コーヒーを待ちながら
イナエ

ここは都会の海の底
コーヒーを待ちながら眺める窓の外

都会の空から夜が消えても
海の底には闇が淀んで

淀んだ淵の岩間から覗けば
摩天楼のような海藻が
ゆらゆら揺らぎ

海の底に赤い人や青い人が
降り積もり
海藻の間を車が泳ぎ

これから始まる未来を前に
テレビの窓から過去が流れ出し

白い人が流れ出し
ベッドを押して流れ出し
ベッドの人がつぶやく泡は
海藻に絡みつぶつぶと空に爆ぜ
やがて今日の未来が流れ出し

ああ
未来の…

コーヒーが入りました



自由詩 コーヒーを待ちながら Copyright イナエ 2015-06-16 09:04:51
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