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本当の暗闇と出会う
それって
なかなか難しい
ひとつひとつの灯火を消しても
寝付けぬ夜に何処より話し声が漏れて
この街の闇は仄かに明るい
本当の暗闇
それは遠い日の感触
胎内にいたとき ....
座席のゆがみに手を乗せて、背に残る強張りをじっと見張りながら止まった駅に降りていく。階段の手摺の汚れを照らす灯りには、あの真円の月は混じっていない。夜ばかりの駅に薄く削れた空をぐずぐずと舐めながら、 ....
親父・母ちゃん婆ちゃんは
姉・婿・孫娘のいる富山に行き
一週間は帰らないので
家はがらんと広くなった
仕事を終えた帰り道
夜空を見上げ
雲から顔を出す十五夜お月さんと話し
....
袋があって、それは不思議に光っている
袋の中に光がある
頼りない光だけれど、そっと触れると暖かい
袋は何の変哲もないありふれたものだけれど、
中からこぼれる光が袋をこの世にひとつしかな ....
?.
朝風呂が好きだった
その朝もおまえは
俺たちの小さな家の小さな風呂に
窮屈そうに仰向けになって
顔を沈めて
水の中で
目は見開いて
くちびるが
SEE YOU って
....
あたししか居ない部屋が寂しくて
だから誰かと居るわけでもないのに
あなた何を考えているの?
金魚の水槽はコポコポと水音を立てながら
月から取ってきた水晶玉みたいに
ぼんやりしていた
少しも嬉しくないのだ、という顔をして
柔らかく笑う君が
この手の中に入ってしまえば良いと思った
誰も
許さなかったけれど
喉の奥が鳴って
もっとずっと奥が痛む
そういう ....
マリーゴールドと
マーガレットの区別がつかない
ツバキとツツジを間違えて
笑われてしまう
アヤメとカキツバタにいたっては
はなっから諦観の境地で
でもそれはちょうど
パスカルとサルトルを ....
頭の上に
鳥が卵を落としていった
やがて卵は孵り
駅が産まれた
列車が到着しても
人のざわめきもない
さびしい駅だった
かすかに潮の香りのする
海沿いの駅だった
その重さで首 ....
昨日のこと。
夕暮れる空をくじらは泳いで
大きなくじらのそばには
半分ほどの大きさのくじらがいます。
小さなくじらは泳ぐのが苦手なので
大きなくじらよりも先に
尾が橙色に染まってしまいます ....
女にふられたので、
好きで好きでたまらない女にふられたので、
砂漠へ行って死のうと、
そのままとかげとかハゲワシだとかに、
食われてしまおうと、
十月の運動会で俺は考えた。
町内会のかけっ ....
ぼくの母さんは世界の果てで
アイスクリンを売っている
センサスによれば国道999号の平均交通量は
過去最高の1万台に達したらしい
世も末だねと母さんは顔をしかめるだろう
これほど ....
当たり前の衣食住
当たり前であろうと
みんな必死だね
嘘みたいなセレブたち
嘘みたいであろうと
みんな必死だね
ヤクザ役の役者たち
ヤクザ風であろうと
みんな必死だね
....
日曜の午後
立川のカレー屋で行われる結婚式で
新郎新婦に贈る小さい花束を傍らに
大船駅から乗った東海道線に揺られている
向かいの席に座った空色の服の女は
携帯電話を鞄の上に持っ ....
・
ひとあし歩くごとに
わたしの身体からは石が落ちます
からからに乾いた石は
薄い色をしています
わたしはそれを
さらさらかちかち と踏みしだき
疲労し続けましょう
名 ....
割れた爪をぱちんと切る 君の音と
呼び鈴の音がかさなる。
そんな一瞬って、永遠になるかもしれない。
描かれた以上に、物事は動いていた。
ベランダに干されていたストッキングも
風に迷い込ん ....
I Love 熟女という名のもとに
私はカッポレカッポレしているので
唐突にネットラジオを聴きます
刺激的です! ネットラジオ
ビーンビーンなります
そして鳴るのです共鳴です
夏に咲き ....
棍棒を
作った
オークの
頭四キロの
素振りを
ずっとしてた
だってお前が
怖がるから
引っ越した家は
夜少し静か過ぎて
お前が怖がるから
まあ実は俺 ....
くねる影まで あたたかい空気にもたれるので
削りきれない岩のとがりも 無力だと思うことはある
天井に浮いた油を拭かせて欲しそうな
羽ばたきがもりあがる部屋から
窓際で息をついて あの雲の襞を梳 ....
駅前で兄を探していたら
母と会った
隣に父がいた
移動の最中だった
兄の居場所を尋ねると
二人ともよく笑った
私もいっしょになって
昔のように笑った
父が小さな扉を指差したので ....
さみしいと
寄り添うくせがあるので
いつも
ポケットにウサギ
鼻先を
ちょこんと出して
ふさふさの
耳をたたんで
私があまりにも
にこにこしてるので
人は誰でも不思議そうに ....
緻密に、秘密の内に 堆積シタ或ル弦の飛沫に
明日のタルトが沈む Suiな蛇苺から、赤イ悪魔は
産まれる事も、無く 白銀の飛沫に 沈む、プリズ夢ー渦ル
頬を伝う涙、の Am調 1000 ....
*
最近
妻が出来た
嫁を娶ったのではない
わたしは女であるから
正確にいえば
嫁の方から勝手に来たんである
或る夜のことだった
四百円を手にちゃらちゃらさせながら
....
冷たい雨が染み込んでゆく{ルビ苔=こけ}の
やさしい沈黙に
身体を重ねたくなる夜は
窓ガラスに青いセロファンを貼りつけて
閉じ込めた気泡の膨らみを
指先でなぞって ....
パン屋で晩ごはんに
パンを買ってたらさ
雨降ってきて
俺のほかにお客さん三人
雨宿りだ
このパン屋は引っ越してからよく来るようになった
おいしいし
お姉さんがきれいだ ....
とにかく上に進むこと
蟻地獄のように
もがけばもがくほど
下がってしまうこともあるけれど
きっと何かをつかめるはずだから
悲しくても
続けてゆくしかない
とにかく前に進むこと
迷路 ....
◇雁
ビルの間を
雁が渡る
窓からいくら叫んでも
届かない
天上の
賑はひをもつて
◇火口湖
火口湖に
白鳥がひとつ
燃えて ....
カレーうどんが食べたいと思い立って
冷蔵庫の中にある芽の出かけた玉葱をぐわしと掴み
冷凍庫の中にある霜の降りた牛肉をがおんと掴み
小さくし過ぎないように家宝のエクスカリバー
つまり手刀で切る斬 ....
尾羽を風に吹かれて
鶴はどこまで歩いて行くのだらう
追ひ風に逆毛になつてゐるだけ
見栄えのいいものではない
貴婦人がふくらむスカートの裾を
気にする風情で
遠ざかつてい ....
どっちかと言えばっ
濁点ばかりの人生だっから
たっまにはギャロっプでもしてさっ
ぶっ飛びながら次のコーナーを
曲がってみたいなっ
ねっ
そっしたら
きっと
グっジョブって
あいの ....
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