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寒すぎるサーバー室で眠った彼は
真冬に新月で小指を切る夢を見た
次の朝になって彼が目覚めると
世界の半分が失われていた
空腹の彼はコードで繋がったまま
駅前まで歩いて喫茶店に入った
注 ....
月の半分が雪を履く
霧の下で遊ぶ水
声を呑み
紋を放つ
はじまりへ還る波を
夜が照らす
浜辺の森から
風が吹いている
波は波の上
ゆるやかに変わり ....
ボールが転がる音がして
振り向いたら
それは冬が去っていく音なんでした
冬は寒いものを転がして
古くなったものを巻き取って
辺りをふかふかの風景にしていきます
それが春なんでした
....
風が吹き抜けてもう命がない
乙姫をアンプにつなぎ流水爆音
道化者
僕はただの小心者
小心だから
嘘をつく
ばれるに決まっている嘘を
はじめはうまくいっていた
あまりにも
うまくいきすぎて
引き返す道を失った
ばれるのが
怖くて
....
おでんの具は 何が好きですか
はんぺん ちくわ
やっぱり でーこん たまごかな
炒め物なら 塩ぱっぱ
胡椒を忘れちゃ いけません
世の中にゃ
楽な道具も あふれてる ....
夏の夕方に訪れるあの湿った憂鬱は何なのだろう。世界がいつもと異なった網の目に組み替えられるような、あの憂鬱は。目を楽しませてくれていた植物も奇怪で滑稽なものに思えるし、耳を楽しませてくれていた蝉の ....
世の中 いろんな口癖が 有るけれど
わたくしの 口癖は
とりあえず「とりあえず」なんです と
とりあえず あなたの口が
とりあえずの形に 動くから
とりあえず ....
弾丸がもし
目に見えたら
君はどうするだろう
貫くだけ貫いて
戻らない弾丸を
無数に浮かんで
いつでも狙っている弾丸を
銃口なんてないから
どこから来たのか解らない
弾丸を
....
溶けたカラメルが
ゆっくりと べったりと
頬に 絡みつく
気持ち悪いから
手を払いたいのだけれど
腹が痛いと 繰り返すので
邪険にも 出来ない
ジャンケンで決めよう ....
早瀬のそばの竹やぶに
住んでおりましたので
笹舟を流しては遊んだものです
手を離すと同時に
それは勢いよく
旅立っていきました
赤い橋をくぐるまでは
なんとか目で追うことができましたが
....
祖父は十月に亡くなった。肺がんだった。私は茶髪を黒く染め葬式に臨んだ。火葬が済み、家の墓に納骨する段になって、骨壺の入った箱を持った父は、「こんなに小さくなって」と悲痛な泣き声のような声を出し ....
あてもなく夜空をさすと
ぼくはきまって
指をしまい忘れるから
わらっていたね
きみは
わらっていたね
続くのだと思った
ぼくらは
ずっと許されて
....
私は十三年間
薄暗い工場の中で
機械の一部になって働いてきました
小さな子どもを連れて離婚した
若くもない女には3Kの仕事しかなかった
子どもを保育園に預けて働いた
毎日々
ベルトコ ....
うわのそらに溺れる
鏨(たがね)を打ち込む
光沢のある表面に
一閃の傷をつける
堅固な光沢のある表面に
鏨(たがね)を打ち込む
切断する術は腕一つ
振り下ろす鉄槌の微妙な躊躇は
表面を滑り鏨(た ....
父は今日
返事をしなかった
話しかけても
目だけはじっと
私をみていた
まゆみだよ
わかる?
といっても
黙っていた
聞こえる?
と聞くと
うなずいた
声は ....
熱燗の、おちょこの横の
受け皿に
五匹のししゃもが銀の腹を並べ
口を開いて、反っている
いつか何処かで観たような
あれはピカソの絵だったろうか?
絶望を突き抜けてしまった人が
空を仰 ....
ソチ・オリンピックのテレビ中継で
上村愛子選手の姿を見て
ぐ…っと来た、僕は
少々涙腺を緩ませながら
隣に座る、妻に云った。
「攻めに攻め、金にも勝る、滑りかな」
数日後、シスター ....
わたしを生んだ
女をわたしは知らない
影も匂いも
どんな音を発するのかも
なにひとつ知らない
わたしを抱いて
わたしを褒めて
わたしを叱って
わたしを守って
....
斜面の彼方
架空の消失点に向かって
きみは加速する
ゴーグルに叩きつけては
後方へ飛び去る風が
喝采にも罵声にもきこえる
そのクレシェンドの頂点で
はるかに強く
心音をたたきつ ....
【透明なマグマ】
あれからというもの踏切が 透明なマグマだ
車を走らせていて
次第に車を減速させ
遮断機が ゆっくりと降りている
車と車の隙間を ゆっくりと歩いていた猫が ....
ぎゅんぎゅんと花々の茎と茎との間を抜けて、背丈よりも低い峠をいくつも越えて、あのランナーはわたし。ふくらはぎ縮み、ふともも縮み、南風燃え上がり、握りこぶしほどの小さな山をいくつも踏んで、森の奥のか ....
奥行きがあるとはなんだろう
そこには私の視点ある
見えない眼球を通して
目が覚めたら3億年が過ぎていた
生まれたことを思い出せば
何が時間であるのかはわからない
向こう側に扉が ....
音は雪に食べられてしまい
部屋は
かえって生きものの息づかいでみちている
台所の戸棚のなかで
じゃがいもの芽が伸びてゆく
張りつめた胸の皮膚のしたを
薄くなった血がめぐっている
....
花が草が虫が獣が 生国を知っている
潤いがたちこめて 生き物たちを通わせるのです。
人間のしでかす すべてのことは隙間だらけ
人の皮膚の隙間という隙間を ふるふると震わせる霧
穴ぼこ ....
2月3日 午後8時
そうだ、今日は節分ではないか!
豆まきをやらねば、と突然思いつき
子供達を呼ぶ
「ねえ、豆撒きやるよ〜。おいで〜。」
「豆撒きってなあに?」
「節分の豆撒きだよ。」 ....
ほんの数十年前
空がピンク色に染まった夜の日々
凜として生きていた正義の味方
正義の味方は美しく
正義の味方は気高く
正義の味方は清々しく
誰から後ろ指をさされることもなく
....
磨りガラスの向こうの公園で
外国人に話しかけられた
どうやら、フランス語らしいが
何を言っているのか分からない
家に帰ると母親が叫んでいた
ひとつひとつは意味のある言葉
けれど、つなげ ....
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