの紐をキツく締めたなら
寂びれたこの街を出よう
何処に行くかは解らない
あの虹を求めて出かけよう
明日はきっと晴れるから
そこはぼくのParadise ....
耳をとざしたほうがいい
ことばを思わないでいいから
目もひらかず
ただ触れていたい
指で肩で舌で
そのからだの奥を覗きこむような
こまかな息づかい
一度は奪われた草木を甦らせ
半透 ....
この夕刻、
しずかにして斜光射し
木々の茜に染まり
ゆらゆらの揺れ
気の冷涼の蠢き精妙に
包み込まれる心の安らぎ
とおくとほく
すきとほる青の高み
広々響く中有の音 ....
シンプル
にする方が
難しい
けれど
たのしい五行歌
・
人
それぞれの
世界があるなあ
かけがえのない
その世界
・
進むために
立ち止まり
思う
あと ....
「今朝の朝礼の申し送りで、Kさんがまた、夜中に
Tさんのベット部屋から出てきたやろ。」
「この間、Eさんとこ行ってたんと違うの?」
「掛け持ちしてるんちゃうか?」
「八十歳やで!… ....
老人ホームの裏庭の金網フェンスに取り付けられた鉄の門
その下の開口部をくぐり抜けて道へ出る三毛猫
「おはよう。朝ご飯もらえたの?」
「やあ、おはよう。うん、今朝も猫ミルクとキャットフ ....
風の吹く草原で空を飛ぶ練習をしていた
ホップ ステップ ジャンプ
何回も繰り返すと
徐々に身体が浮かんで
やがて風に乗って飛べるようになった
風は涼しく清らかで頬をなでていく
それを餃子屋 ....
はやらないことはやらない琴線の
ことはことばかわからない
じゅげむじゅげむ
なんとかなるさ
にんげんだもの
しらんけど
男雛女雛
ならびて透る緋毛氈
右近左近、たちばなさくら
今 ....
はらはらと降る雪は
積る処がなくて
群青の波に消えてゆく
紡いだ言葉は幾重にも
続いているのに
ヴェランダをはじめて見た時
その美しさが怖かった
風の流れがそこだけちがい
光あたりも微妙にちがう
犬がおなじ犬とは思えないくらく白い
あの、人工芝とはなんだろう
ガレージって一体なん ....
ここ数日で失った総熱量が
まもなくプランの上限に達するという通知は
私の視界のすみずみまで霞ませ
内蔵が熟れた
あけびの実のように黒ぐろと蔵種した
発熱で疼く思考の芯を
地下で砥がれた ....
前略
昨日曇のち灰神楽
静かな凧あげ日和
腰のお加減如何
本日未明より流謫
星は晶となり積み
手元不如意につき頼む
草々
「はい、どうしたんですか?Iさん。」
私を手招きするIさんの車椅子へ
膝を折り目線を彼女より低くして寄り添う
舌が上手く回らないIさんは
口籠もりながら優しい目をして
お風呂 ....
感覚残滓打ち捨て
永久なる霊性神性に
向かう更に高き魂の
担う思惟、水晶の如く
透明にして
生み出す熱き感情帯び
延々と艶々と
のびやか伸び広がる
透明な浜辺に
思惟の力動ひたひ ....
赤は皆にとって
ぼくの赤と同じ赤なんだろうか
白は皆にとって
ぼくの白と同じ白なんだろうか
青は皆にとって
ぼくの青と同じ青なんだろうか
黄は皆にとって
ぼくの黄と同じ黄なん ....
春の雪の
降ったそばから
解けてゆく
悲しみ
愛に変わる
・
にっこりする
魂という
命は
光る風に
戦ぐひとつの影
※ 戦ぐ=そよぐ
・
変わ ....
冷たい風で日の差す路面のアスファルトに
一台の車の走行音も乾いている
道の向こう側に閉まっている施設の大きな鉄の門へ
毛繕いしながらチラッと目をやる
サバトラ猫の鈴ちゃん
....
「新館の二階、また部屋替えあるみたいですね。」
相部屋なので、入居者同士の相性の問題が生じてくる
「もめてんのよぉ、永田町。」
「また××さんと△△さんの派閥ですか?」
旧館 ....
首無し
地蔵の
首無しの部分に
巻いてある
布の朱さ
うぉ~ん うぉ~ん と森が鳴る
樹齢300年のミズナラの大樹を倒すため
ぼくは特大のチェーンソーを抱え
森の奥を彷徨った
腹がへったので
紅鮭、イクラ、昆布のおにぎりと
ロースカツサン ....
さざめきざわめく 風の向こう
「今日もまたお寒い一日で」
遥か燦然と風の向こう
光の海原さざめきざわめき
そっと生まれる春の風、
光の海原きっと日毎に吹き広げ
青い魚が三月、泳いでいた
眼もなく、口もない魚
、と呼べる生き物なのかどうか
みんなはそれを魚かどうなのか
、と疑問符をハンガーのようにぶら下げていた
一途な男の弾丸が放たれるが
....
幻のステージに、
昭和を生きた女がいる
鳥の羽根で飾られた衣装を纏って
ジャズとロックンロールと演歌を混ぜた
──アジアンであり、
──洋風でもあり、
戦争に負けた戦後の日本みたいな
....
深海の水底に眠る者たちよ
我らはいま至福の中で歌っている
君たちは永遠に若く
我らは次第に歳をとってゆく
君らが捧げた{ルビ生命=いのち}は
決して無駄ではなかった
傲慢な思想 ....
絶え間なく拡がる透明な浜辺に
渚 黒々と鋭角の境域
思惟の力動 絶えず打ち寄せ
感覚超えた存在達と共鳴し
感覚の残滓打ち捨てながら
舞い踊る舞い躍る
渚 黒々と ....
雑木林の茂みから車道へ出て来た
サバトラ猫の鈴ちゃん
金網フェンスを伝って行き
施設の厨房がある裏庭を覗いてみる
昼食の準備が始まっているのね。
いい匂いがしているわ。
....
「Uさん、こんにちは!ちょっとお邪魔してもよろしいですか?」
居室の木戸をノックし在室を確かめて引き戸を開ける
同室のGさんは先ほど入浴日なので脱衣所へ
職員に誘導されて行かれる姿を目に ....
金と銀の龍は螺旋を描き
{ルビ蒼穹=そうきゅう}をかけ昇り
久遠の果てまで行ってしまった
アレクサンドリア図書館に
地球の円周を解き
数学者は美しい数式を描いた
ガンジスの行者は
....
朝霧のもやる中で
ぼくは尾瀬の夢をみた
ニッコウキスゲの咲く湿原に彷徨い
{ルビ詩=うた}を歌いながら
ぼくは大切な何かを忘れてしまい
グルグルと彷徨った
あれは何だろう
ルビー ....
森影繁く深い暗まりに
踊る人影の在りて
〉迎える意識〈
静かさに尚より一層
明るく輝き私を映し出す
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