すべてのおすすめ
紙の前には座りたくない
鍵盤の前にいたい
昼ひなか私は没頭する
緊迫する
高揚する
せわしなく
抑揚の激しい旋律を
いつか
さりげなく
やさしく
奏でることができたら
....
時はいつも人を吹きすぎてゆく
ちいさな想いや願いを散り散りにして
もうあの時のうたは
二度とはうたえない
いちまいの絵のように
すでに過去のギャラリーに
展示されているのだから
....
「無理です。」
こんな言葉を最近よく聞く
そういうとき僕はいつも同じことを言う
「本当? やってみないと分からないんじゃない?」
「失敗してもいいじゃない。」
皆、真面目に一 ....
地獄にも墓
冒頭 突然のファンファーレ
ガシャーン
砕け散った人生の姿見
その欠片の一つ一つ
舌を出した黒猫が覗き込む
にやにや笑いの黒猫が
こちらを向いてこう言った
こいつぁ凄い
....
あなたは ちょっと
恥ずかしそうに 笑う
ピアノ弾きみたいに
細く 長くも ないし
手荒れも 酷くって
もう ガサガサなの
スネはね 昔っから
ストッキン ....
いつか
もう一度逢えたなら
忘れたふりで
笑み交わそう
望みを叶えた二人じゃないけれど
間違えたわけではないからね
総てを無かったことになど
出来るはずもない
ただ
....
生来の無精が祟り
とうとうハンカチにアイロンをかけるのをやめました
アイロンをかけないハンカチはシワだらけです
アイロンをかけないハンカチは愛想がいいです
アイロンをかけないハンカ ....
「果」という字をじぃ…っと見ていたら
「田」のマスに、よっつの実が浮かんできた
「木」の下には、見えない根が巡っていた
「果」という、くだものの木の姿を現す
ひとつの漢字の幹の中に
(天 ....
電気を節約するために
暖房のリモコンを
遠くに置いて
日がな布団に包まり
みの虫の姿で、本を読む。
外から帰り
しろい吐息をはく妻が
傍らに坐るので
火照った手を取り
少々疲れた ....
「軽くふれて下さい」という場所に
そっと手をあてると、自ずとドアは開いた。
人の心も、軽くふれてみようと思う。
誰もいないとこでお世辞を言っている
勿体 無いから 蓋をした
重箱の隅を 突いて見る
ツツツツツ〜
其れは 雨粒の如く
流れ 始める
針の 切っ先が 見えたなら
次に 会えるは 赤き雫
いや… そうじゃあ な ....
ヒカリゴケのように輝く言葉を探して3年が経った
ひとくちに3年と言っても様々なことがあった
かす漬けの美味しさに目覚めたし
沖縄の楽器に手を出して挫折した
そうして割れがちな爪でひかれる辞 ....
夕闇がやってくる気配
それは決まって
南向きの玄関の隅から生まれた
冷えていく板張りに寝転がって
図書室で借りてきた本を読んでいると
ふいに呼ばれる
声、
のようなものに
夜が
....
飲み過ぎて
この5時間の記憶がない
あるのは
枕元のメモ帳に書いてある じゅもん
ラミパスラミパス ルルルルルー
なるほど
鏡を見ると元の俺
俺
何に変身したんだっけ? ....
ほんの
ひと握りの間に
つたえられる想いなど
わずか数行
わびるにも
しのぶにも
なぐさめるにも
たしなめるにも
ひとは
それほど多くを
持ち得ないから
大切 ....
死について、
突然、その時は訪れる
死の実感は
高校二年の春だった。
いつもの朝の登校時
いつもの郵便局の角を曲り
いつものとおりのバス通り
いつもの調子で渡ろうと
いつもの歩 ....
サラリーマンのコスプレして会社に行っている
家族が起きだす音がしてまた夜が来ない
放射線量を測りに行く足にペディキュア
夕方 スーパーで
買い物をしている途中
金木犀を 感じた
既に タイムアウト
しているだろう?
山側の 黄色い花も
土へと 還ったのだ
其れなのに
此の
香し ....
10年前の僕よ、なんだか憂鬱そうに涙を
浮かべ、夕暮れのベンチに俯いて、一体ど
うしたんだい?君の目に、透明な僕の姿は
映らないだろうけど、心配だから様子を見
に来たんだ。やがて君の涙は(時の ....
切符があるから、電車に乗れた。
食券があるから、ラーメンを食べた。
パスポートがあるから、異国に行けた。
それならば
鏡に映る(わたくし)が
一体何者なのか?という
最も不思議な秘密に ....
雪の綿帽子をかぶり
のっぺらぼうの顔をした
路傍の石が
こんにちは――と、僕を呼ぶ
なに考えているのかちっとも手応えがない仕事人間のようなふたりでも
ささやかな感情のふくらみで満足していたりするのです
したいこと、やるべきことがあるから今の暮らしをしているのだ ....
ほむら、ほむら、
ほれ、ほれ、ほうれ
こをえがけ
ほれ、ほれ、ほうれ
つみ、あがれ
ほうられ、ほむら
ほうむれ、ほむら
いざ、いざ、くだけよ
くる、 ....
色褪せてしまうまで
崩れ落ちるまで
見届けたかった
遠くなる影を見送り
不在を確かめたなら
踵を返し
歩きだすはずだったのに
あとからついていったのだ
見失う一歩手前の距離を保ち
二 ....
鏡のなかに
とおく落ちていった
ひとつ
ひとつの
香りのあわれさは
なりゆきを待っている
いくつもの
抜け道にあざむかれてしまう
わずかなすき間にひそむ
その
夜の筋書 ....
誰もいない海に雨が降る
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