すべてのおすすめ
朽ち果てようとする一枚の葉に
思い出します、
たいせつな
いろ
寒さがつのりゆく風のなかで
あらゆるものを踏みつけて
あらゆるものに火を放ち
暖まるすべは
そのすべもろ ....
氷のような風が
朝からずっと吹いている
体を凍らせて
心を縮ませて
地面を向いて歩いている
でも見上げれば
海のような空が
朝からずっと広がっている
体を伸ばして
心を開けて ....
12月29日
今年最後の出勤の朝
玄関で飼い犬を抱きしめてやると
不思議そうな顔をして
それから頬を舐めてきた
ぬくもりというのは
無条件に愛しいもので
一度味わってしまうと
決し ....
年末になると
山から神様がやってくる
御札を持ってやってくる
勝手口へとやってくる
ママが2000円
払う
来年も火事に遭いませんように
油で汚れた古い御札を
ガスレンジの脇の壁から引 ....
「夜空に浮かんでいるのは、五千とんで二億ターブの声―」
最初からエンディングを撮り始めた映画のようだった。
明け方、公衆便所の鏡に向かって僕らは誰かの「声」で話しかけた。
出演者とし ....
空港に立つ君は、ベルトコンベヤーに乗せられた自分の荷物を待つ間に
荷物検査官の男は、真っ黒な犬を連れた男と共に、
レントゲンに映る不気味なシルエットに眉をひそめ、床の上には
首輪を首に食い込ませ ....
人は
可能性がある限り
その可能性を信じ
どこまで行けるのか
力尽きるところまで
走り続ける
人は
未来がある限り
その未来を信じ
どこまで望めるのか
見通せるところまで
進 ....
静かな湖面に
あなたとわたし
ふたりきり
いつもは感じ得なかった
あなたの男らしさを
ちょっと見直してみたりして
(フレアミニなら喜んでくれたかな
季節はずれの湖面に
あなたとわたし
....
うすずみ色の空はひくく
ピアノ線を地におろし
哀しみという歌をかなでる
さえずる鳥さえもいない
こんな午後は
暴かれてしまうことをおそれて
いくどもたしかめた肌の ....
庭に落ちた夕焼け、それだけじゃ
君を好きになる理由にはならないけれど
よく挨拶を交わす新聞配達夫がいつもよりも少し急いで
豆腐屋のラッパがいつもよりも何だか妙に心地良い
ご無沙汰だった静寂を内 ....
旅をしたい
計画のあるものではなく
行きたいと思った時から
電車に乗っている
どこで降りるのか
わからないけれど
どこか遠くへ行ってみたい
旅をしたい
目的のあるものではなく
感 ....
息を飲む
この瞬間にもハイエナは
俺の蜜を奪おうと目を光らせている
人と人との出会いの物語
いずれエピソードになり
別れが待ってる
一粒の涙を残し
静かに愛する人と過ごせ ....
それはかすかに透きとおっているので
向こうの景色がいつも滲んでいるのでした
朝霧を 食み食み
押し殺されたような時間を過ごし
まれに降る雨のために山裾で低い警笛を鳴らしたり
青い ....
沼にヘラブナがいるのだ
帰って来るなり兄は言った
それから棒切れのようなものに
糸と針がついただけの貧しい釣竿を手にし
友達と少し遠い所にある沼に出かけた
数時間後、兄だけが帰っ ....
僕がなかなか寝ないので
ママが「おやすみなさい」の森へ
行きなさいと言った
僕はしかたがないので
安心毛布を引きずって
「おやすみなさい」の森へ向かう
森は暗くて静かだった
誰もいな ....
目覚めると電車の中だった
よく見てみると、この電車には扉がない
ただ小さな窓が、青い空、やたらと高い空を映している
私は初めて乗る電車だな、などと思いながらも
もしかしたら乗りなれている中 ....
灰色を塗りこんだ
空しい心の底に
降れよ 積もれよ
与えてくれた言葉
忘れたわけじゃない
閉ざしていた扉
少しだけ開いてみせたのは
君だったのだから
問うてくれ
責めてくれ
....
ラウリ・ラパラは
松の木を削ったらしい
そいつから比べれば
なんてことない
作業の筈なんだが
気がつきゃ
にらめっこだ
また
やんわらかい
バル ....
オキアミ臭くなった手じゃぁ
硬くなった握り飯を
頬張る気すら薄れちまう
オキアミ臭くなった手を
イソメの汁のついた手を
ごしごしやったタオル取り出し
額の汗を拭いてみるが
あれよ
....
終わる、と
ただ巡っていくだけのものに
あきらめにも似た終止符を
打ち続けて僕の数直線は
みっともない
姿をさらして
次の巡りを待てないほど急いで
どこに辿り着けた
....
そういえば
愛していた名前を忘れました
みっともないなぁって
笑ってました
毎日毎日
ターンテーブルに向かって
韻をふむのです
そしたら
右と左が分からなくなりました
....
冬の大雨の日
どこからともなく
ノラ猫は家の庭にやってきた
近所では名の知れた
図々しく生きるヤツらしい
汚いから触るなと
大人は子どもに言い聞かす
力を失いかけながらも
木の ....
飛ぶ鳥の名前などは
どうでもいいことかも知れない
晴天をかもめ、
夕暮れには
からす
一応の名前で
呼んではみるけれど、
きっと何かが間違っている
かれらは一途 ....
戦争のあとにはいつも
殺されなかった死体が転がっている
それが君の言うところの
正しさなのだろう
ぱたりと本を閉じる
車窓の外へと目を移せば
淡い色の田畑が広がっている
「次 ....
そんなに遠くない
あの脚が
空から下がる繰り糸で
奇妙なダンスをさせられる日は
とても近い
あの指が
地下から響く呼び声に共振して
読めない文字を綴り出す日は
きのうわたしを過 ....
しんやか。
しんやなのか。
ほんこんのしんやなのか。
もういっかげつもいるというのに。
このねなしぐさは。
けたたましいさいれん。
――だれかがじゃりをさらっている。
みみせ ....
雨上がりの花壇で
しな垂れた華の名前を
密やかな微笑で保つ
あなたの目は
揺れる天秤の彼方
雲の晴れてゆく影
映す土を見て 滑らかに
細められ 晴天から
いつか 豪雨になり
土を流す ....
ストーブのうえで
かたかたと音をたててお湯が沸く
カルキ臭は抜けたけど元をたどれば水道水
だったそのお湯で
インスタントコーヒーを入れる
(特価980円のエクセラ)
明日の朝は8時から仕事 ....
あたしはただの女だけど
二つの腕があるので
あの人を守ろう思う
あたしはただの女だけど
撃ち込める弾丸はないので
あの人に言葉を込めようと思う
あたしはただの女だけ ....
・cigar(葉巻)とsugar(砂糖)
あ、
煙草をやめようかな
と思った
手を伸ばしたとき
箱の中に一本しか残っていなくて
でも寒くて
買いにゆくのが面倒だったから
五分間
....
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