縁側
そらの珊瑚

朝がやってくる
風がやってくる
音がやってくる
虫がやってくる
雨もふりかかれば
猫もやってくる

人がやってくる

外へ広く放たれた
寛容な空間だった

祖母が景気よくぞうきんがけをすると
そこはつややかにひかりはじめる
再生される静かな時間
摩擦され たちのぼる木の匂い
干された布団が
おひさまを吸い込んで
ふっくらとして並んでいる
吊るされた柿は
しなびて冬を待っている

影がのびていく
夕焼けがやってくる
鳥が帰っていく
人が帰っていく

扉がレールをすべっていく

家が閉じられて
縁側が
おしまいになる



自由詩 縁側 Copyright そらの珊瑚 2013-02-21 08:32:14
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